7回目:雪:宇宙(そら)に降る雪
女の頭上で導入光管は淡い光を湛えるばかりだ。地区間窓は淡い光の明滅を繰り返し、畑も牛舎も白く覆われ埋まってしまった。零れた溜息は白く広がり、溶け消えた。
計画天気は霧雨の筈だった。集光鏡は役割を果たしていない。修理しようにも金など無く。引き開けた扉の先、冷気は屋内にさえ。
……終わりという文字がちらつく。
「提案がある」
女を認め男はにやりと笑んだ。端末の画面を示す。
「観光業ってのをやってみようと思ってる」
──雪? なにそれ!
──地球に降るやつ?
──ふかふかって聞いたけど。
「もう少し足掻いてみようぜ」
金が貯まれば。ポンコツコロニーにも、まだ、道が。
──うん。
女は涙をこらえながら。僅かに確かに、頷いた。
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