タカヒロの家へ 1

 今は夏さかりということもあって夜でもかなり蒸し暑い。

 なので上は前空きファスナーのチューブトップ、下はタイトめなロングスカートのツーピース(今で言うところのセットアップ)をチョイスした。

 色味がオリーブグリーンなので派手さを旨く抑えられた感じだ。

 黄色味よりで、でも明るすぎないベージュブラウンのロングヘアは下ろしてストレートアイロンをかけ、サイドの髪は耳にかけた。

 手首には流行である15連ほどの細いリングをつけ、イヤリングは小ぶりで揺れるタイプを、サンダルはミュールタイプ(足首をストラップで固定していないやつ)の物を選んだ。

 これらをシルバーにすることで地味になりすぎずに統一感を出した。

 そこにアクセントとしてピンク色の唇をモチーフにしたペンダントネックレスを合わせることでギャル感も出した。

 そして今までのアイメイクは色物を乗せていたのだけれど、元々のパーツがはっきりしていた私には合わないと思い、ブラウンをベースに落ち着きのある感じに仕上げた。

 準備万端で家を出て、約束の23時に待ち合わせの駅に到着した。











 実乃果 『今駅に着いたよぉ♪

 タカッチはもう駅にいるのぉ?(^O^) 』



 とメールを送ったら











 タカヒロ 『今俺も着いた(^ ^)

 そっちに行くから待ってて。』



 とすぐに返信がきた。

 2分くらいして20m前方から歩いてくるタカヒロを発見した。

 めちゃくちゃにたかぶる気持ちを抑えつつ “出来る女” を漂わせる感じで顔の横で手を振った。

 近くまできたタカヒロは何だかキョトンとしたような表情でこちらを見ていて、










 タカヒロ 「よう。」



 と軽く挨拶を交わしてすぐに移動を開始した。

 私の服装やメイクがお気に召さなかったのかなぁ?(・ω・;)

 と心配をしたけれど、話し始めたら普通に接してくれたからあまり深い意味じゃなかったのかも?と思い直してタカヒロの横を歩いた。

 とりあえずどうやってタカヒロの家まで行くのかな?と思いながら付いていくと一台のスクーターの前にたどり着き、それにまたがってタカヒロは言った。










 タカヒロ 「バスの時間が危うかったからこれで来た(^ ^) 」



 うんうん、なるほどね~。

 …っておい!飲酒運転じゃん!

 お酒は大分抜けてるっぽいけど警察とかは大丈夫なのかぁ?★

 と一瞬思ったけれどタカヒロは話をつづけた。











 タカヒロ 「お前もメット被って。

 んで俺の前に座って。」



 と言われた私は『???』となった。

 座席は一つ分しかないように見えるし、私は無免許だから運転はできるわけもないし(そもそもスクーターに乗るのは初めてだし)、なのに私が前ってどーいうことじゃぁ???

 全くわけが分からずにいるとタカヒロは私にヘルメットを被らせ、自分の両腿りょうももを開き、その間を指差してここに座るよう誘導してきた。

 とりあえず従って座ってみると、二人羽織ににんばおりのように私の背後からタカヒロがハンドルを握ぎり、タカヒロの両腕と両腿に挟まれる形となった。

 タカヒロに包まれてもうドキドキが止まらなかった。



 実乃果 『 バイクに二人乗りだなんて、なんてロマンチックなんだろう(うっとり)』

 と思っていると、











 タカヒロ 「首を横に倒して、両手はスピードメーターの横な。

 バランス崩れるからジッとしてろよ(^ ^) 」



 と言い放ったと思ったら、タカヒロはお構いなしに発進した。











 実乃果 「いぎゃーーーーぁぁぁああ!!?★ 」



 スクーターの風圧と重力が私を襲い、座席が不十分すぎるがゆえにバランスが取りづらく、振り落とされるのでわ⁉︎とパニックになった。

 それはもう、声にならない声で叫んだ。

 もちろんロマンチックな妄想は秒であっけなく打ち砕かれた。




 20分くらい掛けて、ようやくタカヒロの家にたどり着いた。

 互いの頭を別方向にかたむけ固定していたので首は痛いし、全身の筋肉を使って制止をしていたので次の日には絶対 筋肉痛になるであろう感覚を覚えた。

 言ったら二人とも使い古しの雑巾のようにクタクタだったと思うww











 タカヒロ 「おめえ、うっせーよ…。

 はしゃぎすぎだ(-_-;) 」



 いや、あのですねぇ…はしゃいでいたのではなく凄く怖かったんですよぉ★

 タカヒロからしたら当たり前な乗り物で二人乗りもいっぱいしてきたかもしれないけれど、私は平凡な生き方をしてきたのでスクーターのあの感覚に耐えられる能力を持ち合わせていなかったのですよ(; ´ Д ` )

 むしろ初めて乗った割にはよく耐えたなと誉めてくれてもいいくらいなのに( •́ ₃ •̀)ブー

 と反論をしたかったけれど、そこはグッとこらえた。



 今思うと、足も広げられないロングスカートを履いてきてしまった私をどうやってスクーターに乗せようかと考えた結果がああいう乗り方となったのだろう。

 だから会ったときにタカヒロがキョトンとしたのもうなずけた。



 何だかんだあったけれど、タカヒロはすんなりと私を家に上げてくれた。

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