第22句 サーバル


問うは誰 勿忘草わすれなぐさよ なぜ流る


・ー・ー・ー・ー・ー・


一頻り泣き通すと、サーバルちゃんは困惑した様子で、わかんないや、と目を腫らしていました。


ボクも泣きそうな顔をしていたからでしょうか、慌てる様に、大丈夫だから、大丈夫、でもあれは何だったんだろう、とみんなに話し始めます。


サーバルちゃんとは違うサーバルちゃん。


それを見て泣いちゃったサーバルちゃん。


…泣くって、どんな気持ちなんだろう。


悲しい時?辛い時?それとも…。


ボクはまだ泣いた事がないから。正直よくわからないけれど。


以前、ボクはダメなフレンズなんだって、ボクには足りないものがたくさんあるんだって思った時は、なんだか少し泣きそうになりました。


ボクに足りないもの。


サーバルちゃんに足りないもの。


…あったのに、なくなっちゃったもの。


きらきらとしたサンドスターが、窓の外を流れていきました。


〜かばん


【季語】

勿忘草[春]:ムラサキ科の多年草であるが、一年草として観賞用に栽培される。

原産地はヨーロッパで、十から三十センチほどの高さになる。花期は三月から七月頃。薄紫の五弁の花をつける。

その名称の由来はドイツの古い物語より。恋人の為に花を摘んでいた男が川に流されてしまい、最期の力を振り絞って投げた花と、その言葉が「私を忘れないで」であったことから。


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