剣帝の子は剣聖
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プロローグ 夢の中から現実へ──
ドラグニア王国 アクラーナ村近くの森
「よし!今日も大量だぞ」
僕の名前はエルモンド!六歳でアクラーナ村にある教会で育てて貰ってるんだ!
僕には白と黒の剣があるからたまにだけどシスターに許可を貰って狩りに出掛けてて、今日は野ウサギ3羽と少し大きい
なんか今日は大切お客さんが来てるからお肉を取って来てって頼まれたんだ。
「うーん……一人じゃ持ちきれないな……」
野ウサギだけなら何とかなったけど、角鹿も捕まえちゃったからなぁ……。
「そうだ!
『呼んだ~?ご主人?」
名前を呼ぶと黒い剣(黒亜はかたなって言ってるけどね)から僕より頭一つ背が高く、
「うん!角鹿捕まえちゃったからさ持って欲しくて」
「お~♪良い大きさだねぇ♪良いよ任せて♪」
黒亜は片目を閉じて軽く角鹿を担ぎ上げた。
「ありがと、黒亜」
お礼を言ったら黒亜に頭をグリグリされた。
髪の毛がグチャグチャになるけど、黒亜の愛情表現らしいから、僕は結構好きだった。
村に近付いて来たとき、黒亜がいきなり立ち止まりもう一つのかたなから
「白亜?黒亜もどうかしたの?」
二人は周りを警戒している様に見渡していた。
「ご主人様、何かが燃える臭いと血の臭いが致します」
「これって……村の方から……?」
二人の言葉を聞いて、僕は思わず手に持っていた野ウサギを放りだして村に向かって走り出した。
「「ご主人(様)!?」」
後ろから慌てた様子で二人が追って来た。
村の入り口が見えてきたからもう少しスピードを上げて森から出た。
「…………えっ?」
村のあちこちから火が上がっていて、色んな所から悲鳴が聞こえ、地面に知り合いの人達が血を流して倒れていた。
「これは……!?」
「何が起きたの?」
白亜と黒亜も突然の事で目を見開いていた。
「シスター達は!?二人共、かたなに戻って!」
「分かりました!」「了解だよ!」
かたなになった二人を両腰に差して教会に戻った。
教会は何処も壊されてなくて、皆無事だと安心して中に入った。
「イヤァァ!?」「グヘヘ、そう嫌がんなよ。」「そうそう、すぐに好くしてやるからよぅ」「イヤ!離して!」
教会に入ると同時にシスターの悲鳴が聞こえて声の方を見ると、騎士の格好をした沢山の男達がシスターを囲んでなにかしていた。
「ちっ!冷めちまったぜ。オイ、例の二人は?」「ああ、もう確保してるぜ。」「そんな!?あの方達に何を──うぁっ!?」「うるせぇなぁ、黙ってな!」「くっ……かはっ!」
一人の男がシスターに剣を突き刺したのを見た途端、僕の中の何が外レル音がシタ。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
『ご主人!?』『ご主人様!落ち着いて下さ──』
「纏い!
瞬間身体が軽くなり、着ていた服が変わり、上が白で下が薄い青の異国の服袴になった
「な、なんだコイツ!?」「いきなり現れやがったぞ!」
「殺ス、コロシテヤル!!」
「はっ!やってみな!糞餓鬼が!」
其奴らはシスターを乱暴に床に倒して剣を持って向かって来た。
此処で俺の意識が閉じた。
目を開けたら、周りには誰も立って居なくて首が無い胴体や、上半身と下半身がバラバラの騎士の死体が有り、俺はその中でシスターを抱えていた。
「…………コレ、俺が……?」
『はい、私を纏いあの騎士達を……』
「……そう、黒亜」
『……ん?どうしたの?』
「皆どうなってるか、分かる?」
『……ご主人が戦い終わってシスターさんを抱き上げた時にちょっと見てきたけど、皆……剣で斬殺されてたよ……」
黒亜は人の姿になり目を伏せるようにして、悲しそうな表情をしていた。
「…………シスターが言ってたお客さんも?」
「ううん、二人は居なかったよ。探しに行くの?」
「うん、皆守れなかったから……その二人は護りたい。」
「ん、了解だよ」
刀になった黒亜を腰に差してシスターを優しく床に寝かしてから手を組ませてあげた。
「すぐ、戻って来るから待っててね……」
シスターに微笑んでから教会から出て村の人を殺している騎士達を殺しながらお客さんを探した。
『ご主人様!村の入り口を!騎士達の間にシスター様のお客様が!』
白亜の声を聞き入り口を見ると、騎士が集まっていて、その中に二人の小さい女の子が居た。
「護るよ、白亜、黒亜!」
『うん!』『御意!』
「纏い重ね!
呪文を唱えると再び服が変わり上が白で下が黒の異国の服袴に変わり、両手に白亜と黒亜を持っていた。
「ハァアアア!!!その子達から離れろぉぉ!!」
「おっと、危ないよ」
騎士を斬ろうとした瞬間に間に軽装の鎧を着た女の人に黒亜刀を剣で止められた。
「ハァア!」
「っ!?」
もう一つの白亜刀を逆側から剣を持つ腕に向けて振ると、女の人は慌てて腕を引いた。
腕を斬り落とす積もりだったが、軽く二の腕を掠った程度だった。
「ア、アレクシア様が手傷を……!?」「あんな子供に……?」
「まったく、私も鈍ったかねぇ?まぁ、少し眠りなさいな。」
女の人が手をこっちに向けてきたから何か来ると感じて身構えた。
『いけません!ご主人様、避けて───』
「ふふふ、眠りに《ソーン》誘う《プリグラシット》香り《ニゥン》」
白亜の声に反応する前に女の人の声が聞こえ、一瞬で意識を失った。
──────────────────
「んぁ?ふぁ~……朝か。なんか懐かしい夢見た気がするなぁ」
ベッドから身体を起こし立ち上がって窓を開けると、春の気持ちいい風が入って来た。
「もう春かぁ……母さんに引き取られてからもう十年か……早いもんだな」
身体を軽く動かし筋肉を解してから手早く着替えを済ませて一階のリビングに向かった。
リビングに着くと
「ん?おはようエル。今日は珍しく遅いね?」
「おはよ母さん。たまにはこういう日もあるよ。シルフィもおはよう」
「ん、おはよ、お兄ちゃん」
シルフィの頭を撫でてやると嬉しそうに目を細めていた。
「あ、ご主人様おはようございます」
「ご主人、おっはよーぅ」
「おはよ白亜、黒亜」
シルフィを撫でてると白亜と黒亜がキッチンから料理を持って出て来た。
「ご主人様料理をお配りするので、席にお着き下さい。シルフィ様もお席にお座り下さい」
「分かった」
「ん」
シルフィが母さんの膝から降りて、俺の隣母さんの前に座った所で白亜と黒亜が料理を配ってくれた。
「それじゃ頂こうかね?」
母さんの言葉に皆頷き手を合わせた。
「「「「「いただきます」」」」」
朝食を食べ終えてシルフィを膝に乗せてゆったりした時間を過ごしていた。
「そういえば、エルは今年十六歳になるんだよね?」
「ん?ああ、そうだけど……いきなりどうしたんだ?」
シルフィの頭に生えてる犬耳をフニフニと触っていたら母さんが唐突に話し掛けてきた。
「いや、そろそろ王都に戻って来いってジュディが五月蝿くてね。ついでにエルとシルフィを魔法騎士学園に通わせようと思ってね」
「…………え?」
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