クラスメイトから嫌われた俺は

 起きると、やはり隣に咲久野が寝ていた。ほんと心臓に悪いから、今度からは床に寝ようかな。などと思っていた。俺が動いたため、咲久野も起きてしまった。起こしてしまったことは申し訳ないと思ったが、よく考えてみると俺、悪くなくね?


 「なぁ、俺の部屋に来るのはいいんだが、俺のベットの中に入ってくるなよ」


 ほどよい大きさのものが当たって、困るからな。口にだして言うわけにもいかず、心のなかでそう思っていた。


 「でも、床で寝るのは嫌だから一緒に寝ようかなって思って、ベットにはいっちゃった」


 悪気がなさそうな口調でそういってくる。ていうか、おかしいだろ!なんでそんな答えになったんだよ!


 「咲久野、少しは自分が女だってことを意識してくれ。頼むからさ」


 なに言ってんのこいつ、見たいな目でこちらを見てきた。


 「私、女っていう自覚あるんですけど」


 頬を膨らませてそう言ってきた。意識してんだったら、もう少し行動を考えてくれよ。などと思っても意味がなかった。


 「あのさ、女だって自覚あるんだったら、男の部屋にのこのこ入ってくるな。それと、男と一緒のベットで寝るなよ。隣にこんな可愛い子が寝てたら、普通の男どもなら、そっこー手をだしてるね」


 咲久野はなぜか顔を赤くしていた。可愛いなんて言うのは反則だよ~などと、ぶつぶつ言っていた。


 「おい、ちゃんと話聞いてたか?」


 「う、うん。聞いてたよ」


 「それならいいんだがな」


 「光太はへたれだから、手をださないってことくらい、分かってるから大丈夫だよ!」


 「そういう問題じゃないから。そもそも、一緒に寝てるってだけで問題なの。しかも風呂も一緒に入ってるとか、やばすぎだろ」


 「そうなの?」


 咲久野はまったく分かっていなかった。外にでて、そんなことしてたら一発で逮捕されちゃう。それも、俺が逮捕されちゃうんだからな。咲久野は被害者ってことで同情されるだろうな。などと、一人で考えていた。


 「ならさ、ルールを決めようぜ。その方が俺もやり易いからさ」


 「......わかった」


 渋々とだが、納得してくれた。結構話し込んでいたみたいで、もう学校に行く時間になってしまった。なので、俺と咲久野は着替えはじめた。咲久野は当然俺の部屋で着替えている。昨日もだったが、やはり女子の生着替えはなれないものだ。咲久野はそんなに恥ずかしくないのか、普通に俺の前で着替えている。下着姿になっても隠す素振りも見せなかった。俺は、その下着姿をみて、毎回恥ずかしくなるんだかな。


 「なあ、咲久野。昨日も言おうと思ってたんだが、俺の前で下着姿になるの、抵抗はないのか?」


 「最初は恥ずかしかったけど、一人になれないから、頑張って慣れた。平然としてるように見えて、結構恥ずかしいんだよ?」


 彼女の顔は心なしか、少し赤くなっていた。咲久野も本当は恥ずかしかったんだな。少し安心したぜ。それよりも、一人でいると泣いちゃうってことをどうにかしないとな。


 「ほら、早く行くぞ」


 「うん!」


 着替え終わった俺たちは、一緒に学校に向かった。そういえば、なんで俺は大丈夫で、他の寮の人は無理なのだろうか?と疑問に思った。


 「なぁ、なんで俺は大丈夫で、他の人はダメなんだ?」


 「それは、光太は私と同じ感じがしたんだよね。何て言えばいいかわかんないけど、なんとなくそう思ったんだよ」


 「なん、だと......?」


 まさか俺は咲久に同じやつだと思われてたのか。まあ、確かにそうかもな。俺も人見知りするし、友達いなかったしな。なんだろう。納得できてしまったんだが。そんな会話をしながら、俺たちは学校にいった。


 ーー学校につき、いつもの教室に入った。教室に入ると、さっきまで話していた奴等が急に黙りだした。


 「昨日、女子ををナンパしてたんだってよ」


 「その話私も聞いたよ。さいてーだよね」


 「しかも、女子の腕を強引にくんで移動したんだってよ」


 「なにそれ、さいてーだな。人間のごみだ」


 「ナンパされていた女子、なんでもこの学校にいるんだってよ」


 「それ、ほんとか?!ていうか、抵抗しなかったその女子も悪いよな。ほんとはナンパされて嬉しいとか思ってたりして」


 「まじかよ。その女子もバカなんだな」


 皆、人をバカにするように笑っていた。

 昨日のこと、クラスのやつに見られてたのか。これは非常に不味いことになったな。しかも、なぜか少女も悪いことになっている。これは何とかしないとな。


 「あのときは最高だったよ。強引に腕くんだけど、あいつ抵抗してこなかったんだぜ。アホだよな。あいつの怖がった顔見てるとたまんなかったな~。ずっと怯えてたんだぜ。その光景をまた見てみたいぜ」


 これで少女はなにも言われないだろう。敵意は全部俺に向いたはずだ。逆に彼女は同情されるだろう。これでひと安心だな。


 「さいてー」


 「この教室から出てけよ、変態」


 「早く消えてくれないかな~。見てるだけでヘドがでるんだけど」


 「人間としてクズだな」


 「その女子、可哀想。こんなやつにナンパされるなんて」


 「だよね~。ていうか、なんでこんなやつ生まれてきたのかな?」


 「それ、わかるわ」


 皆、思っていることを口にだしていた。傷つくと分かっていても、辛いもんは辛いな。


 「出てけ!出てけ!出てけ!」


 皆声を揃えて言ってきたので、俺は教室を出るしかなかった。ホームルームが始まる頃、担任の先生に言われ、教室に入った。ホームルームがおわり、俺は耳にイヤホンをして音楽を聴く体制に入った。正直、朝の件があるため教室には居づらかったが、授業があるため、教室にいなければならなかった。


 ーー午前の授業がおわり、俺はそっこーで教室を出た。咲久野は友達と食べるとメールがあったので俺は一人で食べることにした。昼休みも終わりに近づいた頃、咲久野からメールが来た。


 「今日の朝にさ、光太がナンパしたっていう話を友達から聞いたんだけど。それも、嫌がっていた女子の腕を無理やりくんだんだって?まあ、光太がナンパするとは到底思えないけど、帰るときに何があったか教えてね~」


 というメールがきていた。もう朝のことがでまわってたんだな。ということは、ナンパされているところを助けた少女もこのことは知ってるんだな。と思ったが俺には関係ないことだ。その少女にも何て思われようが構わないし、どーせもう会うこともないんだしな。

 重い腰を上げて、俺は教室に戻った。授業が始まれば皆静かになるため、さほど問題はなかった。問題は休憩時間だ。俺の悪口を言っているのは確かだが、俺は聞こえないようにイヤホンをしている。やっと午後の授業も終わり、後は帰るだけだった。教室を出た俺は、ナンパされていた少女がいることに気づく。


 「俺になんのようだ?」


 「どうしてあんなこといったんですか!」


 「なんでって、俺がそう言いたくていったんだから、お前には関係だろ」


 「あんなこと言ったら、ほんとーは助けてくれた野雫目君が報われないじゃないか!」


 彼女は力強く言っていた。


 「まあ、君は気にしなくていいから、俺が全部やったことだしな。あ、それと他のやつらには、ほんとーの事言わなくていいからな」


 「なんでよ!後、君って呼ばないでくれるかな?私にはちゃんとした名前があるんだから」


 「なんでもだ。そもそも俺は、名前を聞いてないんだからな」


 「そういえばそうだったね。私は青葉木実あおばこのみっていうんだ。よろしくね」


 「よろしくな。でもまぁ、多分もう会うことはないだろーがな」


 青葉との話が終わり、俺は寮に帰ろうと思った。咲久野をまつのはだるいなと思った俺は、咲久野を待たずに寮に帰った。一応咲久野にメールしとくか。と思った俺は早速メールをする。


 「悪い、先に帰ってるから、その友達と帰ってきてくれ」


 俺は短く内容だけ伝えると、携帯を閉じた。寮につき、自分の部屋にいった。俺は、今日起きた出来事で疲れていたのか、すぐに寝てしまった。

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