えにっき

琥珀 燦(こはく あき)

一、

「ああ、くもってるねえ」

 おばあちゃんが朝早くから、西の山の方の空を見ながらこまった顔で言っています。

「きょうは、ナオくんとミオちゃんをロープウェーにのせてあげようと思ったのに」

ナオは一年生。三つ下のいもうとミオと、父さん母さんといっしょに夏やすみ、おじいちゃんちに来ています。きょうは西に見える山に行ってロープウェーで山の頂上に行こうと計画していたのですが…。

「あんなに雲があってはけしきも楽しめないわねえ」

とおばあちゃんがざんねんそうに言いましたが

「いいんじゃないか?ナオとミオには、けしきよりロープウェーにのせてあげることがおもしろいだろうし」

と、おじいちゃんがニコニコわらっていいました。

「そうねえ。じゃ、じゅんびしましょう」

おばあちゃんは、おにぎりと、たまごやきと、とりのからあげと、わすれずに、ナオの大好きな、きゅうりのぬかづけをおべんとうに入れました。



車で山のふもとについたときには まだ空は晴れていたのです。

ロープウェーにのりこむと、下の方にはおばあちゃんの住む町のけしきがすばらしく見えました…がナオはちょっと、高いところがこわくて だまってしまいました。

 3さいのミオはまったくへいきで、すれちがう下りのロープウェーのひとに手をふったりして。

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