game09 心理戦
クローゼットの方を見た心美さんは、そのままそちらの方を向かっていく。
私は必死に止めた。
「心美さん、こっちは服とかしか入ってないからダメだって……」
必死に止めてる私を見て、益々怪しさが増したのかそのまま私を振り払ってまでクローゼットに手を差し伸べる。
やばいと思った。
もう全てバレてしまうと思ったその時、クローゼットの扉を開けると、そこには誰の姿も見えなかった。
私は少しホッとした気持ちもあった。
その場はしらけてしまい、私に聞いてきたことについても完全にどうでも良くなったかのように、私の部屋を出ていった。
本当にいないかどうか、クローゼットを開けて再度確かめてみると、神代さんがいた。
神代さんが間一髪で危機を凌いだのだ。
そして、神代さんが私に何やらメモを残して、神代さんも慌てた様子で出ていった。
そのメモの内容はこうだ。
『今晩、メガネの佐伯がやられるはずだ。残り5名で、俺は小桜の色を確認する。先に言うと小桜は100パーセント人狼ではないと出る。あとは俺を信じてくれ』
そのメモは神代さん自身が何やら仕掛けるという暗示だった。
神代さんの計画も聞かされぬまま、本当に佐伯さんがやられるはずがない、私なら、自分か一花ちゃんやった方がいいと思うからである。
でも、なぜ佐伯さんなのか私にはわからなかった。
本当にそんなことはないと思いつつ、あの時満場一致で吊るしたあの一件を予言したかのように当てた神代さんの言葉には、信憑性もあった。
私はこの晩は死なないと思うと、安心して眠りにつけた。
そして、また夜が明けた。
いつも通りの朝にまたいつもの放送がなる。
「おはようございます。今日も無残な姿で発見された人物がいました。つまり監禁されたのは佐伯紀一様です。それでは今日も一日頑張りましょう」
昨日の神代さんの予言が当たっていた。
私は信用せざるを得なかった。
今日もその日の朝食が支給され、私は食べた。
今まで共に戦ってきたプレイヤー達は監禁部屋でどうなってるのか心配だった。
私はとにかく会場へ向かった。
「これで全員か」
「あ、あのとにかく占い結果、それとたしか音羽さんの初日の占い結果聞いてなかったよね?」
一花ちゃんがいつにも増して話をしだした。
すると、まず先に話を始めたのは、心美さんの方だった。
「私の初日の占い先は茉凜さんと今日の結果はメガネの男の子だよ」
どちらも人狼ではないと出たのだろう。
まぁ、心美さん目線の2人狼が関口くんと神代さんしかありえないから、その他から人狼が出るわけはなかった。
続けてもう一人の占い師、神代さんが話を始めた。
「俺は今日、小桜さんを見たが人間だった」
一花ちゃんはホッとしたかのような笑みを浮かべた。
「そして今日のことだが、占い師から吊るすことが無難だと思うんだが、どうだろう」
この意見にはみんな賛成のようだった。
このままうまい具合に神代さんが誘導を仕掛けていく。
「関口さんに聞きたいが、占い師どっちを吊るしたい?」
そう聞かれると、関口さんは焦ることなく答えた。
「そりゃあ決まってるだろ、神代しかいねぇだろ」
神代さんのトラップに安く引っかかった瞬間だった。
私も瞬間的にあっと驚いた。
「あ、それ可笑しいですよね?関口くんは市民なんですよね?」
「市民だって言ってんだろ」
「確か2日目、心美さんから人狼って言われてましたよね?」
関口くんがやばいと言った表情を浮かべた。
ここに来て、関口くんが黙り出す。
心美さんもやらかしやがってと目で、関口くんに訴えてるのがわかった。
関口くんは裏で人を操るのは得意でも、神代さんのような人が相手だとどうやら苦手らしい。
もうきまりだな。
「まって、私は関口くんが人狼と出た、私が関口と人狼なら相方に人狼と言うかな?」
焦るかのようにご最もな意見を言った。
それに対して神代さんが反論を述べた。
「それが狙いだな、つまりこのゲームのスタート直後の夜アクションで人狼チームは2人を買収、助けると言う手口で、その買収には目的があった」
私はその目的が分からず、神代さんのやってることにもわからない状態だった。
「目的は、カモと合わせ票のカモフラージュ、君ら4人が一緒に行動してくれたおかげで、最初から最後まで噛む場所をわかることが出来た」
心美さんの目が豹変した。
私は神代さんが純粋にすごいと思ったし、私はそこまで頭が回らなかった。
なぜなら初日、一花ちゃんが吊られてもいいと言っていたのに、結果的に一花ちゃんが吊れてない。
4人は一体どのタイミングで買収行為を行い、結託したうえであの行動を起こせたのか疑問しか残らなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます