第30句 ワシミミズク


折れ果てて 何おもんみるか 枯葦かれあし


・ー・ー・ー・ー・ー・


ヒトの絶滅したこの島で…、いえ、居なくなったこの島で、ヒトの遺したものを探し考える毎日。


けものとして、自らを「弱い生き物」と断定して生きている生き物。


我々猛禽類には及びもつかない考えがあるように思えてならないのです。


結果としてヒトは、「知能」という一点に特化し、そして繁栄を極めたのですから。


では、そんなヒトの特異である「知能」を得た我々は、一体何なのでしょうか。


問い掛けても、答えるものは皆枯れて、風に揺られるばかり。


考える葦はただ黙って下を向き、ならばこそ我々は、考え続けなければならないのです。


この島の、長なので。


〜ワシミミズク


【季語】

枯葦[冬]:水辺や湿原に残った蘆(葦、芦)が折れ伏したり、立ったまま枯れているさまをいう。

一面の枯蘆原に淡い日が差したり、枯蘆が風に音を立てる様子は、冬の景色を一層寂しいものにする。


惟る:よく考える。思いをめぐらす。


パスカルの言葉、「人間は考える葦である」より。

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