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そしてエロスが駆け抜けてゆくのでした

で、終わる宮沢賢治へのオマージュを込めたお前の投稿作だった

「批評、頼む」

ファミレスでおれはそう言われ困ってしまった

目の前に分厚い原稿用紙の束

毒々しい色のメロンソーダ

友人は言った

「………お前は2チャンネルで自分の居場所を持ってるんだろ? おれたちやりたくてもそんなことできねえ、なんだかんだ言ってお前に一目置いてんだよ」

おれは少し黙ってから口を開いた

「そうは言うけどさ、2チャンネルってどういう場所かお前、知ってるのか?」

お前は顔色一つ変えずに言った

「性犯罪の温床だろ? プリキュア見てオナったりしてる連中が大勢いるらしい………おれたちとそう大差無いじゃないか」

「まあそうだな」

おれは頷いた

お前はさらに続けた

「なんだかんだで同じ人類なんだよ、2チャンネルをやってるから引きこもりのロリコンでサイコパスだとか、そういった偏見とおれたちは戦っていかなくちゃならない、そうだろ?」

「まあ、言ってることは正しい気がするな」

おれはテーブルの上のメロンソーダを見た

(こんな液体がまだ存在するんだな………)

と思いながら

「ところで今週のプリキュアは見たか?」

お前は上半身を乗り出して言った

「いや、名前しか知らねえ」

お前は信じられないといった表情でおれを見た

そして哀れむように口を開いた

「可哀想に………」

本気で同情しているようだった

おれは無果汁のメロンソーダをちゅーちゅーとストローで啜った

その態度に友人が腹を立てた

「おい! 人がプリキュアの話しをしてるのにその態度はなんだよ!」

おれは言った「ちょっと待てよ」

だがそのあとの言葉が続かなかった

理解、出来なかったのだ

プリキュアの話しの最中にメロンソーダを啜ると激昂する人種がいるということが

友人は自分がいかにプリキュアを愛しているのかを力説し始めた

毎週、放送の三十分前には裸で正座して待機していることを誇らしげに言った

おれは取り敢えず目の前の世界から逸脱し精神的に銃刀法に違反するつもりである


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