第7話 秘密のアンドロイド②
「なるほど。では逆に、サレストラの連中は椿さんを手に入れたい、それが無理なら破壊したいって事だね」
俺の言葉にゼリアは頷く。
「それで問答無用の艦砲射撃をやってくれたのか。まだ仲間がいるのに全滅させたかったわけだ」
「そうだと思います。クロウラの中には大尉の部下とサレストラ系の兵士も何人かいたはずですから」
「味方に殺されるってのも惨いな。俺はご免だ」
「僕もです」
「ところで、艦砲射撃ってどこから撃ってきたの?」
「上空約2万キロメートルからのビーム砲の射撃でした。ビーム砲で良かったですよ。あの程度で済みましたから。質量弾だったら山大周辺壊滅してます」
「核兵器みたいだ。恐ろしいな」
「そうですね。砲弾が重力で加速されますから威力は数倍になるかと。逆にビーム兵器は大気で減衰されるので威力が下がります。ちなみに撃ってきたのは連合宇宙軍第3艦隊所属の巡洋艦です。サレストラ系の艦ですよ」
「椿さん何で分かるの」
「ちょっとした千里眼みたいなものなんですよ。照準を合わされた瞬間にビビビって感じるんですね。その時に相手が見えるんです。それで艦籍もわかりますよ」
「すごいね椿さん。万能なんじゃないの?」
「いえ万能ではありません。直接私か、私の周辺を狙った場合は探知できるのですが、そうでなければ分からないのです。例えばあの時刻に萩の綾瀬重工開発部を狙われたら着弾後に気づくでしょう。今の私は絶対無敵ではありません。かなり限定的な力しか発揮できないのです」
「何故?」
「先ほど申し上げた通り、私はアルマの防御兵器です。しかし、私自身が防御兵器の全てではないのです。アルマガルムクレドのインターフェースと言えば分かり易いかもしれません。この3次元空間において人と接触する部分が私なのです。兵器としての大部分は惑星アルマの高次元世界に存在しています」
「インターフェースか。パソコンで言えばマウスとキーボード。これが無ければただの箱……。そうか、椿さんを支配下に置けば本体部分は思い通りに操れる。例え破壊したとしても別のインターフェースを接続出来れば同じ事だよね。そうかそうか。椿さんは鉄人28号のリモコンみたいな存在なんだ」
「まあ、間違いではないですね。リモコンは、ちょっと寂しいですけど」
「じゃあ、マジンガーのパイルドライバー!」
「正蔵様、わざとですか?」
椿さんが明後日の方を向いてげんなりする。
「間違ったかな?」
「大間違いです」
「正解はホバーパイルダーです」
ゼリアが横から回答する。
「マジンガーにもZ付けなきゃ不正解です」
「厳しいな」
「はい。少年の憧れであるスーパーロボットに対していい加減な呼称は許されません」
「ああ、悪かった。マジンガーZのホバーパイルダーだ」
「そうです」
「操縦者は
「
二人に間違いを指摘される。その後、日本の古いアニメに対する認識が甘すぎる件について、ヒアデス星団からの来訪者二人にたっぷりと説教されたのだった。
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