体育祭の係決めは大変

体育祭。体育祭とはリア充だけが盛り上がるものである。協力が大事や、皆一丸となって頑張ろうなどと言っているが、俺はその事は綺麗事だと思う。例えば、種目に出ていたとしよう。最初はチーム一丸となって、などと言っているが、競技が始まると、自分のことしか考えなくなる。結局人は、自分さえよければ他はどうでもいいと思っているはずだ。


 ーー今日は午後の授業で体育祭実行委員会と種目決めがある。朝のホームルームでそういわれ、もうそんな時期かと思った俺は、憂鬱になっていた。選手決めか。なにに出ようかな。できれば出たくはないんだがな。


 午前中の授業はその事でいっぱいで、頭にあまり入ることがなかった。これじゃ不味いなと思ったが、どうしようもなかった。勉強は明日から頑張ろう。そうしよう、そう思った俺であった。


 昼休みもあまり休んだ気がしなかった。ここまでくればどうにかなるだろ。そう思った俺は、考えることをやめた。そうこうしてるうちに、昼休みも残り五分になったため、俺は教室に戻った。


 ーー何分だろうか。この沈黙が続いてからかなり時間がたっていると思う。体育祭の決め事だというのに、皆静かである。毎日ウェイウェイいってて騒がしいやつも、この時間は静かであった。


 「誰か実行委員会やりたい人いないかな?」


 クラスの委員長の一言で皆静かになってしまったのである。当然やりたい人なんておらず、誰も手を挙げない。あげくのはて、気弱そうなやつを推薦し出した。


 「あの子がいいと思います」


 「私もそれに賛成です。あの子が適任だと思います」


 「確かにな」


 「俺もそれを言おうとしてたんだよ」


 一人が発言してから他の人たちもその事にのりはじめ、その人に決定!みたいな雰囲気になっていた。それをみて、俺は少し腹がたったため、発言した。


 「一つ、いいか? まず、誰も手を挙げないからって、推薦はよくないだろ。しかも、周りは推薦されたやつを断りづらくさせてるしな。そもそも、自主性が大事だ! とか言ってるやつらが、推薦してんじゃねーよ。その地点で自主性なんてないんだよ。お前らがやっていることは強制ってやつだ。ていうか、そんなに自主性が大事だったら、自分が手を挙げればいいじゃん。リア充共くん」


 嫌みたらしく俺は言った。そうすることで推薦されたやつは無効になるだろう。そして腹いせに俺が実行委員会にさせられるのだろうな。まぁ、それでもいいか。


 「なら、お前がやればいいじゃん」


 「ていうかあいつ、何様だよ」


 「キモいんだよ、早く消えてくれないかな」


 「マジそれな。なに説教みたいなことしてんだよ。全く心に響かなかったぜ」


 「それな」


 クラスのやつらは皆笑っていた。予想通りだ。まあ、そうなるわな。まあ、一人救えたことは良かったとしよう。はぁ、実行委員会かぁ。だるいなぁ、休めないかなぁ。などとまだ決まってもいないのに、そう考えている俺がいた。その後は誰も手を挙げる人がいなく、くじ引きで決めることにした。はずれろ!と願ったが、案の定、俺になった。実行委員が決まり、後は選手決めだけとなった。選手決めは思いの外早く決まった。俺は、玉入れ以外、なにもでなくてすんだ。そこだけはよしとしよう。はぁ、だるいな。これから放課後とか残んないといけなくなるじゃないか。


 「佐倉先生、さようなら」


 「はい、さようなら」


 もう下校時間になっていたため、皆先生に挨拶して教室を出ていった。俺は、下校時間になっているとは知らず、いつもならそっこーで教室を出ていたのに、一番最後になってしまった。俺も慌てて先生に挨拶をし、教室を出ようとしたが、佐倉先生に呼び止められてしまった。


 「野雫目、体育祭実行委員会頑張ってくれたまえ。期待してるからな」


 「まぁ、せいぜい出来る範囲で頑張りますよ」


 「それならよろしい。さぼったりしたら許さんからな」


 「わかってますよ」


 おー怖。さぼったら絶対に殴ってくるぜ、ありゃ。俺は、失礼します。といい、教室を出た。


 ーー咲久野との帰り道、俺は実行委員会になったことを言い、しばらくは咲久野と帰れないことを告げた。咲久野は渋い顔をしたが、承知してくれた。

 俺と一緒に帰れないときは友達と帰るらしい。それなら良かったと思った俺は、安堵していた。


 ーーひまわり荘に戻った俺は、ご飯も食べるのを忘れるくらい、悩んでいた。まじやベーよ、明日からどうしよ。そんなことを考えているうちに俺は眠りについた。咲久野も俺が寝てしまったため、ご飯を食べることも出来ず、また、風呂に入ることもできていなかった。

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