第159話バトルロワイヤルその4
「今よ!!フォーメーションBで左側を蹴散らして!!」
エリザベスの指示で僕らは陣形を変える。
フォーメーションBは攻撃陣形になることだ。
中心にドンとリタの盾職二人を残しクリス、エリーゼ、エリザベスの3人を守りつつ、残りは敵に突っ込む。
この場合前後の敵を「鏡花水月」と「さすらい」達が倒してくれているのでドンとリタは右側の敵からエリザベス達を守り、僕ら7人で左側を攻撃することになる。
因みにフォーメーションはCまであり、Cは防御態勢になりみんなで固まりエリザベス達を守ることになる。
本当はもっと複雑な陣形も考えたのだがレイが覚えきれないということでこの3つとなった。
まぁ結果的にこの3つも覚えられなかったみたいだが・・・。
「ぎゃああああ!!??」
「こ、こいつら化け物か!?」
「こんなに敵がいるなんて聞いてねぇぞ!?」
「ど、どうやったらこいつらに勝てるんだ!?」
そこら中から敵の悲鳴が聞こえ皆でどんどん敵を駆逐していく。
僕らは左のチームを倒した後、すぐにドンとリタが足止めしてくれている右のチームを駆逐していく。
「おい!!陣形はどうなってる!?」
「そんな事言ってる場合か!?こいつをどうにかしないとぁあああ!?」
「くそ!どんどんやられていくじゃねえか!?」
何とかケンちゃんが大勢を立て直そうと奮起しているが、敵はどんどん光となって消えていき、そして最後の一人までもが消えていった・・・。
この場に残っているのは「カンパニー」に「鏡花水月」、そして「さすらい」達の3チームだ。
「・・・ギャハハハハ!!やっぱり自分たちが優勢だと思ってる奴らがどんどん死んでいくのを見るのは爽快だぜ!!」
キルは双剣を高々と上げながら大笑いしている。
その表情は恍惚としているのとは裏腹に、見ている者からすれば悪魔のようにも感じさせるような笑い方だった。
不意にキルはニヤリとこちらを見つめる。
「さて、じゃあこの前の続きと行きますか?」
そう言うと僕目掛けすさまじい速さで突進してくる。
僕が剣を構え待ち構えたが僕らの剣は交わることなく、キルの剣は「鏡花水月」のリーダー「鬼人」卍さんが受けとめた。
「待ってください!!ウィルさんを打ち取るのは私です!!」
「あぁ?誰だテメェ?」
二人は少しの鍔迫り合いの後、激しく攻防を始めた。
・・・なんで二人とも僕を狙っているんだ・・・?
そんなに嫌われてるのかな・・・?
「ちょ、ちょっと!!キルはまぁいいとして、なんで卍さんまで僕を狙っているのさ!?」
僕がそう尋ねると答えてくれたのは卍さんではなく副団チョーだった。
「卍さんはウィルさんに憧れているからこそです!その憧れのウィルさんを倒すことで目標を倒し、目的を倒し、自分が最強になれるからです!!」
そう言うと満足気な顔をし、矢を僕目掛け構える。
「ということで死んでください!!ウィルさん!!貴方は私のハーレムの為に消えてください!!」
そんなわけのわからない事を言うと矢を射るが、それをレイが防いでくれる。
「おい!!いきなり何わけわからないことを言っているのだ貴様!!ウィルはやらせん!!」
「ウィルさん貴方!!またハーレムメンバーを増やしましたね!?この外道が!!なぜ貴方なんです!?私も綺麗な女の人にモテたいのに!!」
「お、おいウィル・・・!!俺の事綺麗だってよ・・・?」
副団チョーの言葉でレイが照れだす。
・・・なんだこのめんどくさい二人は・・・?
「おい!!テメェの仲間がウィルを打ち取ろうとしてるぞ?」
「・・・これは想定外ですね・・・。」
「・・・ならいい考えがあるぜ?先にウィルを打ち取った方が勝ちってのはどうだ?」
「・・・いいでしょう。乗りました!!」
僕の背後から不吉な会話が聞こえたと思い振り向くとすぐそこに卍さんとキルが迫ってきていた。
「・・・ウィル!!」
「させないわ!!」
「お兄ちゃん!!」
それにアイリス達が反応し攻撃を阻止しようとしてくれるが、そこに大きな火の玉と、何人もの人影に阻止される。
火の玉は「鏡花水月」の座長さんんぼ攻撃で、その後「さすらい」のメンバーが邪魔に入ったようだ。
「あかんなぁ。うちのリーダーの邪魔せんといてくれる?」
「俺たちのリーダーはやらせないぜ?」
「・・・くっ。」
「お兄ちゃん!!」
アイリス達は彼らに邪魔されこちらに来ることが出来ないようだ。
・・・なら仕方ないな・・・。
「「雷神衣威」「俊足」「空間把握」!!」
僕も全力を出さないとこの二人にやられてしまう。
「ギャハハハハ!!いいね!!いきなり全力か!!!」
「お覚悟を!!」
そう言うとキルと卍さんの刃が僕に迫る。
僕は後ろに飛び彼らとの距離を開けながら「乱れ切り」と「かまいたち」を放つ。
「・・・甘い!!」
「・・・ハッ!!」
だが二人は難なく何本もの「かまいたち」を斬りかき消していく。
そのまま僕の間合いに入り二人で剣を振り下ろしてくる。
僕はそれを卍さん側に躱し卍さんの側面を蹴りつける。
「がっ!?」
「おいっ!!??」
卍さんが吹き飛び、それにキルも巻き込まれ二人は絡み合うように転げる。
その隙を狙って僕はキルの間合いに入り「切断剣」を使い剣を振り下ろす。
が、キルは寸前のところで剣を防ぎ転がり起き上がる。
「ちっ、やっぱりテメェは邪魔だな!!先に死んどけや!!」
同時に起き上がった卍さんが僕に剣目掛け剣を振り、キルが卍さん目掛け剣を振るう。
僕はその隙を狙ってキル目掛けて剣を振るう。
・・・三人の剣が相手の喉元まで来たとき目の前に「WIN」の文字が浮かび、三人は同時に止まる。
ーー「試合終了ーー!!これにて予選試合を終了いたします!!」
ーー「現在フィールドにに残っているプレイヤーが予選通過になります!!おめでとうございます!!皆さんは5分後に王都の元居た場所に転送されます!!お疲れさまでした!!」
何処からともなく聞こえるアナウンスにより予選が終了した事を教えてくれる。
が、三人の剣はお互いの喉元に突きつけられたまま動かない・・・。
「・・・おら、終了だとよ。さっさと剣を下ろせや。」
「・・・だったらあなたが最初に下ろしたらどうですか?」
「・・・はぁ・・・。だったら三人で同時に下ろさない?」
僕がそう言うと、キルと卍さんは睨みあったままだが、同時に剣を下ろしてくれる。
「けっ・・・。これからが面白いところだったのによ・・・。」
「まぁあなたは、あと少しでウィルさんにやられて死に戻りせていましたがね。」
「あんだとテメェ!!ぶっ殺すぞ!?」
「汚い言葉で強がったって無駄ですよ?」
「んだとテメェ!?」
「何ですか?続きをやりますか?」
二人は距離をとり剣を構える。
はぁ・・・、血の気の多い二人だなぁ・・・。
僕は早く帰って休みたいのに・・・。
「・・・それより二人ともよく参加できたね?クラン人数足りなくてできないと思ってたよ。それにキルはクラン作ったの?」
僕の言葉に二人は少し剣を下げこちらを向かずに答える。
「・・・私はもともと5人そろってたんですよ。まぁ前のイベントの時は二人は早めに死に戻りしてしまって・・・。」
「ギャハハハハ!!弱ぇ奴らなんか仲間にするからだ!!」
「・・・なんですって?」
二人は再び剣を構えて睨みあう。
・・・話が進まないなぁ・・・。
「・・・そう言うキルはどうしたの?クラン設立したんでしょう?」
「ああ?・・・まぁな本当は作りたくなかったんだがよ。アイツらがいつの間にか付いてきやがって作らされたんだ。まぁおかげでこのイベントにも出れたがな・・・。」
「付いてきたって本当は一人がっ寂しいからお願いして付いてきてもらったんじゃないですか?」
「あんだとテメェ!!」
「はぁ・・・。まぁまぁ・・・。それでクラン名はなんていうの?」
「・・・「マイノリティ」だ・・・。」
「ぷぷっ!!かっこ悪い名前ですね!!」
「うるせぇ!!俺が付けたんじゃねぇよ!!」
二人がいがみ合ってるとき僕らの目の前に「転移まで残り30秒」という文字が浮かびカウントが始まる。
「「ああっ!?」」
二人はタイミングを失い戸惑いを見せる。
「はい時間切れだね。僕の勝ち。」
「「・・・・・・・・・。」」
無駄な争いはよくない。
僕は戦わずにこの場を収めたわけで、戦わずして勝った気分だった。
「・・・ちっ。しらけちまった。この続きは本選でだな。」
「・・・そうですね。私と戦う前に勝手に死なないで下さいね?」
「・・・それはこっちのセリフだ。」
キルがそこまで言うと時間は「0」を指し僕らの目の前の景色が歪んでいく・・・。
「は~~疲れた~~!!」
「ほんとね。皆お疲れ様。」
「ん。お疲れ。」
「お疲れ様。とりあえず予選は勝ち残ったわね。」
目を開くとそこは「カンパニー」のホームで皆もすでに戻ってきていた・・・。
「いやぁ最後の乱戦は危なかったな・・・。」
「ほんとね。「鏡花水月」の皆がいなかったら危なかったわ・・・。」
「それに「マイノリティ」・・・だっけ?」
確かにオリバー達が言うように彼らが最後に現れなかったら僕らは負けていただろう・・・。
「しかしさすが「さすらい」だったな・・・。あの人数差をもろともしてなかった・・・。」
「そうだねリーダー。俺たちも負けてられないね。」
プライドとグリードも「さすらい」の強さには驚いたようだ。
・・・決勝戦で果たして勝てるのか・・・。
「大丈夫だ!!この筋肉に乗り越えられない困難はない!!」
ドンはマッスルポーズをとって言うが、最後「鏡花水月」達が来なかったら完全に困難を乗り越えられなかったからね?
世の中筋肉だけでは乗り越えられない事なんて沢山あるんだよ?
「・・・まぁとにかく初日お疲れ様。明日の事なんだけど・・・。」
僕らは明日の事について話し合った。
作戦は今まで通りで、どこのクランとぶつかったらどう出るかについてだ。
すでに掲示板には予選通過クランの名前が書いてあった。
どこが勝ち抜くかかけ事をしてい人たちもいた。
戦いに参戦してないフランジェシカ達は僕たちに賭けていたようで多少だが儲かったっていた。
こうして僕らは話し合いを1時間ほどし、明日に備えて早めにダイブアウトした。
そして日曜日・・・。
試合5分前・・・。
僕らは再び「カンパニー」ホームで待機をしていた・・・。
「準備はいいかしら?」
「もちろんだよ!!昨日はぐっすり寝られたしね!!」
「私も準備万端よ。」
「ん。どこからでもかかってきなさい。」
「俺もいつでも戦えるぞ!!」
エリザベスの声にみんなが答えていく。
「俺たちもいいぜ!!」
「私も。」
「僕も僕も!!早く戦いたい!!」
「ダブルナイツ」の3人も準備万端のようだ。
「おいつらの分まで俺たちが戦って、そして勝つ!!」
「そうだぜリーダー!!そして俺たちは英雄になるんだ!!」
悪魔結社は出られない仲間の分まで戦うと気合が入っていた。
「ガッハッハッハ!!任せろ!!今日も俺の筋肉達は絶好調だ!!」
ドンは相変わらずのマッスルポーズで絶好調をアピールしている。
「僕も大丈夫、いつでも行けるよ。」
僕が答えると皆自然と視線はリーダーのエリザベスの方に集まる。
「いい皆。泣いても笑っても今日でお終い。皆今日という日に後悔をしないように。私達にとって最高の今日にしましょう!!いい?私達は最強のクラン「カンパニー」よ!!敵をひれ伏せて私達が最強だと皆に教えてやりましょう!!行くわよ!!」
「「「「「おう!!」」」」」」」
皆の指揮が最高潮に達した時、僕らの周りの景色が歪みだした。
・・・こうしてイベント「バトルロワイヤル」の決勝戦が始まった・・・。
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