祝!4000PV突破! 第18話 獲物を狩るもの

 この前はひどい目にあった。


 響は青い草原に寝ころがっていた。


 創世開発機構の行動はシャレにならない。


 仕方ないので響は気分を切り替える。


 マイホームのほうは順調に進んでいる。


 現実世界の時間の流れであと数日で完成するらしい。


 こっちは順調だ。


 問題は鍛冶師。二人一組で鍛冶をするので二人分のライフ・マテリアルを4個集めなければならない。

 つまりあと4匹殺生をしなければならないのだ。

 気が重い。


「なーにこんな所でサボってるのよ」


 ルナがのぞき込む。


「いや、ライフ・マテリアルをあと4個集めるのってしんどいなって」


 ルナはぷー、と笑う。


「やーねー。それなら狩人を作ればいいじゃない」


「出来るのか?」


「もちろん」


 それを早く言え。


「まあ最短距離で進んできてるから今までそんな余裕なかったんだけれどね」


 ルナは指を立てて、


「あと貴方の戦闘技術向上のためと対大吾のためにだけどね」


「もう俺は直接狩りに行かなくていいのか?」


「その場合、狩人とあなたのレベルは止まって獲物だけがどんどん強くなる仕組みになるけどそれでいいの?」


 それは勘弁、と俺の顔に出たらしい。


「だから獲物にはチームとして当たること。ま、何も問題ないわ」


 そしてルナはじゃーん、とライフ・マテリアルを出す。


「さっき森の入り口付近のトラップで見つけたのよ。これで狩人でも作りましょ」


 さあ、いくわよ、とルナがライフ・マテリアルを輝かす。


 響は集中し、コンソールを叩いてタップする! イメージメーターがぎゅん、と上昇。


 そして光の中から緑色の軽装で肩出しルックの弓矢を持った短髪の女の子が現れた。


「へえ、意外とまともな服装ね、私と同じ肩出しルックなのが気に入らないけど」


「私、職業狩人のユミです。よろしくお願いします」


 まぶしい笑顔で挨拶してくる。


「よろしくね。私はアドバイザーのルナ。こっちは職業半ニートの響」


「ニートは職業じゃないだろう。それにもうニートは卒業だ」


「それはどうかしら」


 ルナが意味深なことを言ってくる。


 それはおいといて、とりあえずこれで戦力が倍以上になる。


 ーーー森の中ーーー


「そっちに行ったぞ!」


「任せてください!」


 二人の連携で獲物を狩っていく。


「背後に回り込まれました!注意してください」


 俺は背後に向き直る。草むらから黒犬が飛び出してくる!

 この状況は想定内。左手に厚手の布をぐるぐる巻きにしている。それをわざと噛ませる。

 そして黒犬の腹にナイフを突き立てる。

 黒犬は2個のライフ・マテリアルになる。


「おや?ライフ・マテリアルが2個に増えたぞ?」


 ユミは近づいてきて、


「大丈夫ですかマスター?」

 

「ああ大丈夫だ。何かマテリアルを2個手に入れたんだけど」


「ライフ・マテリアルを6個集めたし、ルナさんに聞いてみましょう」


 ーーー完成間近の家の前ーーー


「おーいルナ」


「何?」


「黒犬を狩ったらライフ・マテリアルを2個手に入れたんだけど」


「ああ、危険度が高まるほど多くのライフ・マテリアルを手に入れられるのよ」


 そういうのは早く言ってほしい。


「お前、最近自分の仕事を放棄してないか?」


「や、やーね。家や鍛冶屋が出来るまで待機してるだけよ」


 やれやれ。


「まあいいや、ライフ・マテリアル6個集めたから鍛冶師2人生み出してくれ」


 ルナの前でライフ・マテリアルが光り始め、

俺は『鍛冶師』をイメージし、タップする。


 光は最大限に輝きーーー


 双子の女鍛冶師が現れる。両方ともピンクの長髪で服装は厚手の上着にジーンズを着ている。


 俺はルナに聞く。


「2人同時に生み出すと必ず双子になるのか?」


「そうじゃないけど・・・偶然ね。今度3人分で試してみましょうか」


「マテリアルの無駄遣いするなよ・・・まあいいや、俺は響、この世界のマスターだ。よろしく」


 鍛冶師はうやうやしく頭を下げ、


「鍛冶師のマーです」

「鍛冶師のハンです」


「「よろしくお願いします」」


「私とは初めてじゃないわね」


 二人は頷く。


「またよろしくお願いしますルナ様」


 こうして俺は着実に仲間を増やしていくのだった。

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