第4話
「ね~ね~今度の日曜日どっか行こうよ~」
「え?いいけど、どこ行きたいの?」
「どっかだよ、どっか~」
「どっかってどこだよ~?」
はいはい。おめでたい人たちね。
目の前でいちゃつくカップルをよそ目に、
お決まりのような恋愛小説。
彼女の携帯電話でも気軽に読める、彼女の通学時の娯楽だった。
「ね、あの子・・・今時ガラケーじゃんw」
先ほどのカップルが黙ってほしいくらいのボリュームで
こちらを標的にしてくる。
「おい、あんまり言うなよ。かわいそうだろ」
男の方がかばうように言うが、笑っているのはわかっている。
それに、かわいそうって何だ?
スマホが買えないくらい生活がひっ迫しているとでも?
さすがに少し腹がたったので、電車を降りるついでに
文句でも言ってやろうかと席を立った時だった。
「おい。」
急に、さっきとは違う男の声がした。
「お前ら、あの子に謝れよ。」
「さっきからデカい声で人のケータイがどうとか言ってるけど」
「そんなに人との優劣つけてーのか?」
この男子高校生は、先ほどまで自分が思っていたことを、そのまま口にしたのだ。
「はぁ?なんで俺たちが謝らねーといけねーんだよ。」
「そうよ。別にウチら、悪いことしてないし。」
「自分たちが悪いことしてるって自覚もねーのかよ。」
「んだと?てめ―さっきから・・・」
そこで、電車は駅へ到着した。
「あ、おい!てめー待てよ!」
なぜか
「・・・なに?」
なぜ自分が呼び止められるのかわからない。
「お前のことで揉めてんだろーが。」
「そうよ!」
どんな言いがかりよ。
「おい。引き留めるならまず彼女に謝れ。」
いや、それもよくわからないんだけど・・・
「・・・そっちが勝手に始めたんじゃない。」
さすがに理不尽な理由で責められているのは我慢できなかった。
「おいなんだてめーその言い草は!!!」
そっちこそなんだその言い草は。
今時中学生でもそんなイチャモンの付け方しないよ。
ついに男の方が我慢できなかったのか、こっちに掴みかかってきた。
次の瞬間
二人の男は宙を舞っていた。
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