異世界猫カフェ始めました。
蘇来 斗武
第1話 キャットフード転移
「ここは?」気がつくと目の前には白い壁が見えた。
目を開けてから30秒ほど黙って目を開けていると少なくとも自分が今、どこかで寝ているということは分かった。見えていたのは壁ではなく天井だということも。
起き上がろうとすると近くで声が聞こえた。中学生か高校生くらいの女の子の声だった。
「別に私一人で大丈夫ですよ?」「いえ、そういう訳には······」
ガチャン、と声のするほうから音が聞こえる。首だけを動かし、そちらを見た。
「アルテ!彼が目を覚ましたわよ!」
無垢な笑顔で駆け寄ってきた女の子は声から想像したように中学生くらいの女の子がいた。黒い髪を後ろで一つにまとめている活発そうな子だ。背後ではもう一人、その子は高校生くらいだろうか、女の子がいた。何故こちらを睨んでいるかは、とりあえず考えないでおこう。
まずは、状況確認だ。どこかで倒れて運ばれでもしたのか、僕は。
「えーっと、ごめんね。まずは状況確認がしたいんだけど、僕は
すると、僕は手前の髪を一つにまとめた子に聞いたつもりだったけれど、後ろで僕を睨んでいた大きいほうの女の子が一気に間合いを詰めてくる。
「姫に向かって失礼だろ!!国の未来を担うお方になんという口の利き方っ······」
そこまで言ったところで姫と呼ばれていた方の子が制止する。
「アルテ、彼は状況が呑み込めていないだけなのに、言い方がキツすぎるよ」
そう言われてアルテは黙り、「申し訳ありません」と小さく呟き後ろに下がる。
「私からも申し訳ありませんでした。私はエミリ、エミリーシア=アルマニア。
この国──アルマニア王国の王女です。と言ってもさすがにご存知ですよね」
アルマニア王国かー。ん?王国?日本にそんな地名はないはず······エミリーシア、エミリ······カタカナ!?外国の生まれなのかな。いやでも王女はさすがに······
「その、一応聞きたいんだけど、日本ってわかるよね?」
「日本?それは······食べ物ですか?」
マジか、駄目だ。考えが追い付かない。
つまり、ここは日本ではないが何故か日本語は使える。目の前には王女(中学生)。
それらが意味すること──ここは地球ではない?
ようやくある程度考えがまとまったところで僕はある生き物の存在に気づいた。
僕の横で丸くなっているモフモフした生き物の存在に。
「ニャーオ」
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