第75話 別れ

「その方は確かトモカズの所にいた」

ヤタガラスが訊く

「えぇゼロでございます」


コウリュウが口を挟む

「セルリアンでありながらわしらの仲間になるか…10年前を思い出すのぉ…」

そこへセイリュウが

「それでそのセルリアンが私たちの代わりでもやるつもり?」


「代わり…とは少し違いますね」

「ではそなたは何をするつもりだ?」

ゲンブが訊く

「…………」

ゼロは無言で歩き出す

「おい待て何をする気じゃ」

スザクが呼び止め

「私はこれから下へ飛び込みます…」

「下へ言って何をするんだ?」

ビャッコが問いかける


ゼロは火口へ飛び込んだ…


「相変わらずここは不思議だ…さて」

ゼロは何かを探していた


その頃コウリュウは

「もしやあいつサンドスターロウを全て吸収するつもりでは…」

「どういう事だコウリュウよ」

「セルリアンはサンドスターロウを他の物から吸収出来る…あいつは山にあるロウを全て…」

「…!そんな事をすればあいつは!」

「ああ…おそらくキャパオーバーし破裂するだろうな…」


その頃カズ達は

「いいか!これ以上セルリアンを合体させんな!四神あいつらがフィルターを貼り直すまでなんとかして巨大化を抑えるんだ!」

大量のセルリアンを倒していた


「ようやく見つけましたよ…」

ゼロはついに見つけた

「サンドスターロウの原石…これを全て吸い出せばサンドスターロウは二度と…」

ゼロは黒い物体に手を伸ばし…

「さあ…始めましょうか」

サンドスターロウの吸収を開始した


その後もゼロはサンドスターロウを吸収していくが…

「ぐっ…これは…中々苦しいものがありますね!」

ピシ…ピシ…

ゼロの体から時折音がする…

「しかし私は負けませんよ!うおおおおおおおおおお!」

しかし…ゼロの体からはサンドスターロウが噴き出し始める…

「くっ…もはやこれまでですかね…かはっ…」


(やれやれ…私は結局何も出来ずに朽ちていく定めですか…トモカズさん達はまだ戦っているのに…私は…)


「私はまだくたばるわけには!」

「くっ…まだ持ってくださいよ私の体…」


そしてついに…

「はあ…はあ…やっと終わりました…これでサンドスターロウは二度と…」


へいげんでは

「セルリアンの巨大化が止まった…」

「四神さん達がやってくれたんですね!」

「ああ!いくらデカくても石を砕けば一太刀で終わりだ!」


「どうやら終わったようじゃのう」

「えぇ無事に終わりましたよ…」

「早くサンドスターロウを出したらどうじゃ?セルリアンを作り出せるんじゃろ?」

「残念ながらセルリアンを作れば再びサンドスターロウが生まれる原因となります…」

「じゃあ!どうするんじゃ!おまんは一体」

「私は海に行きますよ…私が溶岩となればサンドスターロウは無くなります」

「しかし…」

「今の私はいつ破裂するかわかりません…早く行かせてもらえませんか?」


「くっ…分かった…」

「トモカズさんにお伝えください…ありがとうと…」

ゼロは無言で歩き出した…


「ヤタガラスよ…わしは何も出来んのか…仮にも神であるのに…」

「…神とて万能ではない…その方が気にする事では…」



ゼロは海辺についた…

「後は頼みましたよトモカズさん…私はここで脱落です」

海へ向け歩き出す…

「…感情さえなければどれほど良かったか…私は最初から覚悟はしていましたよ…しかし」

ゼロは海の手前で立ち止まる

「やはり消えたくないものですね…あなた達と共に戦いたい…笑いたい…だが私はセルリアン…いつかこうするつもりでしたよ…ただそれが早くなっただけ…」

ゼロの足元には黒い液体が…

「やれやれ…感情を持ったが故に涙を…トモカズさん…最期に会えずにすみませんね…しかしあなたに会えば消えたくなくなる…覚悟が無駄になってしまいますのでね…」


「さようなら…トモカズさん…皆さん…そしてありがとうございます…こんな私を仲間にしてくれて…」

ゼロは再び歩き出す…

カズ達との思い出が…蘇る…

(私は幸せですね…セルリアンでありながらたくさんのフレンズさんと…人間に…)


ゼロは海へ沈んでいった…

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