第27話二日目後半

山に上る道と山の中に入る道がいくつかある。

「どれが正解なのかしら・・・・」

Mr.とレヴィもわからないようだ。

「じゃあ一番近いところに入ろう!!」

「その心は?」

「近いから!!」

そのまんまだね。まぁアイリスらしい。


僕らは断る理由がないので一番近い山に入る。


入口で僕らは目と耳に魔力を集める。

五分ほどたった時、


スキル【夜目】【聞き耳】スキルを習得しました。

これはレヴィが事前に山中で役に立つと聞いてきたスキルだ。


「ん。これは便利。」

「すごいわねこれは。」

「まるで暗視スコープみたいだな」

「そうね。耳もなんだかさっきより聞こえる気がするわ。」

「・・・とりあえず進むぞ。時間がもったいない。」

「そだね!!じゃあフォーメイションXでいくよ!!」

フォーメイションXなどない。好きだなそのネタ。


4mほどのトンネルを進んでいく。


【夜目】のスキルレベルが上がりました

【聞き耳】のスキルレベルが上がりました

【夜目】のスキルレベルが上・・・・・・・・・


「だんたんはっきりと見えるようになってきたな。」

「そうね。昼間のようとは言えないけど大分見えるようになってきたわね。」


しかし妙だな・・・

「ねぇ、いくら何でも魔物が少なすぎない?」

「・・・そうだな。何かおかしい。」


山に入って10分魔物にあっていない。

レヴィの話ではこの山は魔物で溢れているはずだ。


「ん?なんかいるな。」


正面にモブゴブリンが二体談笑していた。

Lv10 ボブゴブリン

あまりLvは高くないようだ。


クリスが矢を構えこちらを見て合図をしてくる。

僕は剣を構え飛び出し隣を矢が飛び、一体のゴブリンの額に刺さりゴブリンは消える。

僕もボブゴブリンの間合いに入る直前、突然松明が僕とモブゴブリンの間に落ち、上から何かが落ちてくる。

「んぐっ、いたっ、ッッ八ッ!!」

大鎌の龍人がモブゴブリンを切りゴブリンは消える。


「油断するな!・・・ッチッ。なんだ、男か・・・」


突然の出来事に呆然とする僕に小声でつぶやく。


「・・・ここは危険だ。帰りな。」

僕の後ろに来ていたクリスたちにそう言い松明を広い奥に消えていく。


なんか腹がたつな。あいつ。

「あれはないんじゃない?完全に横取りじゃない。」

「ん?でも、たまたま遭遇しちゃったんじゃないの?」

僕は疑問を口にする。

「あら、ウィルは気づかなかったの?あいつ初めから上でこっちに気づいていたわよ。」

「ん。タイミング図ってた。」

「それに、男かって・・・狙いが見え見えで気持ち悪いわね。」

僕はだんだんイライラしてきた。

聞き耳スキルのおかげで全員聞いていたようだ。

「しかも名前みた?「カオス・カプリチオ」よ。混沌の狂想曲よ。頭おかしいんじゃない?」

「・・・中二病だな。意味もなく目立ちたくないといい、大鎌、名前。あいつの頭の中が混沌だな」


Mr.の言葉で笑い、すっきりした所で先に進む。



「広いな、ここでいいんじゃないかしら。」


20mくらいはありそうな円形の穴でレヴィはいいMr.もうなずく。

鑑定で見るとそこらじゅうの壁が光っていた。


「それじゃあ護衛の方よろしく「まって!!なにかくる!!えっ?」


突然のアイリスの声にMr.とレヴィを背にし武器を構える。

「やっと戦える~!!」

アイリスは言うが僕は平和に終わりたかった。



しばらくするとダダダダダッッ大量の足音とともに大量のモブゴブリンとその後ろにが流れ込んできた。


そして・・・

「あいつ!!まじかよ!?」

魔物の群れの先頭に先ほどの混沌君がいた。

「MPKね。全く困った子ね」

エリザベス冷静だなぁ・・・・・・・

「戦いたいって言ったけどあれは多すぎるよぉー!」


アイリス・・・言葉とは違い嬉しそうにすんなよ。しっぽが千切れんばかりに振られているよ。



混沌君は僕らを見て「あっ」とつぶやくとモブゴブリンにこん棒でたたかれ消えていった。


っくそ。殴ってやりたかったのに・・・。


だが混沌君が松明を数個火をつけ魔物に投げつけながら走っていたため、松明が残り広場が明るくなる。

「行くよみんな!!フォーメイションDX!」

なぜでらっくす?


こうして大混戦が始まった。


フォーメイションDXは僕とアイリスが皆を守るように前衛、クリスとエリザベスが中衛で、四人を抜けた魔物を残りの三人が対処するという形になった。


スラッシュや剛力などを使いすぎると魔力が足りないため、身体強化のみで出来るだけ対処する羽目になる。

モブゴブリンは棍棒を大きく上下左右に振るという単純な攻撃な為避けやすい、が、流石に数が多い。棍棒を横に避け首元を切り、次の棍棒を後ろに下がり避け鋭く距離を詰め胸を突く。モブだからか身体強化は使ってこない。しかしLVが10~14とある為一撃では倒せない。

横を見るとアイリスは大剣で一振りで二匹には確実に当てていた。笑顔で。

うちの妹ってこんな子だったっけ?

「あぶなっ。ありがとクリス!」

「集中しなさい!」

アイリスに気を取られ後ろからくるモブゴブリンに気づかず攻撃を受けそうになったがクリスのトリプルアローでゴブリンは消えて行く。

ごめんなさい。

気を取り直して剣を握り直す。

「全員後退!通路で戦うわよ!」

少しづつ左右から回り込まれ始めた時エリザベスが指示を出す。

確かに余裕のある時に通路まで下がりそこでは戦った方がいいだろう。

エリザベスのの魔法とクリスの矢が飛びそれに合わせアイリスの剛力とスラッシュ。僕はダッシュの要領で足に魔力を集め近くのゴブリンを蹴り飛ばし奥のゴブリンも巻き込ませる。


その隙に後ろにダッシュし通路に入り再び振り返る。


後ろからマナポーションが飛んできて背中にあたりMPが回復する。

ポーションは飲んでも体に当てて割っても効力を発揮する。

ただ飲んだ方が効力は大きい。


全員がMPを全回復させたところで通路にモブゴブリンがなだれ込んでくる。


第二ラウンドだ。


さっきとは違い通路の幅は4mほど。横からは回り込まれずらい。

2.3匹のモブゴブリンを倒したところで異変に気づく。奥のゴブリンが引き返していった。

最後のゴブリンを切ったところで奥を見るとモブゴブリンとモブクモが戦っていた。


「え?なんでモブ同士が?」

「アイリスその言い方はなんかかわいそうだ」


「おかしいと思ったのよ。聞いた話ではモブ同士は一緒にいるはずがないのよ。」

「どういうこと?」

「モブ同士の力の差ははっきりしている。クモの方が強いの。だからこの洞窟は奥にクモ、入り口付近にゴブリンと別れてるはず。それがこんなに乱闘しているなんておかしいわ・・・。」


しばらく乱闘を見ているとクモがゴブリンたちを糸で縛り大量のモブたちは元来た通路の方に消えていった・・・。


ーーーーーーーーー

レベルが上がりました

レベルが上がりました


ジョブ【見習い戦士Lv16】に上がりました】

サブジョブ【見習い武道家Lv1】を取得しました。


【身体強化9】【観察10】【ダッシュ7】【見切り4】に上がりました。


職業スキル【魔法拳】を取得しました。


称号【モブの敵】を手に入れた。


ーーーーーーーーーーーー


「・・・終わったみたいね。」

「あのゴブリンたちって・・・」

「・・・繁殖期だからね。もしかしたら食糧問題が発生しているのかも・・・。」


「まぁ考えても仕方ないわ。今のうちにさっさと採取してしまいましょ?」

エリザベスの言葉で警戒しながらも広場に戻る。


STRの高い僕とアイリスもMr.につるはしを借り、採掘に参加し他3人は警戒に当たる。


【採掘】スキルを取得しました。


カァン…カァン・・・カァン・・・

リズムいい音が響く。

ゲームだからかSTRが高いからか簡単に採取できる。初めての作業だが面白い。

採掘スキルがあがるごとにどの辺をたたけばいいのかわかってくる。


「鉄屑×6」を採掘しました

「青銅×11」を採掘しました

「金の塊」×1を採掘しました

「銅」×20を採掘しま・・・・・・・・・・


カァン・・・カァン・・・カァン・・・


「・・・ちゃん。お兄ちゃん!!」

「ん?どうした?」

「どうしたじゃないわよ。集中しすぎ」

「ん。ウィル楽しそうだった。」


皆はすでに準備を終えあとは僕だけだった。

「ごめんごめん。ついつい楽しくて・・・・」

「・・・わかる。わかるぞ!ウィルよ。」

「「「「「えっ?」」」」」」

「はぁ。やっちゃった」


その後帰り道は何事もなく無事街につきました。


が、僕は街につくまでMr.にリアルとファンタジー世界における鉱石についていろいろ語って頂きました。

普段寡黙な人が突然話し出すと嬉しくもあり、怖くもある。

そして何より断り辛い・・・。

皆僕らから離れて歩いていた。

Mr.は時に笑顔で、時に真剣に語ってくれた。

いつ呼吸してるんだと思う位に・・・

この日の夕日はとても暖かく感じた。



ゲーム二日目はこれでおしまい。


めでたしめでたし。

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