MISSION3 『コウガイガクシュウ』でスキルを磨け!〜準備編

昼食後の授業...特に5限目とかに、強烈な眠気が襲ってきたことはないだろうか。

今の私...花畑華乃がちょうどその状況だ。

ねっむ......瞼が落ちてくるぜ。暖かい昼下がり+食後という状況が相まって、史上最大レベルの睡魔を巻き起こしてるぜ。

生理現象だから仕方ないと思うんだけども、先生がそんな言い訳で許してくれるわけじゃないしねぇ...。


「えー、再来週にある校外学習だが...実行委員を決めたいと思う。誰かやりたい奴いるかー?」


間延びしたような担任の声がよく回らない頭にグワングワンと響いてくる。...いや、あのね。

めんどくさいことを率先してやる人とか、さすがにいな...。


「あ、俺やりたいです」


...おるんかーい!

予想外の出来事に一気に意識が覚醒する。びっくりした!通学路でドーベルマンに吠えられたなみにびっくりしたぞ!?(←そんなのいるのかって?...いるんだよなぁ、我が家の近くにドーベルマン...)

...いやいや、どうでもいいモノローグは放っておくとして。

誰だ手ぇ挙げたの。...とてつもなく嫌な予感がしないでもないが。


おそるおそる首をすっ...と回して振り向くと、今...『1番会いたくないクラスメイトランキング』私の中だけで1位の男子が手を挙げていた。


まぁ、これまでのエピソードを読んでくださった方は察しがつくであろう。.....小岩井くんである。


「お、小岩井。やってくれるか?」

「はい、俺この前まで入院してたし...クラスに馴染むキッカケにもなるかなぁと思って」


輝くような笑顔で流れるように嘘をついていらっしゃいますね、はい。

でもこの流れ、嫌な予感しかしないんだよな...。

命の危機を察知した私は、「トイレ...いってきまーす」と囁くように言って教室を去ろうとする。


...が、背後に恐ろしい殺気を感じてしまった。

小岩井くんの目が『別にいいぞ逃げても。掲示板にお前の手帳のコピーを晒すだけだからな』 と訴えている。

...世の中、理不尽だと思うんですけど!?


私は心の中で号泣しながら、完璧な作り笑いを貼り付けて言った。


「私もやります、実行委員!」



放課後でございます。

実行委員の集まりとやらに参加せねば行けなくなった私は(間違いなく小岩井くんのせいだ。間違いなく!)とぼとぼと廊下を歩いていた。

足取り重い...。せっかく早く帰って録画してたドラマを消化しようと思っていたのに(え、暇人だって?うるさいやい!)。


「よっ、頭の中花畑女」

「よっ、じゃないから!なんで実行委員なんかしなきゃなんないのめんどくさい帰りたい青春したい!」

「少なくとも最後のひとつは関係ねぇだろ...これだから妄想爆発女は」


肩をすくめる小岩井くん。...ダメだ心の奥底から湧き出る怒りが止められんぞ。

にしても、と小岩井くんが意外そうに呟く。


「お前、こういうイベント系好きなんじゃないのか?妄想膨らみそうなイベントだろ」

「好きだよ!好きに決まってんじゃん!......でもさぁ...実行委員とかにはときめかないんだよね」


そりゃあまあ?同じクラスの男子と実行委員になって、嫌々ながら仕事してるうちに優しさを知って、で、後夜祭で告白されるとかなら憧れはあるけども...っ、うう。


「くくっ......今日も安定の妄想ありがとな...」

「黙れい!今すぐその口を閉じろぉぉぉ!てか心読むなぁぁぁ!」


キョロキョロと周囲を確認すると、不幸中の幸いと言うべきか...現在進行形で爆笑している小岩井くん以外には誰もいなかった。

...いや、まぁ小岩井くんがいる時点で大不幸な気もするけどさ。


まぁでも...他のクラスの人とも接点ができるのはいいかもしれない。

先生の説明だと実行委員同士で買い出しに行ったりもするらしいし、そういうとこでペアになった男子とか...重い荷物を持って歩いていたら帰り道に雨が降ってきて、『俺の家この近くだから』って言って家に行って急接近とか...ゲフンゲフン。


「...っくくっ...おま、まだ笑ってる最中に次の妄想入れてくるのやめろよ...っく」

「笑わなきゃいいだけの話だよね!?もうお願いだから黙ってくれないかな」


くううう!こやつ...弱みさえ握られてなきゃ殴ってやりたいところだぞ。...いや、弱み握られてなかったらそもそもここにはいないのか...。

...とにかく決めたぞ。めんどくさい実行委員に巻き込まれた...と思ってたけど、逆にこの立場を利用してやろうじゃないか!

他クラスの人と仲良くなって、輝く青春と我が手帳を勝ち取ってやるぅぅぅ!


「あ、3組の実行委員の人かな?」


決意を込めてグッと拳を握りしめていると、バインダーを持ったサイドテールの女の先生に声をかけられた。

えーっと、この人は...確か。


「1組の担任の...」

「あぁ、森です。今回実行委員の担当にもなったんだけど...とにかく教室入って。君たちで最後だから」


集合時間よりまだ少し早いけど、みんなちゃんと集まってるもんなんだなぁ...いそいそと教室に入って後ろの方の空席を確保する。

その隣席に新たな出会いが待っていることを熱烈に希望したけど、案の定と言うべきかなんと言うべきか...隣は小岩井くんだ。...くそぅ。


「みんな集まったよね...では実行委員会議を始めたいと思います。私は担当の森。よろしくね」


森先生が口を開き、資料のプリントを配る。

配られてきたプリントにざっと目を通すと...ておいおい。

仕事多くないか!?ほとんと毎日放課後に会議か準備が入ってる様に見えるんですけど、気のせいですか!?

まぁ...ナッチャッタモノハシカタナイ。うん。これを利用して......れっつ青春。


机に頬杖をつきながら話を聞いていると、視界にコロコロコロコロ...と転がってくる消しゴムが目に入った。

ケースにはペンギンのイラストが描かれていて、ファンシーな感じだ。女子のかな?

しゃがみこんで拾い上げ、あたりを見渡す...と。


「......あのっ、そ...それ...」


右斜め前の席から焦ったような囁きが聞こえて、ハッと顔を上げる。

この男子は...確か2組の上原くん!

面倒見も良くてサッカー部で、なかなかカッコイイと思うけど...あんまり噂にはのぼらない。何故だろう。

...て、その辺はどうでも良くて!


「え、これ...上原くんのなの?」

「......ちょ、あんま大きな声で言うなよ...!...拾ってくれてありがとな」


上原くんは私の手からひったくるように消しゴムをとると、そのまま何事も無かったかのように前を向く。

でも私は気づいているぞ...?耳まで真っ赤になっていることに!

そうか...上原くん、可愛いものが好きなのかな?

それを必死に隠そうとするあたり、なんとなく同族の親近感のようなものが(私の妄想癖と一緒にすんなって話だろうけど)湧いてくる。

ぬふふふふ...何となく...出会いが待ってる気がするぜ。


『このことは誰にも言うなよ』とか口止めされて、「もちろん言わないよ」『...相談なんだけど...こういう物がたくさん売ってる店、知らないか?』「駅前にあるけど...」『連れてってもらっても...いいかな』...みたいな流れで放課後デート!急接近ー!...あっ、マズい...今会議中だっけ。


「くく...くくくくくっ」

「小岩井くん黙って。声を押し殺して笑うのやめて。聞こえてるよ思いっきり」


小声で小岩井くんを牽制しながら、私は頭を抱える。キュンキュンするシチュエーションに巡りあえたとしても、コイツが隣にいたら妄想ひとつできないじゃないか!

今回の校外学習では小岩井くんからどれだけ離れられるかが課題だな...と私は密かに思う。


「......ということなのでみんなよろしくね」


あ、やべ。...全然聞いてなかったぞ。

まぁプリントに大体の進行書いてあるから...何言われてるかは想像がつくんだけど。

クラスレクの準備と買い出し...あと班決めか。

班決め...。

あんまり喋ったことのないクラスの王子に『...なぁ、一緒の班にならないか?』って言われ、そこから意識し始め、そして校外学習の夜に呼び出されて2人で抜け出し...ダメだ。小岩井くんの肩がまた震えだしたから、この辺でやめとかないとな。


「小岩井くん、クラスレク...何やりたい?」

「くくくっ...クラスレク...な」


ダメだこいつまた笑ってやがるぞ使い物になんねぇ!

私は口元だけで笑い、「真面目にやろうねー?」と猫なで声で言う。

小岩井くんは何とか笑いをおさめ(...でもバレてるぞ。口元がヒクヒク動いてること)、プリントの裏にシャーペンで何か書き込み始めた。

書き終えたプリントを私の方に手渡してくる。...いや投げるな、普通に渡せよ!

プリントの裏にはいくつかのレクが走り書きしてあった。


「こんなもんで良くないか」

「...あのさ、なんで椅子取りゲームとかフルーツバスケットとかが入ってんの...?海辺の砂浜でやるんだよ?」

「だって思いつかないだろーが」


コイツほんとにやる気ないな...こんなのと一緒で大丈夫なのかなぁ。

チラリと斜め前を見ると、上原くんが真剣にシャーペンを走らせてるのが見えた。

普通こういう感じだよねぇ。まぁなし崩し的に委員になってやる気の欠片もない私が言うことではないが、小岩井くんは極端すぎるぞ。


「上原くん、どんなの思いついた?」

「......わっ、な...何」


何気なく声をかけると、上原くんは予想以上に驚いたような声を上げた。...いや、逆にこっちがびっくりするわ。


「...ビーチバレー、とか...?あと...」

「あぁビーチバレーね!いいかもそれ」


パクる気満々でシャーペンを取り出すと、隣から鉄拳が飛んできた。

それはバシンという非常に小気味のいい音とともに、私の頭にかなりのダメージを......痛い。マジで痛いぞ!?


「ちょっと何すんの小岩井くん!こちとら真面目にやってるんだけど」

「別クラスとレクかぶらせんなってさっき言ってただろ?お前は何を聞いてたんだよ!」

「いや逆になんでそこ聞いてたの!?やる気ないのに!?」

「人の話ぐらいちゃんと聞け。どうせお得意の妄想...痛っ」


さっきのお返しのように奴のみぞおちに1発パンチを見舞わしてやる。クリティカルヒッーート!

それを見ていたらしい上原くんが「...お前ら仲いいな」と呆れたように呟いた。

...そんなこと言われたら普通真っ赤になって否定...とかが少女漫画の王道なんだろうけど、私は思いっきり鼻にしわを寄せて「やめて。マジでやめて。違う」と即答してしまった。


小岩井くんと噂がたつとか...心の底からやめて頂きたいのだ。

今でもかなり遠のいている理想の青春が、より遠のいてしまうじゃないか!


結局その日はレクを決めることができず(半分...いや、ほとんど完全に小岩井くんのせいだ)、その日はお開きになった。

さぁ、速攻帰って録り溜めしてあるドラマの消化に勤しむぞ!

教室を飛び出そうとしたら、他クラスの女の子に声をかけられた。


「...ね、一緒に帰らない?」

「えっ私!?」

「うん。花畑さんだよね?」


え、何で名前知ってるんだ?...ちょっと待ってなんか接点あったかな。忘れてたらかなり失礼だよな。

普段ほとんど使っていない脳みそを軋ませながらフル回転させていると、女の子はニコリと微笑んだ。


「私、2組の久保田菜子。よろしくね」

「久保田、さん...私、花畑華乃!よろしく」


あ、名乗んなくても名前知られてるんだっけ。まぁいっか。

久保田さんが微笑みながら言う。


「たまたま帰り道で花畑さん見かけたことがあってね。家近いんじゃないかなぁって思ってたの」

「え、久保田さんどこ住んでるの?」

「音無町の椎名」

「...私、音無町の木戸に住んでるんだよ!そっかぁ...近かったんだ」


中学も違ったから、見かけたことはなかったけども。

久保田さんはニッコリと笑い、「菜子って呼んで」と言ってくれる。

ふれんどりーぃ。


「私も華乃って呼んでー!私他のクラスに友達とかいなかったから、菜子ちゃんが声かけてくれて良かった」


ふーむ...実行委員も悪いことばかりじゃないようだ。

理想の青春の為の糧にしようと画策してたけど、友達作りっていう面でもメリットがあるらしい。

ふふふ...最終的に他クラスの女子と友達になって、どの男子がカッコイイとか恋バナして...。


「華乃ちゃん?どしたの?」

「いや、あはは...」


...いかんいかん。今隣にいるのは私の妄想癖を知らない友達なんだった。気をつけねば。


「ねぇ...それでさ、華乃ちゃん。好きな人とか...いる?」

「...え」


いきなり恋バナの流れキターァァァ!

見たか小岩井くんよ!私の妄想だってたまには現実になるのだ。少女漫画のような青春も夢じゃないのだよ!


「...私は今はいないかな」

「小岩井くんじゃないんだね」

「違うよ!」


意外そうに言う菜子ちゃんに、私は全力否定。

何故みんなそう誤解をするんだ...そんな噂たったら遠のいてしまうじゃないか、私の青春!

...この下りさっきもやった気がするな。

苦笑いを浮かべながら、「菜子ちゃんは?」と話を振る。


「えと...私、は」


菜子ちゃんの頬がフワリと赤くなった。

...恋してる顔じゃないですか!?よく少女漫画である、コイスルオトメじゃないですか!?

羨まスィ...じゃなくて。


「えっ、好きな人いるの!?誰?」

「うぅ...何でもない!私こっちだからまた明日ねっ」


菜子ちゃんは真っ赤になって話を切り上げると、さっさと角を曲がってしまった。...残念、聞きたかったのになぁ...。

でもいいなやっぱり青春!よりやる気が湧いてきたぜ!

目の前にある電柱に気づかないまま思いっきりガッツポーズをしたら、肘を電柱に強打した。...痛い。そしてダサい。



翌日。放課後。

悩みに悩んで(ちなみに私が悩んだ。小岩井くんは何もしてない。膝の上でルービックキューブしてたぞアイツ!)なんとかレクの内容を決めることができた。

我がクラスのレクリエーションはズバリ砂浜リレーに決定。

...なんで砂浜でリレーなのかというツッコミは、置いておいて頂きたい。私だって悩んだのだ。悩んでる間に他のクラスがどんどん決めてきて、選択肢がより無くなってきたのだ。


「でもリレーだからレクの買い出しはあんまりいらないかなぁ...」

「そーだな」

「あとは...バーベキューの買い出しか。いつにする?小岩井くん」

「んー...」


カッチャカッチャ。

...お前なぁ...人が真面目にやってるというのに!

私は小岩井くんの手から力ずくで知恵の輪をもぎ取り、ものの3秒で外す。


「うわっ、何すんだよ!?」

「こっちが言いたいわ!なんでそんな暇つぶしグッズみたいなん持ってきてんの!?じゃなくてね、誰のせいで私が実行委員になったと思ってんの真面目にやろうよせめて」


普通ならさ。

こういう話し合いの時に急にしおらしくなって、『ごめん、俺が巻き込んだから...やりたくない仕事押し付けられたよな』「別に気にしてないけど...なんで私だったの?」『それはお前といたかったからだよ』「...それって...」みたいな流れに...っあ。


「...くくく...くはっ...お前、安定の...妄想」

「笑うな黙れ口閉じろ仕事しろ!」


...もう嫌だ話し合いの時間早く終わんないかな。他クラスとの交流とかにならないかな。

コイツと喋ってたら私の精神持たないんだが。...そろそろキレかねないんだが。


「みんな前日に駅前のスーパーに買い出し行くらしいから!それでいいよね!?」


笑顔で強引に同意を求めると、小岩井くんは笑いを堪えながら頷いた。...コイツまだ笑ってやがる...!

今すぐ蹴り飛ばしたくなるけど、ぐっと堪えて仏のように微笑む。そろそろ悟りが開けるんじゃないだろうか。


「はい、話し合い終わりねー。次は校外学習のしおり作りに移ります。学年で協力して作ってね...資料室解放するから、そこでやってください」


森先生の言葉に、みんなが立ち上がって動き出す。


「華乃ちゃん」

「あ、菜子ちゃん」


手前にいた菜子ちゃんがニコッと微笑みかけてくれる。...癒されるわ...。小岩井くんによって破壊された精神が綺麗に修復されていくぞ!

私は笑い返して頷き、そのまま資料室に向か...。

グイッ。


「ゲッホゴッホゲッフ!...げほっ、何!?なんなの!?」

「単独行動やめろ、バカが」

「単独じゃないし菜子ちゃんとだし!それに襟首掴む必要はないんじゃないかな、私は盗みをはたらいた猫じゃないよ!?」


仏頂面をする小岩井くんに怒鳴り返していると、クスリと菜子ちゃんが微笑んで...あ、もうこれなんて言われるのかわかるぞ。


「なかよ...」

「仲良く、ないっ!」


皆まで言わせるものかと電光石火の早技で即答し、小岩井くんの手から抜け出した。


「別に学年で協力するんだからいいじゃん、別に!」

「友達がどうこうはいいけど、ちゃんと仕事しろよな」


お前が言うか。

膝の上でルービックキューブやら知恵の輪してたお前が...(以下略)。

ダメだ小岩井くんにイライラするなんて無駄ムダ!

私は仏のような鉄壁スマイルを貼り付け、資料室へと急ぐ。うん。本気で悟りが開けるかもな。




「ふわぁー!終わったぁ」


しおり作りをやっと終え、私はふぅっ...と息を漏らした。

うむ。なかなか面倒な仕事だったけど、それなりに収穫もあった。

私は脳内に手帳を広げ(ホントは本物の手帳を広げたいのだが、生憎それは小岩井くんという悪魔に奪われっぱなしである)、タイトルに『今日トキメいたこと』と書く。


上原くん。重い資料の段ボールを代わりに持ってくれた...あれはなかなかキュンポイントだ。

そして新野くん。さりげなーく椅子を引いてくれてた...別に私のだけじゃなくみんなのだけど、気配りできるっていいことだ、うん。


こんなもんだろうか。そして次!

私は脳内手帳の次ページに、『今日ムカついたこと』と書く。

そして赤字で『小岩井深月』と書いてから、下にマーカーで五重線を引いた。

ムカついたこと...ありすぎて。...くっそぉ!


「絶対さっさと勝って手帳を取り返してやるううう!れっつとらぁぁぁい!」

「フッ、やれるもんならやってみろ頭の中花畑」

「...どわあっ!?...ヤメテ小岩井クン、後ろから急に話しかけんの」

「校外学習はお前にとっての大イベントだろ?チャンスじゃんか」


そう言う小岩井くんのドヤ顔には『まぁできるわけねーけどな、一応哀れだから応援してやっか』とはっきり書かれている。

......穏やかに生きよう。深呼吸しよう。目の前の奴に対する怒りをしずめよう。

私は日頃の精神修行の成果をフルに発揮し、満面の笑みを浮かべて言い放つ。


「そーやって調子乗ってて、私がサクッと勝っても知んないからね?」


戦いの火蓋が切って落とされる校外学習まで、あと少し...。


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