第14話
「……で、どうなったんだ?」
隣の席の杉田が尋ねてくる。
朝のホームルームの時間。僕は隣の席の杉田に、その時の事を話していた。
「……勝利の立役者ってことで三人にカンパしてもらった」
「カンパってお前……、それヒモじゃん」
「違う。奢ってもらっただけだ」
……そう、あの後僕らは近くのファミレスに寄って部室の奪還を祝った。
そこまではよかったのだが、僕は花宮さんにお弁当を貰うようになってから学校に財布を持ち込まなくなったのだ。当然その日も手持ちはゼロで……。
「でも確信犯なんだろ?」
「それも違う。本当に忘れていたんだ」
「信じられねぇなあ。花宮さんってほら、すっげーいい子じゃん? 今時彼氏を様付け呼びする子なんて聞いた事ねぇぞ? そんな子に手持ちが無いなんて言ったら代わりに払ってくれるのは分かり切ってんだよ」
「そ、そうかもしれんが……」
まあ正確には彼氏ではないし、様付け呼びしているのも別な理由があるのだが。っていうか聞かれていたのか様付け呼び。最近段々隠さなくなってきているしなぁ。
「しかもお前と付き合い始めてから更に可愛くなったような気がするぞ? ふざけんなよお前、一体何したんだよ」
「はぁ? 元から可愛かっただろ?」
告白されるまで殆ど何も知らなかった僕が言うのも何だが。
「だから更にだよ、さ・ら・に。お前は毎日飽きるまで顔合わせてるから気付かないんだ」
「……そうなのか?」
「そうだよ全く。指一本触れないとか言っておいてやる事やってんじゃねぇかクソが」
「いや何の話だよ。まさかエロい事したから可愛くなったとでも思ってるクチか?」
「え、違うの?」
「違うに決まってるだろ、お前はいつの時代の人間だよ」
薄々そんな気がしていたけど、こいつの頭の中は常時ピンク色をしていそうだ。
「で、でも可愛くなってるのは事実やし……」
「それは確かに気になるな。今度さり気なく聞いてみるか」
「おう、頼むぜ。分かったら教えてくれよ相棒」
「調子のいい奴だ」
……まあ杉田は杉田だし。しかしこれだけ話しても先生に気付かれないとは。席が後ろの方で助かった。
(それにしても……)
無意識に花宮さんの方に視線を向けてしまう。
(可愛くなってるのか、花宮さん)
杉田はバカでお調子者だが、女子の外見の変化には目聡い奴だ。その杉田が言うんだから多分本当なんだろう。
(だとすれば、僕と一緒に行動する事でイジメられなくなって、それで心労が減ったから、なのかな? もしそうなら僕も嬉しいんだけど)
マジメに先生の話を聞いている花宮さんを、斜め後ろからぼんやりと眺めていた。
(可愛くなった、か)
綺麗な横顔だった。
全体的に幼さを残しながらも、すっきりとした鼻先やアゴの輪郭。そして理想的な曲線を描くEライン。
直接対面すると表情の変化もあってどうしても可愛いと言う印象が先に来るが、こうして横顔を眺めていると、なるほど素直に綺麗だと感じる。やはり性格は違っても、会長の妹なのだ。
僕は告白された時より前の花宮さんの事を何も知らない。そんな僕が花宮さんの変化に気付けないのは、ある意味当然なのかもしれない。
そんな何も知らない状態から突然現れて、あっという間に僕の生活の一部になってしまった花宮さん。僕はそれが何だか不思議に感じると同時に、クラスメイトでありながら特に接点を持たずに過ごしたひと月の事が、なんだか残念に感じられたのだった。
そして放課後。会長に勝利してから最初の部活である。
僕は昨日、会長が最後に言った言葉をみんなに伝える。
「みんな聞いて欲しい。夏休み明けの九月に学園祭があるらしいんだけど、その時までにちゃんとした活動実績を挙げられなければ予算は付かないし、最悪廃部の可能性もあるということだ。部室の件も白紙になった事だし、そろそろ本格的に活動を始めようかと思うんだが、構わないだろうか」
構わないだろうか、なんて言ってる僕自身が実はあんまり乗り気でないのは言うまでもない。元々部活でだらだらする為に入った僕がこんな事を言っているのだから、状況の変化と言うのは怖ろしい。
「ええもちろんです。やりましょう」
そう応えたのは、元からやる気のあった吉川さん。
「いいよ、何する?」
あっけらかんとそう返したのは、僕の勧誘で入部した佐久間さん。
「カノはシュン様に付いて行くだけです」
何かズレた事を言っているのが花宮さん。とりあえず全員の賛同は得られたようだ。
「話が早くて助かる。それじゃあ今日中に何を作るかと、その担当まで決めてしまおう。何せ学園祭まであと四ヶ月しかないからな」
僕はカバンから一冊の大学ノートとシャープペンシルを取り出した。授業で使う予定のノートだったけど、別にいいか。
「あ、シュン様、カノがやります」
「お、そうか、悪いな」
どうやら書記をやってくれるらしい。ええ子や。
「と言う訳で最初に何を作るかだけど、何か案のある人は……」
言って意見を募る、が、得てして意見なんてそんなポンポン出てくるもんじゃない。三人から……いや、僕も含めて何も出なかったが、代わりに佐久間さんからある質問が出た。
「ええと、それより先に媒体を何にするか決めた方がいいんじゃないかな? 範囲が広すぎて意見を出しにくいと思うし」
「それもそうか。すぐに思い付くのはマンガ、ラノベ、アニメ、ゲームだけど……」
オタク文化研究会だしこの辺が妥当だろう。すると……。
「あ、その内マンガとラノベは却下。あたしの専門は声。百歩譲っても音楽関係じゃないと部には貢献できないと思う」
そりゃそうだ。声優志望なんだから当然か。むしろ音楽関係の仕事がこなせるだけ助かったと言える。
「待て、佐久間さんは音楽に詳しいのか?」
「そだよ。一応両親が音楽関係者だし、あたし自身も声優志望だしね」
「流石……」
両親ともなのか。もしどっちかがアニメの音響監督とかならコネは十分だな。
「そうなると残りはアニメかゲームだけど、正直四ヶ月でアニメを作るのは無理があるかな。絵は吉川さん、音楽を佐久間さんで、それ以外を俺とカノで担当したとしても一人当たりの仕事量がハンパなさそうだ。作れても物凄く短い作品になりそうだし」
「そうなんですか? でもそれじゃあゲームでも同じなんじゃ?」
花宮さんの疑問は最もだが……。
「そうでもない。アニメはある意味どんな作品でもやる事は決まってるようなものだけど、ゲームは内容次第でやる作業もぐっと減らせる。シンプルなノベルゲームとかだったら俺ら素人集団でも何とかなると思う」
「ノベルゲーム?」
「文章を読ませるタイプのゲームだな。そこに絵や音楽を足して臨場感を与えるんだ」
「確かにそれならカノ達でも作れそうですね」
うん、そこ重要。
「アニメの三十分とノベルゲームの三十分とでは、作る側の労力が全然違うからな。いろんな意味で俺達向きの作品ではある」
僕はまず、そこでみんなの反応を窺ってみる。
そこらへんの知識が全くなさそうな花宮さんはおいておくとして、ある程度知ってそうな佐久間さん、吉川さんの反応も悪くない。
「よしじゃあ決を取ろう。ノベルゲームでいいと思う人は挙手してくれ」
僕がそう声をかけると、最初に花宮さん、少し遅れて吉川さん、佐久間さんと続く。後の二人に関しては賛成と言うよりは別段反対する理由もないから挙手した感じだろうか。
「三人共か。俺も含めたら満場一致かな。と言う訳で作るのはノベルゲームに決定っと」
推した僕が言うのも何だが、割とあっさり決まってしまってなんだか少し怖い気もする。
「じゃあ次は役割だ。吉川さんがキャラと背景、佐久間さんが声と音楽は確定として、問題は俺とカノが何を担当するかだけど……」
(花宮さん、文章書けるのかな? ノベルゲームなら最低でもラノベ一冊分くらいの分量は欲しい所だけど、だからと言ってスクリプトみたいな地味で別段楽しくもない仕事をやらせるのも気が引ける)
そんな僕の考えを知ってか知らずか、目の合った僕に対してにこりと笑いかけてくる花宮さん。可愛いなチクショウ。
「……カノ、お前、長編小説とか書いた事あるか?」
「長編小説? ええと、ない……です」
「……そうか」
今回必要なのは巧さではなく速さだ。そして最低でもシナリオ全体の流れが分からなければ、そこにどんな絵や音楽が必要なのかも分からない。そんな役割を、小説一本書いた事のない花宮さんに任せるのは酷だろう。
「仕方ない、シナリオは俺が書くか」
僕だってろくに書いた事は無いが、何かとプレッシャーのかかる役職だ。それを花宮さんにやらせるのは少々気が引けた。しかし……。
「それは却下します。シュン様にはもっと相応しい役職があるでしょう?」
「えっ?」
僕に相応しい役職? 何だろう。というかノベルゲームを知らない花宮さんが、ノベルゲーム制作にどんな役職があるとかちゃんと分かってるんだろうか?
「大事な役職ですよ。ある意味一番かも」
「ええと、カノ、それは?」
「ふっふっふ……、それはずばり、監督です」
「…………なるほど」
ゲームに限らず、複数人で何かを作ったりする際には必要な役職だ。だけど……。
「どうしても必要かそれ。現状監督に人を割いてる余裕はないと思うけど」
クオリティを保つ上では必要かもしれないが、それで期日に間に合うのだろうか。
「そうなんですか? でも元から四人で作るつもりだったんですから、人手がもう一人増えれば問題ないですよね?」
「それはそうだけど……」
そんな人がいたら苦労はしない。
「実は一人だけアテがあるんですよ。それもかなり優秀な人」
「そうなのか? それが本当なら願ったり叶ったりだが」
「任せて下さい。そう言う訳で監督はシュン様に決定ですね」
理由は不明だが、花宮さんは余程僕を監督にしたいらしい。
「けどいいのか? 監督って言ったらみんなに命令する立場なんだぞ? そんな役職に俺が就いてたら……」
激しくモチベーションが下がりそうではある。……まあこの三人はそこまで気にしないかもしれないが、可能なら誰だって自由に作りたいだろう。
「……シュン様」
「な、何だ?」
「鬼畜モード」
「……えっ?」
何が言いたいんだろう。もしかして鬼畜モードで命令しろと言っているのか? やはり変態か? 変態なのか??
「ふ、二人も俺が監督なんて嫌だよな? 一々俺の認可が必要になるんだぞ?」
花宮さんの提案はどうあれ、残る二人は当然嫌がるだろうと思ったのだが……。
「私は別に構いませんが。意見やアイデアが貰えるのは有難いですしね」
吉川さんは中立寄りの賛成。
「あたしはむしろその方がいい……かな。一人で作業しててもつまらないし、だからと言って知識の浅い人では参考にすらならないし。その点福山君なら問題ないと思うよ。それにゲームに統一感を出すためにも、監督はいた方がいいと思う」
大賛成という感じなのは佐久間さん。僕に音楽関係の知識なんて何もないのだが、どうしてそんな結論に達したのか。と言うかこの三人は、僕に何かを押し付ける時にだけ妙な連帯感を発揮する気がするのだが考えすぎだろうか。
「分かった分かった。そこまで言うなら引き受けるけど、やると決まった以上は俺もハンパな事はしないぞ? それこそ俺を監督に任命した事を後悔させるほどビシバシ意見していくからな? それでもいいんだな?」
苦し紛れのこけおどしだったのだが……。
「もちろんです。そうでないと任命した意味がありませんからね」
どうやらそこまで含めて花宮さんの思惑の内だったらしい。恐るべし。
「ええと、これで担当が決まってないのはカノだけか……。残りはスクリプトとシナリオ、選ばなかった方を助っ人にやって貰うとして、カノはどっちがやりたいんだ?」
「そうですねぇ……」
スクリプトは地味だけど、僕がサポートに入れるなら問題は無いはず。むしろ問題はシナリオの方で、何よりスピードが重視される。進みが遅いと全体の進捗に影響が出る。だが同時に、こればかりは実際に書かせてみない事には分からない事でもある。
「その前にシュン様、スクリプトって言うのはどんな事をするんですか?」
……それもそうか。ノベルゲームすら知らない花宮さんが、スクリプトという仕事の内容を知っている訳が無かった。
「ええと、簡単に言うとプログラムみたいなもの、かな。でもそんな大層な物でもなくて、みんなが作った各種データを、ゲームとして一つに纏めていく役目、くらいの認識でいい」
「む……難しいですか?」
「そうでもない。そりゃ特殊な事をしようと思ったら大変かも知れないけど、今回はそこまでの事はしないよ。むしろ単純作業の繰り返し過ぎてつまらないかも」
「なるほど……。それじゃあカノはシナリオを書きます。それでいいですか?」
そして花宮さんが選んだ役職はシナリオであった。
「構わないが、何よりスピードが求められる仕事だぞ? 覚悟はいいか?」
分かっているのかいないのか、花宮さんは元気に「はい!」と、そう応えた。
「……さて、これで全員の役割が決まった訳だが、最後にもう一つ決めておかなければいけない事がある」
僕は再び手を組み両肘をつくと、他の三人に視線を送った。
「と言うと?」
佐久間さんが疑問を口にする。僕は数拍間をおいてその疑問に応えた。
「……ジャンルだ」
「ジャンル?」
「……そう、もっと言うと、作る作品の方向性。ミステリー、ホラー、冒険譚、怪奇譚。ジャンルに拘り過ぎる必要はないが、方向性くらいは早めに決めておかないと後でトラブルになる可能性もある」
「ふうん……」
「話し作りのメインはシナリオ担当のカノ、サポートは監督の俺になるだろうが、問題は直接シナリオに関われない佐久間さんと吉川さんだ。どんな作品を作りたいと言う要望があれば早めに意見して欲しい。もちろん全部を採用する事はできないが……」
僕の勝手なイメージだが、描きたい物を描けない、作りたい物を作れないと言うのは、創作畑の人間にとっては結構なストレスになるのではないだろうか。そしてその不満がどこかで噴出するような事態だけは避けなければならない。
「急にそんな事を言われても……」
そう吉川さんが漏らす。それは最もなのだが……。
「意見が無いなら無いでいいんだ。けれども言うべき時に自分の意見を言えなかった以上は、後からその事に不満を抱くのはやめて欲しい」
今はなくても作っている時に作りたい物が見えてくる、なんてのはよくある話で、でもその作りたい物が、実際に作っている作品と噛み合うかどうかはまた別の話である。浮かんだアイデアを片っ端から同じ作品に詰め込んだ所で、そんな物が面白くなる訳は無い。
「時間を貰えないでしょうか? どんな作品を作りたいかを考える時間」
「ううむ、確かに急ぎ過ぎたか……」
「何か原案のようなものがあればいいんですけど……」
「原案か、そんな物があれば苦労は……」
確かにそれがあれば格段に作りやすくはなるだろうけど、そんな物が都合よく転がっている訳はなく……と、そこまで言って僕はある事を閃いた。
「いや待て、あるかもしれない」
「えっ、あるの?」
「ああ、二人には言ってなかったけど、実は俺、ラノベ作家の生ハムメロンと親しくてね。あいつのデビュー前の作品なんかも大体読んでる。そのデビュー前の作品を使わせてもらう事が出来ればあるいは……」
「生ハムメロン……?」
吉川さんはどうやら、ラノベではなく作家名に引っ掛かりを覚えたようだ。つまりラノベは知っているが生ハムメロンは知らないと解釈できる。
「去年までは『機械仕掛けの破壊神(デストロイヤー)』、今は『空の聖域(サンクチュアリ)』って言う作品を書いてる人だ」
「機械仕掛けの……? もしかしてその作品はアニメ化していたりとか?」
「その通り。聞き覚えくらいはあったか?」
原作はともかくアニメを見た事がある、更に言えばアニメが好きだったとかなら僕も嬉しい。そんな事を考えていたのだが、その時吉川さんは何を思ったのか、テーブル越しに思いっきり身を乗り出して僕に迫った。頼りないテーブルが揺れて軋みをあげる。
「ちょ……、吉川さん?」
「会わせて下さい!」
「えっ? 生ハムメロンに?」
「違います。デストロイヤーの絵師様にです」
絵師、要するにイラスト担当の人の事である。確か丸神さんといったか。
「丸神さんの事か?」
「そうです! 大ファンなんです!」
そう言えば本来はイラストレーター志望なんだっけか。それなら同じイラストレーターの人に憧れていても何も不思議ではないか。けど……。
「残念だが吉川、原作者だからと言ってイラスト担当と親しい訳じゃない。それどころかロクに面識があるかどうかも怪しい……はずだ」
「えっ? どう言う事です?」
「そのままの意味だ。こういう仕事は大抵担当……編集担当の方な。その担当が請け負うから、一部のイベントを除いて原作者が出版社以外の人と接するのは稀なんだ。もちろん原作者本人や出版社の方針によっても違うだろうけど……」
「……そう、ですか」
すっかり消沈して、上半身を引き摺りながらイスに戻っていく吉川さん。
「でもどうして会わせないんでしょう? その方が早そうなのに」
花宮さんがそんな疑問を口にする。
「どうなんだろうな。ここから先は俺の想像になるけど、マンガやラノベの作者は地方に住んでいる人なんかも割といる。そう言う人の為に、作者が何度も自宅と本社を往復しないで済むようなシステムになっているのかもしれない。或いはハンパに外部の人間と接触して作品に影響が出る事を避けている可能性もある」
「なるほどー」
本人はそう言っているが、この顔は理解度半分といったところか。まあさして重要な事でもないし、別にいいか。
「話を戻そう。生ハムメロンのデビュー前の作品。その中から使えそうな作品をピックアップして持ってくる。全部読んでから判断してもいいし、あらすじだけ読んで決めてもいい。とにかくその中で一番人気だった作品を作ろうと思う。それでいいか?」
良いか? なんて尋ねてはいるが、三人中二人は生ハムメロンのファンである。まず反対はされないだろう。
「メロン先生の作品を使わせて貰えるなら願ったり叶ったりだけど、使わせて貰える保証はあるの?」
そう発言したのは、三人の中で一番メロンに詳しいと思われる佐久間さんである。
「う~ん、メロンからしてみればデビュー前の作品なんて……言い方は悪いけどただのゴミだし、まず問題ないと思うよ」
「ゴミ……? メロン先生の作品がゴミ……?」
何かショックを受けているようだ。気持ちは分かるが本人が本当に過去作には拘らない性格なんだよなぁ。新作を書くにあたってそれとなく過去作とのクロスオーバーやスピンオフネタを書くように勧めてみた事があるけど、見事にスルーされてしまった。
「逆に考えるんだ。俺達がいい作品に仕上げて陽の目を見せてあげればいい、とな」
「な……なるほど確かに」
ともかく佐久間さんは賛成で決まりのようだ。
「カノと吉川さんもそれでいいか?」
残る二人にそう確認を取ると……。
「カノも賛成です」
「私もそれで構いませんよ」
すぐに二人の了解が得られた。
「よし、じゃあ今日の話し合いはこんな所でいいか」
終わった後で何だが、本当に何で僕が仕切ってるんだろう。三人共みんないい子で話し合いもスムーズだから何も問題はないんだけど。
とにかく当初部活を作った時の目的に反して、これから忙しくなりそうだ。しかしそんな状況とは裏腹に、僕の心は不思議とわくわくしていたのであった。
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