神様からの贈り物

カゲトモ

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「神様からの贈り物、ですか?」

「そう、神様からの贈り物。花菱君は神様からどんな贈り物を貰ったことがあるの?」

「ん、そうですねぇ」

 そんなこと言ったって。神様からの贈り物、か。

「常盤さんはどうですか? 神様からの贈り物ってどんなものでしたか」

 目の前のカウンターに腰かける常盤さんはうっすらと笑みを浮かべてロックグラスを傾けた。かっちりとしているのに軽やかにスーツを着こなす姿は、さすが常盤社長と言うべきか。

「やっぱり立ち上げた会社が成功したことですか?」

「確かにそれも神様からの贈り物だったかもしれないね。私に世界を変えるような出会いを与えてくれたから」

「以前話して下さった社長さんの話しですか?」

「そうそう。あの人に出会わせてくれたのはきっと神様の贈り物だから」

 今ではモバイル会社の社長として勤務されているが、その昔常盤さんはごく普通のサラリーマンだった。そんな普通のサラリーマンが社長になるきっかけをくれたのが、某有名企業の社長さんだった。

「今でも仲良くしてもらっているし、本当にあの時、あの店に行って良かったなって思っている。一生を生きいく上で大切なことを教えてもらったよ」

「素敵な贈り物ですね」

「あぁ」

 そう言われれば俺だってこうやってバーテンダーを出来ているのは、マスターに出会ったからだし、常盤さんたちに俺の作った酒を飲んでもらえているのも、この土地に店を建てられたからだ。

そう思うと人生を創り上げるすべての事は神様からの贈り物で出来ているのかもしれないな。なんてロマンチスト過ぎるか。

「過ぎるわよ」

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