第34話再びクマさん
「さてさて、それじゃーしゅっぱーーつ!!」
僕ら五人に加えレヴィのMr.にテイラーの8人でパーティを組み第二の街クロス町に向かう。
クロス町は宿屋が中心の街である。クロス町の奥には漁業が盛んなボーズ街、そしてこの国の王都パラードがある。それに加え始まりの街フェラールの3つの街をつなぐのがクロス町である。
町の規模は小さく必要最低限の店しかないとのこと。
他のプレイヤーはクロス町に少しずつ到達しだしているが武器の強化や食料調達などをするために結局フェラールに戻ってきている。しかし他のプレイヤーはいい武器に出会えずそれ以上進めてないらしい。
原因はまずいい生産プレイヤーに出会えてないこと。そしてGが足りないの2つだ。現地人に頼むとプレイヤーより高く、始まりの街には初心者用の武器しか作れないものばかりだ。プレイヤーもまだクマさんの装備を扱えるものは少なく、扱えたとしても知り合いなどの依頼しか受けていない。
理由は、例えば一人ができて戦闘プレイヤーがそこに集まりすぎると他の生産プレイヤーからねたまれる。仕方のないことといえば仕方のないことなのだが、そこは人と人。必ずトラブルが生じる。
なので生産者は客を選ぶ。作った武器は.取引掲示板で、オークション形式で行われる。だがまだ出回っている素材が少ないためいい武器が作られていない。まぁまだ始まって1週間たっていない。こんなものか。
そんな生産者の現状を聞きながら歩く。しかし・・・
「なぁ、皆強くなりすぎじゃないか?」
「えへへー!一昨日頑張ったからね!」
「そうよ。ウィルにいろいろ買ってあげるためにね」
「ん。ウィルの為なら頑張れる。」
「そういうこと。感謝しなさいよ?」
ありがたいが、その代償がこれからずっと料理を任されるのかと考えると素直に感謝できない。
4人はかなりレベルが上がり、アイリスに限っては僕より上だ。これでも僕Lv30超えのカバうさぎ倒したんだけどなぁ・・・。
フォレストウルフたちは一撃で4人に虐殺されていった。
「ははっ。ほんと仲いいね。君たちは!兄弟と幼馴染だっけ?うらやましいなー。」
「・・・・・・確かにな。」
「え、えっと。私もうらやましいです。」
「皆は兄弟とかいないの?」
「こら。アイリス。すみません皆さんマナー違反でしたね。」
「大丈夫よ。他の人たちに言わなければ。私は弟がいるけど生意気でねぇ。仲もよくないし、今一人暮らしだからもう2年くらいあってないし。」
レヴィは大学生だそうだ。気が強いし、もしかしたら弟さんも同じなのかもしれない。
「聞いてよ。それに「ゲームばっかりしてないで家事の手伝いしろ」ってうるさいのよ?お前は母親かっての。姉に口答えしてんじゃないわよ。全く。」
僕は弟さんに一票だ。
クリスとアイリスは聞こえないふりをしているみたいだ。
「・・・俺はここ十年山にこもっている。家族はもういないから気は楽だがお前らを見ていると家族を思い出す。」
重い。重いよMr.。
「わ、私は妹がいるんじゃ、いるんだけど。す、すっごいギャルで性格きつくなっちゃって。あんまり帰ってこないし、ほとんど話さないかな。」
こちらも微妙に重い。
「それよりテイラーはそんな性格じゃこういうゲームは大変じゃないの?」
「う、うん。でもこの性格を直したくって。それでゲームなら平気なんじゃないかってレヴィが誘ってくれて・・・。」
二人は同じ大学生だそうだ。そこで一人でおろおろしていたテイラーにレヴィが声かけたそうだ。
「だってこの子門の前の隅っこで頭から鞄を被ってうずくまってたのよ?みんな怖がって声かけないし。私も初めはそういうプレーかと思ったけど近づいて見たら鳴き声が聞こえたから話しかけたの。今思えばおかしな話よね!」
今じゃなくてもおかしな話だ。鞄を頭から被るプレーなど聞いたことないぞ。
「ち、ちょっとレヴィ!その話はしないでって!」
「あらいいじゃない。可愛らしいエピソードよ。私もその話だけで日本酒ひと瓶は飲めるわよ。」
レヴィはドsなんだろう。テイラーをいじってる時イキイキとしている。
一方テイラーはドmだ。いじられてどこか嬉しそうだ。
「みんな、そろそろだよー!」
先頭にいたアイリスが声をかけてくる。
数日ぶりなのに凄く久しぶりなきがする。
あれから強くなった。大丈夫。
自分に言い聞かせる。
僕らは森のクマさんのいるエリアに来ていた。
街の移動は、エリアボスを一度倒すと、エリアボスと戦わずに進める安全ルートが出現する。稀に安全ルートがない場所もあるが。
花畑が見えてきてテイラーは感動している、が、それもつかの間、花畑は消え戦闘フィールドとなる。
「久しぶりだな。クマさん。」
エリアボスはパーティメンバーの人数によって強さが変わる。
僕らはあの時よりLvが10近く上がっている。
しかし非戦闘員が3人いてうち一人は武器すら持っていない。持っちいるのは裁縫道具だけだ。
今なら楽に勝て、非戦闘員3名の経験値稼ぎが目的だ。
「ねぇ。みんなクマさん装備なんだからフードかぶっていれば仲間だと勘違いして襲ってこないんじゃない?」
そんなアホな発想は捨ててくれ。
「いいかも!!お兄ちゃんやってみようよ!!
お兄ちゃんはやりません。
「グアァアァァァ!!」
あほなこと言ってたらクマさんが吠え出した。真剣勝負の前にふざけてたらそら怒るわ。
「行くよ。フォーメイションKM!」
それKUMAでしょ絶対。まじでやる気か?
「くぅーーん、くぅーん、だよ。クマさん!」
・・・・。
「グォォォオオ?・・・・。クンクン。」
クマさんがアイリスに気づいて近づき、匂いをかぐ。
一同息をのみ、その様子を見守る。
クマさんはアイリスの周りを一周する。
クマさんは考えている。
クマさんは閃いた。
クマさんは器用に、そして丁寧にアイリスのフード脱がす。
クマさんとアイリスの目が合った。
アイリスはクマさんに微笑んだ。
クマさんも微笑んだ。
クマさんはアイリスを張り手した。
アイリスは「ぴゃ」と声をあげ吹き飛んだ
「グァァァッァァァ!!!」
クマさんの遠吠え。
「さぁ、戦闘開始だ」
こうしてクマさんとの戦闘が始まった。
クマさんがこちらに走ってきた。
皆が散開し、僕がギリギリまでひきつけ飛び蹴りをかわす。
うん。見切りと身体強化、ダッシュスキルが育っているおかげで余裕をもってかわせる。
そのすきにエリーゼが死にかけているアイリスを治し、クリスとエリザベスはアイリスを説教する。
説教する時間は死ぬ気で作るから、しっかりと頼む。
クマさんの飛び蹴りはだんだん慣れてきた。
2.3度かわした後スレ違い際、剛力とスラッシュをする。
一本目のHPが4割減る。
よし、前よりダメージが多い。
二度、繰り返したところでHPゲージが二本目に入る。
こっからが本番だ。
説教が終わった4人が帰ってくる。
「さ、さぁ仕切り直そう!!行くよクマさん。」
アイリスは涙目で剣を構える。
とりあえず頭を撫でておく。実際ちょっと面白かってからな。
アイリスは嬉しそうに微笑む。よし大丈夫そうだな。
クマさんがこちらに来る。僕らは散開、相変わらず僕狙い。
見切りとダッシュを発動させできるだけひきつけよける。
・・・・・・見える!!
今度はしっかり見える。
前回のぶれて見える手を勘でよけるのとは違う。
上から振り下ろされる手を一歩下がりよけ、右からくる手を頭を下げてよける。
その時クマの後頭部にファイアーボールが当たり爆発、弓が首に刺さる。そのすきにアイリスが剛力、魔力剣で背中を切る。クマさんは思わず叫び振り返ろうとする。
僕は振り返ろうとする横腹を剛力、魔力剣で切る。
クマさんは思わず膝をつく。
そこを早斬りで左右の足の付け根を僕とアイリスで切る。
クマさんは両手足をつ苦しそうに頭を左右に振る。
HPバーが一本に入る。
するとそこに大きなハンマーがクマさんの顔を左右からたたきつける。
Mr.とレヴィだ。剛力を使った攻撃はHPを2割ほど削る。
あれはひどい。
するとクマさんは突然倒れる。
頭上に気絶の文字が。
皆と目が合う。
二ヤリと笑いあう。
集団リンチが始まる。
こうして二度目のクマさん退治は圧勝で幕を閉じた。
「じゃあ今日はありがとね。すごく楽しかったわ。」
「…うむ。感謝する。」
「あ、ありがとね。わ、たしも楽しかっちゃよ」
スルーするのが大人だ。
「いえいえ、こちらも楽しかったです。皆さんはこのままこの町で?」
「いいえ。またフェラールに戻るわ。あっちの方が鍛冶場の設備がいいのよ。」
「そう。ならまた何かあったら連絡するわ。」
「またねー!楽しかったよ!!」
「ん。またよろしく。」
「またね。この前話した下着の方もよろしくね。」
「わ、わかりました。がんんばります!」
僕らは無事クロス町にと到着し、転移ポータルに登録するとレヴィたちは転移していった。
「また下着頼んだんだね。」
「まぁね。スケスケなのをいっぱいね。今度着て見せてあげる。」
「いえ、結構です。」
「お兄ちゃん空腹度が表示されたから料理の方よろしくね!」
「ん。楽しみ」
「ちなみに私たちも下着買ったから見てね?」
・・・・・・これから色々大変そうな予感がする・・・。
そんな事を感じながらダイブアウトした。
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