第42話 第二回クラス会
久しぶりに委員長から連絡が来た。クラス会をやろうとの誘いである。もちろんみんなの近況も聞きたいので参加を伝える。前よりは国も大きくなっているので、それほど卑屈になることもないだろう。
クラス会の時間になると、自室に入り、人払いをする。椅子に座って待っていると、視界がどんどん暗くなっていき、目の前には、大きな円卓が現れる。
「どうだよ調子は」
いきなりそう声をかけられて見ると、隣は前と同じで偽イケメンであった。
「まずまずだな。そっちはどうよ義之」
「俺はいつも完璧だ」
義之に、調子なんて聞いた俺が悪かったのだけど・・・とりあえずそんな義之は無視して、夢子に贈り物のお礼を言う。
「夢子、オリハルコン硬貨、ありがとな」
「あっ、ゆーちゃん。ちゃんと届いてよかったよ」
「そういえば、義之も送ってくれるって言わなかったか、まだ何も届いてないぞ」
裕太の言葉を聞いた義之は、何かを思い出したような顔をして、こう口にした。
「すまん、すまん、完全に忘れていた。今度ちゃんと送るから勘弁してくれ」
「だと思ったよ。まあ、そんなに期待してなかったからいいけどね」
義之をそうやってチミチミ責めていると、委員長が何やら言い始めた。
「さて、みんな集まったみたいだから、クラス会を始めるよ。今回は議題があるんだ、クラス同士の争いについてのルール決めについて意見を聞きたい」
それを聞いて、不動が軽く手を上げて意見を言う。
「何だ、そのルールってのは、争いにルールもクソもないだろうが」
不動に敵対している黒崎も、このルール決めには反対のようである。
「強いものが勝つ。それが自然なことだ。仲良しこよしのクラブ活動じゃないんだぞ、戦争に何のルールが必要だ」
二人の意見に、明確に反対する者が発言する。それはクラス内でも比較的弱小国の王たちであった。
「最初の王の振り分けで、当たり外れがあるんだ。それで強いもん勝ちなんて言われたら、弱小国になった俺たちが不利すぎるだろうが」
「そうだ、そうだ。強国になったからって調子にのるなよ」
「私の国なんて、兵力が五万しかいないんだよ。周りの国は十万を超える大国ばっかだし、攻められたらイチコロだよ」
そんな弱小国の王たちに、黒崎は激しい一言で切り捨てる。
「ならば群れるがいいだろう。弱いなら弱いもの同士群れて、強い者と戦えばいい」
「ならばそうさせてもらうぞ黒崎!」
そう言ったのは、
「今、立ち上がっている南方国家の五人は、黒崎のレイディモン神帝国に対抗する為に、南方連合の設立を宣言する。今後、俺たちの誰かに侵攻した場合、この五人全てと戦うことを頭に入れとけ」
南方連合のメンバーは、村瀬、辻、下田、倉敷、中森の5名であった。どの国も強国とは言えない国々である。
「ほう・・面白い。群れてどれくらい戦えるか見せるがいいぞ。だが、どうして鳴子と鳳はその南方連合に入っていないんだ。どうせなら敵は強い方がやりがいがあるんだが」
その黒崎の発言に、
「もちろん、同じ南方だから私も誘われたわよ。でもね、その連合に興味がなかったから断ったの」
鳴子に続いて、
「僕も誘われたけどね、どうも連合とかってなんか、かっこ悪く見えるからね、スマートに生きたいんだよ僕は」
この二人も参加していれば、南方連合も脅威であったかもしれないが・・黒崎は少し残念に思っていた。
「おい。それより黒崎。俺をそろそろ解放してくれよ」
そう黒崎に話しかけたのは、黒崎に拘束されている広尾純也であった。
「そうだよ。黒崎くん。国を滅ぼした挙句。ずっと拘束してるって話じゃないか、さすがに広尾くんが可哀想だから、解放してあげてくれないか」
委員長がそう広尾に助け舟を出す。
「なるほどな、今日、委員長がクラス間の争いのルールとか言い出したのは、広尾のことがあるからか」
「まあ、そうだね。さすがに見て余るから、ルールを決めたいと思ったんだよ」
「ふっ。いいぞ、解放してやるよ。だが、すでに王でなくなったそいつに何ができる。一般市民として細々と生きることを考えると、同情を禁じ得ないな」
ここで委員長が話を閉めようとする。
「ええと、とにかく、最低限のルールとして、クラスの国を滅ぼしたら、その王は即解放してあげるってことにしたいんだけどいいかな」
その案に、反対意見はなかった。なので、クラスのルールの最初の決まりは、クラス間での敗北後は、即解放を原則とする。と決定した。まあ、これくらいのルールはあっていいと思う。そのルールを決めると、今日のクラス会は終了となった。
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