第171話 王の妃
リュジャナとアズキとの結婚を宇喜多歩華に話すと、呆れたようにこう言ってきた……
「本当に男って……他のクラスメイトの男子たちもハーレム作ったり、妻を十人も貰ったりしてるようだけど……飛田くんも同類だとは思わなかったわよ」
「いや……確かに同類なのは否定しないが……二人ともちゃんと好きだから結婚するんだからな、ハーレムとか興味ないし……」
「好きってだけで結婚って発想が幼稚なのよね……まあ、それならもう一人ぐらい面倒みてあげてくれない?」
「え!? 誰の面倒だよ……まさか宇喜多じゃないよな」
「まさか、それはないわよ……瑠花よ……あなたのことがずっと好きだったみたいよ」
「阿波か! 嘘だろ! そんな話全然聞いたことないぞ」
「そりゃそうよ……私だって最近知ったんだから……」
阿波瑠花のことをそんな風に思ったことなかった……裕太はどうしたものか考えたのだが……本人がどう思ってるかが一番大事だと考え、阿波瑠花に直接話をした……
「阿波……なんかこんなこと聞くのも凄く変なんだけど……俺の妃になりたいとか……そんな風に思ったりしてたりするか……あっ、変なこと聞いてるのはわかってるんだけどな、もしかしてって思って……」
そう言うと、阿波はウルウルと涙を零し、こう言った……
「それは求婚なの飛田くん……だったらイエスです……私はあなたのお嫁さんになりたい……」
しまった……聞いてしまったら後戻りはできない……俺は阿波も嫁に貰うことになってしまった……
一度に三人と結婚……流石の状況に混乱してきた俺は、軍師のフィルナに相談した……
「何か問題なのか?」
フィルナの答えはその一言であった……
「いや……いきなり三人と結婚だぞ、いくら王様でもそれはおかしくないか」
「まあ、一般的にはそうだけど、世継ぎを作るのは王としての大事な使命の一つだからね、一人の妃にその責任を負わせるのじゃなく、多くの妃に分散して多くの子種を作るのは効率的にもリスク回避的にも悪いことじゃない」
「倫理的にはどうなんだよ」
「エイメルの口から倫理とは……一般人の倫理と王の倫理は違う、一人の妻を一生大事にするのも素晴らしいことだが、王にとっては多くの妻に子を与えることが同じくらい素晴らしいことなんだ」
「だけど……やっぱり……女性って自分だけを好きでいてくれた方がいいんだよな」
「そりゃそうだ、女性は独占欲が強い……だから気をつけるんだね、怒らせて首を切られたりしないように……」
「うわ〜っ! やっぱり結婚するなんて言わなきゃよかった!」
「そうならないように全員を平等に愛すようにするんだね」
「…………フィルナ……無責任なこと言うよな……そんなこと言うんだったら……」
「……うっ……なんだいその変な考えしている目は……」
「そう言えばフィルナも女性だよな……」
「ちょっと待て、僕は女性なのは半分だけで……」
「それがどうした! こうなれば三人も四人も一緒だ! フィルナ、妃になってくれ!」
「ば……ばかなこと言い出すな! 僕は子供ができるかどうかもわからないんだぞ」
「できる!」
「何を勝手に……」
「それとも俺の妃になるのは嫌なのか?」
「……なんだよ、その子供のような純粋な目は……もう……そんな目でそう聞かれたら拒否できないだろ……エイメル……き……嫌いじゃ無いよ……どちらかと言うと好意を持っている」
「よし、それじゃ、なってくれるよな妃に!」
「……わかった、なってもいいけど……本当に子供はできないかもしれないよ」
「それもで構わない」
「たく……手当たり次第に妃にしてどうするんだよ……そうなるとあの竜人族の双子とか他にも妃候補が出てきそうだな……」
「まあ、その時はその時だ、もう俺はもう誰も拒否しないぞ!」
「変なところで王らしくなってきたな……」
いきなり四人を妃にすると言い出した裕太の言葉に、アースレインの重鎮たちは戸惑いを隠せなかったが、王として世継ぎ問題を心配していた者も多く、それほど反対意見もなく受け入れられた……
「エイメル、お前が別に何人の女を妃に迎えようが良いのだが……知っているとは思うが、ヒュレルとファシーはお前に好意を持っている、まだ二人は幼いゆえ、すぐにとは言わないが、ゆくゆくは二人もその中に加えてやってくれぬか」
妹想いの兄の言葉に、裕太は戸惑っていた……ええ! ファーとヒューって俺のことそんな風に思ってたのか! と、全然気づいてなかった。
「わかった、二人がそれを望んでいるのなら俺は拒否しない」
それを聞いたクリシュナは微笑んだ。
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