空に捧げる旋律

嘘敷き水晶

和風



わぁ、舞妓さんいたよ!

私がさした指の先を、君は追っかけた。

人混み中、舞妓が3人芸をする。

艶やかな布がひるがえり、重たげな髪の横で髪飾りがりんと鳴った。うっすら紅を引いた口から、古典が流れていく。

見とれていると、1人、潤んだ黒目と目が合った。


まぁ、確かに美人だけど……


君に目を向けた。そして、後悔する。

なんてこと。

君は今、恋を知ってしまった。


君が好きだ。叶わぬ恋と知ってはいたが。


こんな失恋嬉しくないね。

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空に捧げる旋律 嘘敷き水晶 @fimalwanderland33

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