祝!3100PV突破! 第16話 決戦! 響vs大吾
「いてて、少しくらい容赦しろよ」
体のあちこちがギスギスする。
「あんたがセクハラばかりするからでしょ」
「・・・まあいいや。ちょっと聞きたいことがあるんだ」
響はルナに向き直り、
「創世開発機構、つまりこのゲームを作った会社、もしくは組織はいったいどこにあるんだ?日本?それとも海外?」
「どうしたの?いきなり」
「クエストをこなせばこなすほど疑問に思ってさ。動物愛護団体がクレームをよこしかねない小動物を狩るクエストとか」
ルナはため息を吐く、
ルナは指を一つ立て、
「この世界を作った組織の場所は言えない。ただ日本に支部があるわ」
ルナは二つ目の指を立て、
「次にこのゲームをプレイできるのは想像力にかなり長けた人だけだから動物愛護団体には見つからないわ」
ルナは三つ目の指を立て、
「最後ににクエスト。今は小動物だけどマテリアルを集めれば集めるほど大型の動物に変わっていくわ」
「俺の予想を言ってもいいか?」
ルナは頷く。
「次の動物はズバリ犬だ」
「さすがにこれまで小動物を相手にしてきただけあるわね。そうよ」
「今後は今までと同じようにはいかない。噛まれたら骨を折られるレベルだ。今から準備をしないといけない」
ルナは顔を寄せる。顔が近い。
「具体的に?」
「武器・・いや防具屋か?違うな、鍛冶屋だ。武器と防具を作ってくれる鍛冶屋が必要だ」
「なるほど、なんか今日のあなた冴えてるわね」
俺は頷き、
「今日なら大吾100%にも勝てる気がする」
「じゃあ行っときますか」
青い草原の上、大吾100%と響が対峙する。
まず間合いをじりじりと詰める。リーチはあちらが上だ。拳と蹴りの間合いに入らないよう近づく。
「おい、どうした大吾。ビビってんのか?」
挑発する。
「何だとこの野郎、響のくせに!」
挑発に乗った大吾は大振りのフックを打ってくる。
すかさず俺はかがみこむのと同時に相手の懐に飛び込む。上から下へは殴りにくいのだ。
響は相手の脇腹に右のボディブローを放つ。
大吾の体がくの字に曲がる。続けざまに左のフックで横っ面を殴る。最後はアッパーで顎を打ち上げる。
結局大吾100%は何一つすることはできずに倒れた。
「エクセレント!やったじゃない!響!」
ルナは響に抱きつく。
「お、おい」
すぐにはっ、として離れ。
「まあまあね。全てはわたしのコーチのおかげだけれどね」
「ああ、ルナのおかげだ。感謝している」
ルナは顔を赤らめ、
「きょ、今日のあなた変よ」
「いつも通りだよ。さあ、今日は戻って明日大吾に挑戦しよう」
ーーー翌日・放課後ーーー
学校の屋上で。
「よお響、1ヶ月経つにはまだ時間があるぜ?」
「必要ない。もうお前を倒せる」
不良グループはどっ、と笑う。
「面白い冗談だ。受けて立つぜ。その代わり俺が勝ったらルナさんは俺のものだ」
響は間合いを計る。相手のリーチぎりぎりまで引き付ける。そして挑発。
「お前鏡見たことあるのか?ルナがお前みたいのと付き合うわけないだろ」
「てんめぇ!」
大吾の大振りのフック。
俺はかがむように相手の懐に飛び込んでーーー
そこで予想外の反応が来る。
大吾は右ひざ蹴りを放ち、響のガードごと蹴り飛ばす。
「・・・さすがにシミュレーション通りにはいかないか」
相手もルナを手に入れるため鍛錬したんだろう。
「お前以前と違うじゃん。特訓の成果が出ましたってか?」
「お前の頭が栗頭で変わらないのとは違うんだよ」
大吾は激昂して響を掴みにかかる。俺は頭突きでカウンターを決める。大吾が後ろによろめいたところで足払い。
大吾はあおむけに倒れる。響は馬乗りになり、両手を合わせ大吾の顔面に叩きつける。
大吾は意識を失った。
「大吾さんがやられた」
「嘘だろ」
「くそ、こうなりゃ構わねえ!皆でふくろにしちまえっ!」
「あなたたちの相手は私よ」
ルナが前に出る。
そして、
一人目の懐に入りみぞおちに掌打、
二人目の側頭にハイキック、
三人目の腕を取り背負い投げ。
全員倒すのに10秒かからなかった。
ルナは恍惚とした表情でいる。
ああ、そうか。ルナって格闘オタクだったんだ。
今までのプロレス技を思い出す。
まあそれは置いといて。
「ルナ。俺にほら、なんかこう、ない?」
「?、何が?」
「ほら、勝者へのご褒美とか」
ルナは、はぁ?、とした感じで、
「何言ってんの?ここまであなたを鍛えたのは私なのよ?むしろっこっちがご褒美とかいただきたいわ」
「ですよねー」
可愛くない。
昨日のアレは自分の教え子の成長を実感したからだろう。
まあとりあえず俺に乗っていた重しが一つとれた。それでいいか。
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