フェアリーサーカス団へ、ようこそ!

新成 成之

プロローグ

EP.0 ここは、夢と現実の境界線

 それは、突如街に現れる。


 昨日までは何も無かった、空き地だった場所に、それは現れる。


 それの見た目は、キャンプ用のテントで、色は緑色。キャンプ場でよく見るそれは、人が入れても4人くらいだろう。けれど、それはただのテントではない。驚くことなかれ、それは魔法のテントなのだ。


 テントの入口に、土足のまま入ると、そこには、信じられない光景が広がっている。


 学校の体育館よりも高い天井に、コンサートホール位はあるだろう、扇状に広がった客席がズラッと並んでいるのだ。


 そして、客席の正面には、円形をした下ステージと、劇場のような本ステージが構えている。


 下ステージでは、猛獣ショーやパレードといった演目が行わる。一方、一際大きい本ステージでは空中ブランコやマジックショーなど、花形演目が行われる。


 ところで、此処は一体何処なのかって?


 これはこれは、失礼しました。此処は、知る人ぞ知る、夢と現実の境界線、個性豊かな団員が送るサーカスショーの舞台であり、彼らの家でもある、フェアリーサーカス団のテントの中なのです。




 そんなもの初めて聞いたぞって?




 それも無理はありません。彼らは旅のサーカス団。同じ場所に留まる事を好みません。彼らは利益の為に、サーカスをしているのではありません。彼らはただ、人を笑顔にしたいという、ただそれだけの為にサーカスをしているのです。何とも、変わった人達なのです。




 どんなショーをやるのか気になった、ですって?




 でしたら、是非これから始まりますショーをご覧になって行って下さい。きっと、貴方にとって最高の時間になりますよ。


 ほら、開演を知らせるブザーがなりました。もう少しで始まりますよ。良かったら、あそこに席が空いていますから、座って見て行ってください。




 えっ?私の名前ですか?




 それは、気にする必要はありません。ほら、今出てきた妖精の格好をしているのが、フェアリーサーカス団団長です。




 始まりますよ。




「大変長らくお待たせいたしました!夢と現実のはざまで送る、Happyな時間がこれから始まります!皆さん、準備はいいですか?これから起こることは、全て現実です!夢じゃありません!現実です!最高のエンターテインメントを、どうぞご堪能下さい!それでは、これよりフェアリーサーカス団が送る、トワイライトファンタジーショーを開演いたします!Let’s show time!」




 

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