第19話初仕事!

ミカちゃんと僕が、さっき入ってきた門に着くと、来た時に応対してくれたおじさんが笑顔でやってきました。


「やっぱり冒険者なんて無理だったろ?入門料は直ぐ出て行くなら支払わなくていいから、村に戻って畑仕事でもやった方がいいぞ」


優しさから言ってくれているのでしょうけど、少し失礼ですね!


「いいえ、違いますにゃ。これから討伐ですにゃ!」


「なんだって……冒険者ギルドではそれを認めたのか?」


「止めとけと言われたにゃ。でも私がやるって言ったにゃ」


「そか……気をつけるんだぞ!門を出る時には、お金は掛からないからな。それに、冒険者で依頼をこなす為の出入りにもお金は掛からないから。戻ってきたらギルドプレートを見せる様にな」


「分りましたにゃ」


僕達は、元来た道を戻って行きます。


まずは。あのぷよぷよからです。


行商人のおじさんの馬車は遅かったので、少し歩けば林に着くでしょう。


「子猫ちゃん、みんにゃ驚いていたにゃ。スライムとゴブリンの討伐に……」


「みゃぁ~!」


皆は、僕達の強さを知らないからですよ。


大丈夫です。


ミカちゃんは僕の歩幅に合わせ様としてくれている様なので――。


僕は早歩きに変えました。


遅くなると、街には入れなく成るそうですから。


本当に、少し歩いただけで林が見えてきました。


僕も、ミカちゃんも魔法が使えるので、何も心配はしてないのですが……。


万一、他の怖い魔物が現れたら困るので、僕が最近覚えた結界と言うのを、僕とミカちゃんに掛けました。


「凄いにゃ~子猫ちゃんは勇者さんみたいにゃ」


勇者さんって誰ですか?


僕は子猫ちゃんですよ。


でもミカちゃんが嬉しそうなんで――反論はしません。


林の中に足を踏み入れたら、前方の林が揺れ動きました。


いた!いました。あそこですね。


「みゃぁ~!」


僕が教えるとミカちゃんも気づいていた様で、既に手を翳していました。


急に、周囲が寒くなり冷たい水がさっき林が揺れ動いた場所に到着すると。


一瞬で白く凍り付きました。


僕達が氷を壊しながら進むと、凍っている中心に3体のぷよぷよが居て――。


既に活動を止めていました。


ミカちゃんは持っていたナイフで、丸い骨を取り出します。


「今回は、これは食べないにゃ。ギルドに出さないといけないにゃ」


そうですか……それは残念です。


でも。また今度ですよ。


骨を回収した後は、林をぐるぐる回りました。


結局、集まったのは8個です。


これでも、依頼は5個らしいので3個は多めだそうです。


ミカちゃんの話では、多く取れば取っただけお金が増えるらしく、美味しいものも沢山食べられると言っていました。


僕も嬉しいです。


さて。ここから次の森まで少し歩かないといけません。急ぎましょう。


「子猫ちゃん、次に行くにゃ」


「みゃぁ~!」


僕達はまた、駆け出しました。


さっきの門から林は真っ直ぐです。森はその門の右の森と言っていたので、来た時以上に遠いです。

でも僕も、ミカちゃんも猫族です。足は速いんですよ。


太陽の位置はまだ、真上から少し傾いた辺りです。


それが消える前には、街に戻らないといけません。


ミカちゃんが少し額に汗をかいて来た所で、


ミカちゃんのお腹が鳴りました。


朝、お魚を食べたきりで何も食べていないからでしょうか?


僕は、骨だけでも平気でしたが……。


ミカちゃんが恥ずかしそうに笑います。


僕がもっと大きかったら、ミカちゃんの頭を撫でてあげられるのに……。


そうしている内に、森の手前まで来ました。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る