第ニ部 ー それは始まりを告げた

第2部 ー それは始まりを告げた


 ―― ドォォォン


 大地の揺れとともに、圧縮された空気が当たり一面に広がる。

 受け身を取る間もなく、その場に叩きつけられたモノ。

 突然おこった事態に、畏怖し、逃げ惑うモノ。

 舞い上がった土と埃に混ざる、火薬の匂い。


 そうして、そんな混乱が、場を包み込む中。


 ニヤリと嗤うのは、人か、妖かしか。






「もう、良い頃合いでしょう」


 契約で結ばれた馨結きゆうことぬえと、白澤はくたくこと滉伽こうがに、彼がそう告げられた翌朝。

 吉備真備きびのまきびの魂の記憶を持つ、陰陽師見習いの少年、賀茂かも真備まきびの運命が、急激に速度をあげて動き出す。


 ―― 運命とやらに選ばれぬ者に、ならぬよう。


 彼の背を、彼の手を、彼の心を護る2つの影は、この事態に何を思うか。



 それは、彼等にしか、分からない。

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