第196話海賊の塔その1
「「「「あああああああ!?」」」」
船はすでにかなり深いところまで引っ張られ、辺りは真っ暗で何位も見えない状態になってしまっている。
「ウィル!!」
「分かってる!」
エリザベスの声に従い僕は「かまいたち」を放ち、皆が必死に持っている釣り竿の糸を斬る。
「あああああ!?ウィルテメェなんてことしやがった!!」
糸が切れたことで船はゆっくりと速度を落とし安定しだした。大きな魚は糸が切れたことにかが付いていないのかそのまま深海の方へ泳いでいき消えていった。僕らは松明を取り出し火をつけ船に括り付ける。
「おいウィル!折角の獲物を!」
「そうだぞ!俺たちの晩御飯が!」
「ウィル。皆を斬って死に戻りさせてあげなさい」
「分かった」
「「「「嘘ですごめんなさい」」」」
皆は僕らが怒っているのを察すると凄い勢いで土下座をしてきた。そんなことするくらいなら初めからするなよと思う。というか皆土下座綺麗だな、普段からやっているのか?
「エリザベス。進路は?」
「ええ、運が良かったみたい。もうすぐ着くわ」
どうやら魚に引っ張られた方向がちょうど目的地と重なっていたらしい。
「ぬ?ほ、ほら俺たちの作戦通りだったろ?」
「だ、だな!マッスル効果ってやつだ!」
マッスル効果ってなんだ。見ろエリザベス達女性陣の冷たい視線を。完全に馬鹿にされてるぞ皆。というかなんで「悪魔結社」は彼女たちに見下されて嬉しそうにしてんだよ。ド変態かお前たちは。
松明の光によって甲板は明るかったが、周りの海の中は暗く先が全く見えない状態だった。だが目的地にたどり着くと不思議とここだけ空からの光が差し込み明るく、その深海には大きな塔が立っていた。
「す、すげぇな。まさにファンタジー……」
「ほんとだねー!お魚さん達も一杯泳いでて綺麗!!」
「ん。凄く神秘的」
海の中に一カ所だけ明るくそびえる塔はまさにファンタジーの世界ならではの光景だった。皆で帆をゆっくし絞りながら船を慎重に進め塔の一番下に開いてる入り口の中に入っていく。入り口には「海賊の隠れ家」という看板があった。
「不思議、中には空気があるのね」
「本当だね。ちゃんと船の停泊所もあるみたいだし」
船は塔の中には言った後停泊所にとめ皆で船から降りる。中は殺風景で停泊所以外に物は何もなく、奥にいくつかの扉があるだけだった。扉の前まで移動するとそこには9つの扉と看板が一つあった。
「なになに?「正しい入り口は一つだけ。残りははずれ、厳しい試練が待っている。俺達の仲間なら正解がわかるだろ?」なるほどな」
「つまりお宝までの正解の道は一つだけって事?」
「そうとも限らないわよ?厳しい試練があるかもしれないけどどれもお宝まで繋がってる可能性もあるわ」
「成程。つまり競争だな」
「あ、それ賛成だ。まぁ俺達「悪魔結社」が一番だろうがな」
「おいおい。「ダブルナイツ」こそ一番だ」
「まぁ落ち着けお前ら。兎に角俺たちが言えることは一つだ」
「そうだな」
「「「「「カンパニー」には負けねぇ!!」」」」
皆は何故か僕たちに宣戦布告をした後それぞれ勝手に扉の中へ入って行ってしまった。
「な、なんで対抗意識燃やしてんだ?」
「ふふ。皆子供ね。でも面白そうだわ」
「あははは!!アイリス達が一番にたどり着いちゃおうよ!!」
「うむ!!この勝負は負けられないな!」
「ん。どうせ私たちには誰も勝てない」
「ふふ。いいわね。じゃあ行きましょうか」
僕らは相談した後皆が入らなかった一番真ん中の扉に入る。こうして誰が一番初めにお宝までたどり着くかの勝負が始まった。
『「カンパニー」side』
「しかしどれが正解なんて分からないよな?なにかヒントあった?」
「いえ、地図にも看板にもヒントは書かれてなかったわ」
「だよねー。さすがにノーヒントじゃ分からないよねー」
「ぬ?そんなのなくても試練を突破すればいいのでは?」
「ん。レイはポジティブ。でもその考えが正解かも」
「そうね。ヒントがない以上全てはずれと考えて試練に臨んだ方がいいわね」
なんだか「試練の塔」みたいだなと思いながら進んでいく。果たしてどんな試練が待っているのやら……。
『ダブルナイツ』side、オリバー視点』
「急げ!!絶対ウィル達より先にたどり着くんだ!!」
「オリバー待って!どんな罠があるのかわからないのに急ぐのは危険だわ!」
「そうだねー。だけど僕も皆には負けたくないな」
「腐腐腐。私はこの塔を制した後に男たちが勝利の抱擁をする姿でも想像してるからみんな頑張ってね」
「「「お前も真剣にやれ」」」
全くフランジェシカの奴は歪んでやがる、まぁいつもの事なんだが。俺たちはドアの先に進んだ後すぐに見つけた階段を駆け上がっていく。罠らしきものは見当たらない。もしかしたら俺たちが当たりか?
「オリバー!!」
「わかってる!!」
そううまく行くはずもなく階段を駆け上がった場所に大きな広場がありそこにモンスターが待ち構えていた。
「あははは!!やっぱりはずれだったね!!」
「何でアンタは嬉しそうなのよ!行くわよライリー!フランジェシカはフォローよろしく」
「任せて!しっかりとここで見ておくわ!」
「「お前も戦え!!」」
・深海の男爵LV66
・深海の子爵LV55×10
深海の貴族達は槍を持った男の人魚のような容姿をしていた。魔物達はどういう原理か分からないが空中に浮かんでいた。この様子だと進んでいくと王様とかいるのか?LV的にはこのメンバーでも問題なく戦える。子爵が俺たちを見つけると次々に「ウォーターボール」を飛ばしてくる。
「「剛力」「マジックシールド」「シールドバッシュ」!!」
俺は飛んでくる魔法を全て盾で防ぎながら絶妙なタイミングで跳ね返していく。これはあまり知られていいが「マジックシールド」と「シールドバッシュ」を応用した技だ。対「カンパニー」用に密かに訓練して編み出した技だが結局俺しか習得してない。まぁ俺は天才だから仕方ない。
魔法が跳ね返ってきたことに驚いてる隙に隙にライリーとリタが敵との距離を詰める。
「「挑発」「マジックシールド」!」
リタが挑発をしたことにより敵が全てリタの方を向きガードするタイミングを見失った子爵たちは自ら放った魔法を受ける。
「「怪力」「ギガントアックス」!!」
ライリーが魔力で斧の攻撃範囲を伸ばし、リタに集中している子爵たちを次々に斬り伏せていく。その隙に俺が反対から攻め子爵たちを斬っていく。男爵はそんな味方がやられていくのに激怒し突進してくる。
「「「シールドバッシュ」」!!」
俺とリタが同時にシールドバッシュではじくと男爵は空中に高く吹き飛ばされる。
「あははは!!相変わらず息ぴったり、だね!」
高く上がった男爵をライリーが斧で真っ二つにする。これが俺たちの戦い方だ。俺とリタが確実に敵の攻撃を弾きライリーがとどめを刺す。正直俺とリタの鉄壁は「鋼鉄騎士団」にも負けないと思ってる。
敵は残り数体、男爵がやられた事によって動揺している。
「後数体、さっさとやっちまおうぜ!」
「そうね」
「これくらいなら僕一人でも余裕……あ」
再び三人でフォーメイションを組んだ時、後ろから黒い塊が飛んできて子爵たちに当たる。
すると固まありは爆発して子爵たちはその衝撃で気を失ってしまう。俺たちが振り返ると丁度フランジェシカが小型爆弾を敵に投げたポーズをとっていた。
「ほら、さっさと倒しちゃいなさいよ。なんでこっち見てんの?」
気合を入れてフォーメイションをとった三人はフランジェシカのまさか援護で肩透かしを食らった。
「ま、さっさと倒すか」
「そ、そうね」
「なんか折角気合入れたのになぁ……」
気絶した子爵たちを攻撃し撃破した後、再び奥にあった階段を上がっていく。絶対に俺たちが一番に最上階へたどり着いてやる!!
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