第71話打ち上げ
いい一日だった・・・・。
いい星空だ。
吹き抜ける風が気持ちいい・・・。
ここは「カンパニー」ホーム。
メイド達のおかげで芝がきれいに刈られていた。
王都の夜景がきれいに見えた。
ここが丘の上でよかった。
星空と、横を見ると城が浮いていた。
すごい光景だ。
綺麗な光景だ。
まさにファンタジーだ。
なのに、なのに、僕は再び疲れ果てていた・・・・・・。
「「「「「「カンパーーーーイ」」」」」」」」
「いゃぁあ、アイリスたちが来てくれなきゃ危なかったぜ!!!」
「ほんとよ。まさかあそこであんな大きなカニが出てくるなんて・・・。」
「あはははは!!!オリバー、カニに吹き飛ばされてたもんね!リタなんかそれ見て泣きそうになってるし!!」
「「うるさい!!」」
「はぁ。男女でイチャイチャしてんじゃないわよ。男同士でしなさい。」
「でねでね!!すごかったのよ!!歌を歌い始めたらどんどんレベルが上がって色々なスキルが手に入ったのよ!!それでねそれでね・・・・・・。」
「あははは!!そうなんだ!!でもアイーダ人見知りって言ってたけど大丈夫だった?」
「大丈夫よ!!だって私外壁の上にいてみんなの顔見えなかったもの!!みんな米粒みたいに小さかったわ!!なのにみんな私のこと歌姫ってい言ってたわね。どうして女って分かったのかしら?」
「ん。それは遠目スキルのおかげ。すりすり。」
「に、にゃ~。ご主人様~。そ、そこはだめにゃ~」
「エリーゼも可愛いよ~。すりすりすり~。」
「ん。お姉ちゃん邪魔。」
「大丈夫よ~。ウリウリ。お姉ちゃんは楽しいわ~。」
「ん。私は楽しくない。すりすりすり。」
「にゃ~。もうだめにゃ~~。」
「あんたたち、こっちだとほんと節操ないわね。」
ここまでは、まぁいい・・・・。
いつも通りだから・・・。
ここからが問題だ・・・・・・・。
「おいテメェら!!ちゃんと飲んでるかーー!?」
「「「「「おう~!!」」」」」
「筋肉は鍛えているか~~!!??」
「「「「「「YES!!マッスル!!」」」」」」
「人生にカンパーーーーイ!!!!」
「「「「「「「人生にカンパーーーーイ」」」」」」」」
「おい!!うちも負けてらんねぇな!!」
「そうだぜリーダー!!」
「「悪魔結社」の実力見せてやるぜ!!」
「といってもジュースだけどな!!」
「俺たち未成年だからな!!」
「そんなことより乾杯しようぜ!!」
「そうだ!ジュースだけどな」
「「「「「「「カンパーイ!!!」」」」」」」
何で「悪魔結社」と「鋼鉄の騎士団」がここにいるんだ・・・。
何で濃いメンバーばかり集まるんだ・・・・。
そして筋肉って・・・・。
初めに筋肉って言ったアホはイベントでエリザベスにアイスロックを顔面に受けたおっさんだ・・・。
僕がクランに誘ったらすでに鋼鉄の騎士団に入っているとのことで断られた。
そのまま分かれたはずなのに・・・・・。
なぜか「悪魔結社」が連れてきてしまった・・・。
「おい!!神速!!何しけた顔してやがる!!こっちに来て筋肉について語ろうぜ!!」
「「「「「そうだぜ神速!そして筋肉たちよ!!」」」」
うん。
断られて良かった。
意味が分からないし。
筋肉の話なんて1分持たないよ。
「なんだよ筋肉って・・・。というかそれ酒?」
「そりゃそうさ!俺たちは成人組だからな?なぁ筋肉たちよ?」
「そうだぜマッスル!!ジュースなんか飲んでられるか!!」
「そうだぜマッスル!!酒かプロテイン以外飲み物じゃねぇ。」
「声ででかいよ・・・。しかもなんで上半身裸なんだよ?」
「「「「「YES!!!マッスル!!」」」」」」」
「意味わかんねぇよ。暑ぐるしいわ。」
「リーダー!!どうする?・キャラ負けしてるぞ!!」
「そうだぜリーダー!!あいつら俺らより暑ぐるしいぞ!!」
「ふふふ・・・。我の右腕の封印を解く時が来たか・・・。」
「まずいぞ!!リーダーが無理をしている!!」
「昔あれが原因で女の子に振られたのに・・・。」
「リーダーやめとけ!!傷が開いちまう!!」
「くそ・・・。リーダーをあそこまで追い詰めるなんて・・・。鋼鉄の騎士団め・・・。」
「大丈夫だ。お前らも十分キャラ濃いぞ?」
「ほんとか兄貴!!??」
「聞いたかリーダー!!もう封印を解く必要はないんだ!!」
「・・・兄貴・・・。ありがとう・・・。これが、これが器ってやつか・・・。」
「器?そうか女王様達が言ってたのがこれか!!」
「さすが兄貴!!リーダーを救うだけでなく器まで見せつけてくれるなんて・・・。」
「一生ついていきます兄貴!!」
「俺もだぜ兄貴!!さすがだぜ!!」
「ついてくんな鬱陶しい。救わなきゃよかった・・・。」
「ところで神速。俺たちに歌姫の護衛をさせてくれないか?」
「護衛??」
「あぁ。俺たちのクランの目的は「新人育成」と「攻略」それと「警護」なんだ」
「新人育成と攻略はわかるけど警護って??」
「俺たちは騎士団だ。誰か仕える人を見つけて守る。それが騎士の本分だ。」
なるほど。つまり「姫」である「歌姫」に仕えたいと。
「最初は「氷の女王様」に仕えようと思ったんだが、あの人はなんだか守る必要がないと思ってな。」
確かに。一人で何でもこなす人だからな。
「それに女王様には神速がいる。これ以上の護衛は必要ないと思ってな。」
「それは買いかぶりすぎないか?」
「いや、そんなことはないぞ。神速だけでなく「カンパニー」は皆今回のイベントでかなり名前が出て有名人だからな。」
・・・・・嘘だろ・・・。そんなことになってんのか・・・。
「それに歌姫に使えれば人が集まる。人が集まれば情報も集まる。俺たちはPKギルドからプレイヤーを守りたいと思ってる。まぁさすがに全員は無理だができるだけな。初めはそれが目的で集まったクランなんだ。」
・・・・ちゃんと考えてるんだな。
こいつら脳まで筋肉でできてると思ってた・・・。
「だからこれから人数を増やして3つの目的のために動きたいんだ。どうだろうか?」
「う~ん。本人に聞いてみないと何とも言えないな・・・。」
僕はアイーダに今の話をする。
もちろんほかの「カンパニー」メンバーにもだ。
「い、いいわよ!!私の護衛になることを許可するわ!!し、しっかり守りなさい」
「「「「「「「「YES!!マッスル!!」」」」」」」」
掛け声はそれでいいのか?
アイーダは人見知りだからか、恥ずかしいからか、嬉しいからか、もしくはその全てか。
顔を真っ赤にしながら笑顔で答える。
きっと彼女に尻尾があるなら、ぶんぶんと大きく振られていることだろう。
良かったなアイーダ。
ここにいる人たちはもうお前の仲間だ。
友人だ。
もう一人じゃないんだぞ。
この世界ではお前は有名人で、ファンも沢山できたらしい。
お前はしっかりなりたい自分になれているんだぞ。
これはAOLだからではない。
確かにこの世界がきっかけをくれたのだろう。
でもそれをかなえたのは君自身だ。
誇っていいことだ。
君の周りはもう仲間に溢れている。
良かったな・・・アイーダ。
「んじゃ話が纏まったところで俺たちは姉妹クランにならないか?」
「おう!!いいじゃねぇか!!」
「「「「「賛成だぜ!!」」」」」
「あらいいじゃない。」
「ん。賛成。」
「楽しそうーー!!」
「ふふっ。いい案ね。」
オリバーの誘いにみんなが乗っかる。
「なぁ。盛り上がってるとこ悪いが姉妹クランってなんだ?」
「あぁ、ウィルはRPGゲーム初心者だったな。」
オリバーが答えてくれる。
「まぁ目的は色々ある。が、簡単に言えば「楽しくプレイする仲間」であり「困ったときに助け合う仲間」ってことだな。」
「そういうことだ。例えば「レイド戦上限50名」があった場合知らない人を呼ばなければならない。その場合言い方は悪いが当りもあればはずれもある。だが人数が足らない場合「姉妹ギルド」がいればそこに助けを求めやすい。まぁ気軽に呼べる仲間、兄弟みたいな関係だ。」
「そうだぜ兄貴。それにクランを作ればクラン同士の派閥ができる。PKギルドができる。情報が流れにくくなる。メリットもあるけどデメリットも沢山あるんだ。そこで姉妹クランは様々な情報を共有してお互いに助け合う同盟を結ぶんだ。もちろん親クランは「カンパニー」だけどな。」
「間違いないな。」
「うむ。それでいい。」
「待て待て待て。姉妹クランはわかったが親クランってなんだ?」
「姉妹がいるんだから親もいるだろ。といっても形上の決め事だけだ。」
「あぁ。何か姉妹同士で、もめごとがあったら間に入る親になってくれればいい。」
「まぁ俺たちは攻略以外、微妙に目的が違うから喧嘩にはならなそうだけどな。」
「そんな大役を僕たちでいいのか?」
正直めんどくさそうだ。
「むしろそれしかないだろ。ここはどこだって話だよ。」
「そうだぜ。俺たちは「カンパニー」にひかれてここに集まったんだぜ。」
「そういう事。それに「悪魔結社」に女王様の上に立てる人はいねぇよ。」
「おいおい!それを言ったら「ダブルナイツ」もだぜ?」
「はっはっはっは!!「鋼鉄の騎士団」も同じだ!!」
はっはっはっは!!と皆笑いあう。
「はい、ウィル。このグラスを持って。はーい皆。姉妹クランの盃の音頭をウィルがとるからみんなグラスを持って!!」
「ちょ!!エリザベス・・・・・・。」
「なぁに?」
「謹んでその役目お受けいたします。」
笑顔がこえぇよ。
何でそんな威圧を出せんだよ・・・・?
皆ニヤニヤしながらこちらを見る。
ッくそ。楽しみやがって。
絶対びしっと決めてやる。
「すーーはーー。ううん。それではみんな。今日はお疲れ様。そして集まってくれてありがとう。「カンパニー」は少人数く大してみんなの力になれないかもしれない。でも僕はこの世界が好きだ。そして今がとても楽しい。ここにいる皆が力を合わせればきっと最高の世界にできる。最高の人生になる。そんな気がする。だから力を貸しておくれ。僕らもできるだけ皆を助けるから。」
ゆっくり皆を見回しながらしゃべる。
皆いい顔してるな。
ここは素敵な場所だ。
知らない場所、知らない人たちがこんなに集まって仲間になれる。
そんな場所だ。
そんな世界だ。
そんな人生だ。
「長くなってしまったけど。新しい仲間。新しい姉妹クラン。そしてAOLに。僕らの人生に。乾杯!!」
「「「「「「「「「乾杯!!!!!」」」」」」」」」
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