取り敢えず刺す

取り敢えず刺すぞ

お前の腹を

取り敢えずな

考えるという行為のその前に

お前の腹を刺す

全てはそれからだ

だから今はまだ始まってもいない

取り敢えず刺す

それからその次に何をするか考える

お前は言う

「いや、刺す前に話し合いましょうよ」

否定する

駄目だ

そのような甘い考えは通用しない

お前がいる

そして肺呼吸をしている

それだけで罪なのだ

取り敢えず刺す

それは宣言のようなもので

もはや第三者が関与、出来る領域ではないのだ

独り言のようなものだ

空気に向かって語り掛けているようなものだ

そしてお前が抵抗しようが泣き喚こうが

関係ない

勘違いするな

おれは被害者なのだ

お前という存在に心底、迷惑を被っているのだ

もうおれはおれであることを偽りはしない

取り敢えず刺す

刺した

そしてお前が前のめりで倒れて

やがて呼吸は止まった

お前に良く似た奴が今度はお前の代わりにそこに立っていた

取り敢えず刺す

風船を抉るように

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