第20話優しい守衛さん

森は広葉樹という木だそうで、森の中に入ると太陽が見えなくなります。


僕は、さっき掛けた魔法をまた使います。


僕と、ミカちゃんの体が、薄っすら黄色く光りました。


「子猫ちゃん、ありがとうにゃ」


「みゃぁ~!」


お礼なんて要らないのに……僕が好きでしている事ですから。


薄暗い中を、奥に向かって歩きます。


え?方向感覚ですか?


僕のお髭は、方向や隙間を感知する為にあるんです。だから問題ありませんよ?


そんな感じで歩いていると、奥から『グギャグギャ』声がします。


あ、この声、聞いた事あります。


「子猫ちゃん、居たにゃ!」


「みゃぁ~!」


どうやらゴブリンとは、緑の人の事だったようです。弱いから平気ですね!


僕達は、こっそり木の陰から声のする方向を覗きました。


すると、緑の人の家が沢山ありました。


「ちょっと多いかにゃ」


「みゃぁ~みゃぁ~!」


僕は否定します。


僕が飛び込んで撹乱しましょう。


僕は、ゆっくりと緑の人が住む家の方に歩いていきます。


たまに後ろを振り返ると、心配そうに見つめているミカちゃんの顔が見えます。


僕は、一番近い緑の人、3人に爪を飛ばしました。


くるくる回転しながら飛んで行った爪は、緑の人の首に当り、


首は地面に転がっていきます。


続いて、奥の緑の人に爪を飛ばすと、それに気づいた緑の人が、


木の棒を目の前に置きました。


でも無駄です。


爪は、木の棒を切り裂き、奥にいる緑の人に突き刺さりました。


家の外に居る緑の人はこれで全部です。


ミカちゃんが、こちらに歩いてきます。


すると――。


外が静かになったのを不審に思った――家の中にいた人が出てきました。


ミカちゃんが見つかり『グギャギャグギャ』何かの合図でしょうか?


声を聞きつけた、回りの、家の中の緑の人が大勢外に出てきます。


僕は、人の多い所にさっき使った、冷気を飛ばします。


ひんやりした空気の後――水滴が集団へ飛んで行き、


あっという間に5匹凍らせました。


ミカちゃんも参戦します。


ミカちゃんは掌を翳すと、鉄の鏃が手の周りに浮かんで、


次の瞬間には、緑の人3人に当りました。


まだまだ緑の人は居ます。


僕の冷気と、ミカちゃんの鉄の鏃の攻撃で、家から出てきた緑の人が、皆動かなくなるのはそう時間が掛かりませんでした。


「これ全部から耳と魔石を取るのは大変にゃ~」


「みゃぁ~!」


でも、美味しいものを食べる為です。


やりましょう。


ミカちゃんが必死に、緑の人から骨を回収している間に、


僕は、爪で耳を切り裂いていきます。


全部集め終わると。真っ暗でした。


僕とミカちゃんは、僕が点けた炎の棒を持って、街へと戻ります。


木の棒は、緑の人の家の中にありました。


きっと、こうやって使う物だとミカちゃんが言っていました。


歩きながら、緑の人の骨を2人で齧ります。


結局、街に着くまでに僕とミカちゃんは、13個ずつ骨を食べました。


それでもまだ緑の人の骨は、沢山余っていました。


門まで来ると、昼間見送ってくれたおじさんが待っていてくれて――。


「おう!戻ったか……心配したぞ!」


「ごめんなさいですにゃ。ゴブリンの数が多くて大変だったにゃ」


「ほぅ、いったい何体倒したんだ?」


「う~ん、分らない位、いっぱいにゃ!」


「あははは!そか、そりゃ良かったな!」


どうやら、冗談だと思ったようです。


僕達が最後だったらしく、僕等が中に入ると――。


門を閉め始めました。


本当に、優しい守衛さんで良かったです。

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