第3話 マンガ好きな男子と
その男子とは、それからも
まあ彼の家についてはよく知らないけれど、同じ高校に通う生徒だし、行動エリアがかなり近いのでしょう。
コンビニ店内に入ると軽快な電子音。
雑誌コーナーで立ち読みをする男の横に、私が近づき、男の顔を見ずに週刊少年跳躍を手に取る………『週刊少年日曜日』、も棚にあった。
それもあとでチェックしないといけないなー。
マンガを読む動作。
それは朝登校して、自分の席につき、カバンを机の横のフックに引っ掛けるのと同程度の心境で行われた。
まあそうやって定位置につくのだった。
「今週の、見た?」
「ああ―――『
「うん」
その男子、家足(なんて読むのかわからん、いえあし?)は、当初は言葉少なではあったが、極端に厳しい目をしているわけでもなく、面白い作品を見たときは面白い、という男子だった。
読み終わると、そして色々比較すると、確かに今週は面白かった。
「今週のはなかなか………新キャラがかなりキテるわね」
「
「どうやって勝つの、彼―――
「剣に能力があるけれどなぁ、あの青い宝玉がどういう能力なのかだけわかればいい」
「能力………たとえば槍使いのチカラを弾くとか」
「槍だけ?槍限定………」
そのコマを思い出す。
男子も、同じ光景を想い浮かべているはず。
「たぶんねー。だって他の攻撃は全部受けてたし」
「んんー、まあそうだけどそれだけかなあ」
「ていうかあの二人知り合いじゃね?
「それ!それあるよな先週のアレの意味って、たぶんだけど」
「うん。ていうかひどいよ、あの別れ方爆笑じゃん」
立ち読みのついでに簡単に話すだけの、この時はそういう間柄だった。
私はそれまでの日常に現れた、少しマンガ好きな男子だと、それくらいに思っていた。
いや、そう思うだけでなくもう少し掘り下げれば、私の方が読んでいるという自信はあったかな。
少女マンガまで守備範囲に入れている私に分があるのではと、意味もなく勝者の気分に浸かっていた。
ううむ、こういうところが私だなぁ。
自分のそういうところは好きだし誇りに思ってるし、でもそれと同時にだから私は男子から好かれないんだろうなとも思っていた。
大抵は私が先にポジションを離れる。
雑誌コーナーを離れ、菓子パンか紙パックの飲み物と、読んだマンガをレジに持っていくことが多かった。
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