観察開始。1

 私が見る限りだとアサコとタカヒロはバイト先でイチャつくことはなかった。

 はたから見ればちょっと気が合う仲間の一人にしか見えないし、二人の距離もある程度を保っていた。

 私が二人と知り合ってからもこんな感じだったし、イザコザが生まれた今だからこの距離感になったというワケではない。

 あまり旨くはいっていないとタカヒロは言っていたけれどバイト先では今まで通り普通に話をしているみたいだし態度も至って変わらなかった。

 そりゃぁ付き合っている事すらも分かりにくいワケだwww



 私は改めてアサコという存在を分析してみた。

 彼女は全く女の子っぽくはなく口調は男の子みたいに荒い。

 男勝りで竹を割ったような性格と言った方がマッチしている。

 何せバイト先のキッチンで紅一点で男性陣と張り合い、周りに罵倒を浴びせるくらい威勢のいい子だ。

 あのストイックなタカヒロにまで容赦なく歯向かっていくからすごい。

 見た目も飾りっ気はなく私服もスポーティで色気とは程遠い感じなのだけれど、サバサバしていて社交的でムードメーカーな性格がウケているせいかアサコに魅かれて言い寄ってくる仲間も何人かいたらしい。



 正直言って私はアサコみたいな強めなタイプは苦手だ。

 何を仕出かすか分からないからこの手のタイプには近づかないように生きてきたくらい苦手だ。

 けれどもタカヒロの好みを知るためにも『逃げちゃダメだ…。逃げちゃダメだ…。』と碇シ○ジになり騒然と立ちはだかる使徒にあえて接近戦を試みることにした。

 …もとい、アサコに接触を試みることにしたwww

 とはいえそんな簡単に機会なんて訪れないだろうし、まぁゆっくりのんびり行こうや〜 _(:3 」∠)_ と思っていると、リアルな神様は早々にアサコとの接触の機会を提供してくれちゃいました★

 現実世界とは時に残酷だと思う…。



 ---------------



 この日も無事に仕事が終わり真っ先に帰ろうと出口に向かうと、バイトの男の子とアサコが会話をしているところにばったりと出くわした。







 Y君 「今からカラオケに行こう!(^O^)♪ 」



 とY君がアサコを誘っている内容だった。

 Y君はアサコに気があるという噂を聞いていたし、今日はタカヒロが休みという事もあって誘い出しやすかったんだろう。

 けれどもとうのアサコはあまり乗り気ではないようで少し困っている風にも見えた。

 私はそこを通りすぎようとしたのだけれど「ミノも一緒に行こうよー!」とY君は私までも誘ってきた。



 いやいやいやwww

 私をえさにアサコを釣ろうとしたんだろうけどそれは間違いだぞwww

 例のごとくアサコみたいなタイプを避けてきた私だぞ?

 そんな私とアサコに何の接点もないんだからその作戦は無謀ってもんよwww

 アサコだって私なんかと行動を共にしたがらないだろうしwww

 と高をくくっていると







 アサコ「……じゃぁ3人で行くかぁ…。」



 とアサコはなかば諦めに近いようなおもむきで返事をしていた。



 ええええ!そこ了承しちゃうの⁉︎ Σ(゜Д゜;)

 つーかそこに私の意志が全く反映されてませんけど…。

 二人で勝手に決めんな!ゴラー!!(`Д ´ ;)=3

 と言えないチキンな私はされるがままにカラオケボックスに拉致られていきました。チ~ン♪

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