004: 2017/12/02『明日は雪が降るんだって』

「明日は雪が降るんだって」

「え、本当に? 参ったなあ、楽器ケースのカバー出さないと」

この時期にしては早い、都市部での12月の雪。

雪が降ることすらめずらしいだけに、都市部では簡単に交通がマヒしてしまう。

電車は止まり、バスもじゆうたいまれる。

台風の時よりたちが悪い。

れんが、タンスから100円均一で買ったカバーを引っぱり出す。

それぞれの楽器ケースに軽くかぶせると、蓮がはくの方を向く。

「今日のうちに、明日の朝食のみしておこうかなあ。琥珀、スーパーの買い物手伝って」

「はーい」

上着を着て、アパートのとびらを開けると、冷たい風がむ。

「うっわ……寒い」

「冷えるねえ……」

たがいの白い息を見て、朝食のメニューを考える。

なべだと重いし、お湯でかすスープでいい?」

「……だね」

冬のんだ空は、すでにぐんじよういろとおしている。

ただ一つ、満月の光が空気を満たす。

「「……れいだね」」

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