第115話静かな森、中編

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シークレットクエスト【囚われた住人】


1/3クリア


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「・・・つまりクエストが始まったんだよね・・・?」

「恐らくそうね・・・。」

「でも、いつもみたいに説明が全然ないね・・・。」

「ん。進むしかないって事。」

「エリーゼの言う通りね。とりあえず進んでみましょう・・・。」


僕らが緊張した顔で進もうとすると、悪魔結社達は俯きプルプルと震えていた・・・。


「お、おい・・・。大丈夫か・・・?」


「「「「「「ヒャァァホォーーー!!!」」」」」」


突然悪魔結社は叫び喜び出す。

僕らは驚き、何が何だかわからなかった・・・。


「ついに!!ついにきた!!」

「美女たちとの初めての共同作業だぁ!!」

「ついに俺たちもリア充だぁぁ!!」

「必ず皆を守ってやるぜ!!」

「「皆!!俺の後ろに下がれ」って早く言いてぇ!!」

「「危なかったな!!あとは任せろ!!」って早く言いてぇ!!」

「「俺の屍を越えていけ」って早く言いてぇ!!」


最後の死んでるじゃねぇか・・・。

それでいいのか?お前は・・・。

他のも死亡フラグにならなきゃいいんだが・・・。


とりあえずこいつらはほっといて進んでいく・・・。


しばらく歩くと町が見えてきた。

だがそこは・・・。


「全然廃墟ではないじゃないか・・・。」

「ほんと・・・。普通の街ね・・・。」

「イベント用の街って事かな?」

「ん。その可能性は高い。」

「そうね。とりあえず探索してみましょう?」

「うん・・・・。」


フランジェシカは不安そうな顔をしている。

先ほどのおじいさんの話が頭から離れないのだろう・・・。

確か、皆すでに死んでしまっているんだもんな・・・。


「ねぇ・・・。ウィル・・・。」

「・・・どうした?」

「・・・悪魔結社ってもしかしたら私寄り(BL)ってことはないから・・・?」

「ねぇよ。何考えてんだ。」


心配して損したわ・・・。



僕らはまずはぐるっと町を一周してみる。

15分もあれば一周出来てしまうほど小さな町だった。


「・・・家畜一匹いないな。」

「そうね・・・。でも家の見た目はそんなに古くはないわ・・・。」

「とりあえず家の中を見てみよ?」

「ん。賛成。」

「何か出てくればいいけど・・・。」

「女の子が苦手ではなく、男の子が好きって可能性はまだ捨てきれないわ・・・。」


その可能性は捨ててくれ・・・。

何でお前はこの状況でもぶれないでいられるんだ・・・。


とりあえず一番大きい家に行ってみる。

恐らくそこが村長の家の可能性があるからだ・・・。


「大分荒れてんなぁ・・・。」

「そうね。何か争った形跡があるわ・・・。」

「何か手掛かりはないかなぁ・・・。」

「ん。手分けして探そ?」

「そうね。何か出てくるかもしれないし・・・。」

「村長さんは果たしてノーマルか・・・。アブノーマか・・・。」


ノーマルだよ、この変態め・・・。

実際は知らないけど・・・。


しばらく家の中を探索していると一冊の日記が出てきた。


それを適当にめくってみる。

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2月2日


今日も一人消えた・・・。

一体何が起こっているのだ・・・。


これで犠牲者は2人目だ・・・。

早く原因を突き止めなくては・・・。

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「ここからが事件の始まりの文章みたいだ・・・。」

「お兄ちゃん!!続き早く!!」

「あぁ・・・。なになに・・・?」


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・2月5日


また消えた・・・。

これで村人は半分だ・・・。

森から出ることもできないのか・・・。

一体どうしたらいいのだ・・・。



・2月8日


アイツが犯人だと思っていた・・・。

でも違った・・・。

じゃあアイツか・・・?

また違った・・・。


何が起きている・・・?

目撃情報と犯人が一致しない・・・。


もしかしてこの魔物は・・・。



・2月12日


皆やられてしまった・・・。

皆魔力を吸われて操られていただけなんだ・・・。


奴に魔石にされてしまった・・・。

養分を吸われすぎると魔石になるようだ・・・。

何とかいくつか奪い返して家に帰してやったが・・・。


あの子は王都まで行けてだろうか・・・。

あの子も吸われてしまっていたからな・・・。

体力が持つかどうか・・・・。



・2月14日


やはりそうか・・・。

アイツが家の周りに来ている・・・。


もう儂はダメだろう・・・。


この日記を読む者へ


どうか逃げてください。

そして惑わされないでください・・・。


アイツは・・・。


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日記はここで終わっていた。

そして最後のページは赤黒いシミがついていた・・・・。


「・・・・・・・・・・・。」

「・・・一体どういうことかしら・・・。」

「犯人は魔物って認識であってる?」

「ん。そこは間違いない・・・。」

「殺されて、魔石にされちゃうなんて・・・。」

「ねぇ・・・。あれもしかして・・・。」


フランジェシカは壁際に落ちていた緑の石を見つけた。

彼女がそれを拾うと、一人の半透明な老人が姿を現した・・・。


『・・・そこに誰かいるのか・・・?何も見えない・・・何も聞こえないが、確かに感じるぞ・・・。どうか逃げてくだされ。名も知れず、顔も分からぬ者よ・・・。儂は沢山の過ちを犯してしまった・・・。アイツは・・・。』


老人はそこまで言って消え、石は粉々に砕け、消えていった・・・。


「「「「「「・・・・・・・・・・・。」」」」」」


「・・・とりあえず、他の家にも行ってみましょう?これが他の家にもあるかもしれない。」

「ん。「奪い返した」って書いてあったね。」

「奪い返した魔石は・・・。」

「・・・過去の人たちの命ね・・・。」

「・・・とりあえず行ってみよ?」

「・・・そうね・・・。でなければ始まらないわ・・・。」


僕らはそろって家を出る。


「おーーい!!兄貴達そんなとこにいたんですか!!生き残りの人が一人いましたよ!!」

「しかも女性!!しかも美人!!」

「そんな・・・。美人だなんて・・・。」


悪魔結社がこちらに走ってきて、その後ろには、確かに知らない女性がいた・・・。


「・・・一体どういうこと?生き残りはいないはずじゃ・・・。」


「それがいたんですよ!!一番村の端の家の中に隠れていたんです!!」


「あの・・・。こんにちは・・・・。マリと言います・・・。」


女性は僕らに警戒しながらも、名前を教えてくれた。

だが大分ひどい目にあったのだろう・・・。

服はボロボロで、顔色も酷く悪かった。


僕らは今までのいきさつを話し、悪魔結社と共の各家を回ることにした。


いくつかの家を調べてみたところ、緑色の魔石がいくつか確認することが出来た。


『私は酷い事をしてしまったわ・・・。あの人かと思って・・・』

『もっとありがとうって言っておけば・・・。ママ・・・。パパ・・・。』

『愛しているって言えばよかった・・・。もっと早く・・・。アイツがあんなこと・・・。』

『本当に彼女なのか・・・。いや・・・、そんなはずはない・・・。本当にすまなかった・・・。』

『もっと早くやっておけばよ良かった・・・。なんでこんなことになってしまったのか・・・。』


魔石は人を映し、一言ずつ話すと砕けて消えていった・・・。

恐らく、この魔石にされた人だろう。

魔石が砕けるたびに、マリさんは魔石に手を伸ばし、そしてとても悲しそうな顔をしていた・・・。


「皆、何かを伝えようとしているね・・・。」

「そうね・・・。マリさんって言ったかしら?貴方は何か心当たりはないの・・・?」


マリさんは俯き、何とか口を開き答えてくれる。


「・・・わかりません・・・。どんどん村人がいなくなってしまって・・・。怖くて・・・。私は隠れることしかできなくて・・・。」


「あなたはいつからそこで隠れていたの?」


「・・・わかりません・・・。最後に村長が台所で殺されてしまって・・・。残りは私だけになってしまったんだって・・・。怖くてずっと隠れていたので・・・。」


マリさんはゆっくりと、だがはっきりとした口調で答えてくれた。


「大丈夫です!!俺たちに任せて下さい!!」

「そうですよ!!俺たちが解決してあげます!!」

「こう見えて俺たち強いんですよ!!」

「僕らの後ろに下がっていれば大丈夫です!!」

「そうですよ!!俺たちが守ってあげます!!」

「だから・・・。これが終わったらデートしてください!!」

「俺は・・・これが終わったわ付き合ってください!!」


「ふふっ。よろしくね。皆。期待してます。」


悪魔結社達は浮かれていた。

お前達は単純でいいなぁ・・・。

それに最後の決断早すぎだろ・・・。

それが出来て、何で彼女いないんだ・・・。


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シークレットクエスト【囚われた住人】


2/3クリア


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目の前に文字が浮かぶ。


「今の魔石を調べることが条件の一つだったのかな?」

「す考えるのが妥当なんじゃない?」

「じゃぁいよいよ・・・。」

「ん。最後のイベントが起こる。」

「・・・・・・・・・・。」

「あ、何か来たわ!!」


町の周りから、魔物たちが攻めてきた。


いよいよこのクエストのクライマックスのようだ・・・。




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