第7話村を守る
僕は、こっそりと、後ろから木の柵を壊している豚目掛けて――。
爪を飛ばすスキルを使いました。
くるくると回転しながら飛んで行った爪は豚の背中に当り、
背中から、大量の赤い液体をばら撒いて倒れました。
次は、門で町の人を襲っている緑の人です。
こっそり隠れながら攻撃しているので豚にも緑の人にもばれていません。
『シュッ』という音と共に、飛んで行った爪は緑の人達の首を刎ねました。
町の人達は何が起きたのか分らない様でした。
僕は、小さいので林の中に隠れれば姿も見つけられません。
林の中に移動して、再度、爪を飛ばしました。
今度も豚に当って、豚は呆気なく死にました。
数が少なくなったので、
僕は、町の中に入ろうとしていた緑の人に駆け寄り、爪で頭を引っ掻きます。
緑の人は緑の液体を流して倒れました。
次、次と僕1人で倒していき……。
僕の体力が尽きる前になんとか全部、倒し終わりました。
町の人達は、皆僕の方を見ています。
驚いている表情です。
その中には、あの女の子も居ました。
僕と目が合ったけれど……僕が恥ずかしくなって逸らしちゃいました。
さて、いつもの骨を貰いましょう。
倒れている豚と緑の人から丸い骨を取り、食べていきます。
村の人は、その光景をただ呆然と見ていました。
20個は食べたでしょうか?
僕のお腹はどうしちゃったんでしょう?
こんなに食べたのに膨らんでいません。
最後の1個を食べた時に、それは起こりました。
また体の毛が光りだしたのです。
僕は何が起きたのか分りました。
町の人達は『おおぉー』と声を上げ驚いています。
以前、お婆ちゃんが、人は死んだら火葬されるのよ。
そう言っていました。
だからこの豚と緑の人も、さっき覚えた魔法で燃やしてあげましょう。
一箇所に集めて、まとめて火の魔法で燃やします。
距離を取って僕が手を翳すと、『ゴゥー』という音と共に半径3mが、
一瞬で真っ青な炎に包まれました。
ほんの数分で跡形も無く死体は消え去りました。
それを見ていた町の人達から『おぉぉぉー』という歓声があがりました。
そんなに今のは凄い事なのでしょうか?
僕はただの子猫ちゃんなのに……。
町の中から白い髪に長いお髭を生やしたお爺さんが、
杖を付きながらこちらに歩いて来ました。
何か用があるのでしょうか?
「猫様、有難う御座います。お陰で村は助かりました」
そう言いました。
――村だったようです。
でもこれだけは言わせて貰います。僕の名前は子猫ちゃんです!
間違いですよ!お爺さん
僕は抗議します。
「みゃぁ~みゃぁ~」
お爺さんは反省していないようです。
「猫様、良ければ家に来ませんか?」
でも、お家へ招待してくれるみたいです。
僕は、喜んで招待をお受けしましょう。
「みゃぁ~みゃぁ~!」
「それではこちらへ……」
お爺さんの案内で付いていくと、途中であの猫の子が近づいてきました。
僕も今度こそ勇気を振り絞って、彼女へと近づきました。
すると、僕を小さな両手で抱き上げて頬ずりしてくれました。
僕もお返しに『ペロペロ』と頬を嘗め回してあげました。
女の子はくすぐったそうにしていましたが――。
とても笑顔でした。
僕は、この村を好きになれそうです。
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