第26話山への道中

一度ダイブアウトし昼食。

再びダイブインし北門で二人を待つ。

「お待たせ。じゃあ行こうか。」


パーティーを組み北西にある山に向かう。

「なんだ!高校生だったのか!大人っぽいから大学生かと思ったよ。」

エリザベスを見てレヴィは笑う。


ゲーム内でリアルのことを聞くのはマナー違反だがレヴィは僕らを信用しているしているのか話してくれた。


因みにMr.は31歳でリアルでも鍛冶職人だそうだ。

だがこんなご時世だ。

刀がなかなか売れず、花瓶や食器などを売ったら大ヒット。

しかし刀づくりがしたくてゲーム内で鍛冶職人をしているそうだ。


勝手に語るレヴィにMr.は怒らないのかと見たが黙ってついてくるとこを見ると良いのだろう。


北門先の草原には人は居なかった。

皆森の方に行ったのだろう。

ネズミやウルフを倒しながら進む。


「うんうん。やっぱり君達強いね。君達を選んで正解だったよ」

真っ直ぐ言われると照れる。


「あら、ありがとう。貴方達は戦わないの?」

「戦うけどあまり強くないわよ」

「見たみたいです!お互いの戦闘スタイルを把握しておいた方がいいですし!」


なら、と2人はインペントリから武器を取り出す。


2人は1mくらいのハンマーを取り出す。

Mr.は黒と赤、レヴィは金色だ。

あれで叩かれたら痛いだろーなー。


「私達の武器はコレ。戦闘でもハンマーを使えばスキルレベルも上がるから。因みに攻撃力はあるけど防御と素早さは最低ラインよ。ただPvPの場合は武器破壊が出来るわ。」


PvPはプレイヤーVSプレイヤーの略。

他にはPKはプレイヤーキラー、MPKはモンスターを引き連れて他のプレイヤーに押し付けるモンスタープレイヤーキラーの略などがある。


「武器破壊ってプレイヤー泣かせね。」

「まぁね。今のところ鍛冶師の勇逸の武器よ。まぁ当たるとは思わないけど。あ、じゃぁあの二匹でいいかしら。行くわよスミス。」

スミスは軽く頷き2人は走り出す。

確かに足は遅いみたいだ。

僕らのレベルの半分にしても遅かった。


ウルフ二匹でがこちらに気づきMr.とレヴィにそれぞれ飛びかかる。


2人はほぼ同時にハンマーを振るい「ゴキュッ」と嫌な音を立て左右に吹き飛ぶ。

二匹のウルフは3m程吹き飛び、空中で青い光となってきてる。


「エグいわね」

「アレは痛いわ」

「アイリス始めてモンスターに同情した」

「ん。アレは受けたくない」


ALOの魔物は少しアニメチックにデフォルメされている。

きっとリアルすぎると抵抗があるからだろう。だが逆にかわいくて戦いずらい時がある。


どや顔でこちらに振り替える二人が逆に怖くなった出来事だった。


「山中では僕が前衛その後ろにクリス。間にMr.とレヴィ、その後ろにエリーとエリザベス、後衛にアイリスでいいのかな?」

これは事前に決めていた。山中では挟まれて攻撃されることがあるからだ。

皆うなずく。



「そもそも鉱石って山の所じゃないと鉱石ってとれないの?」

「そうね。取れないこともない。でも山の中のほうが質がいい鉱石が取れるらしいの。それに魔物の大繁殖期前で鉱石が取れずらくなって街でも値段が高騰してるの。だからできればインペントリいっぱいになるまで取っておきたいのが本音よ。」

「そうなんだー。じゃあ頑張んないとね!!」

アイリスが両手で力こぶしを作るとMr.とレヴィは微笑んでこたえる。

Mr.笑うんだ・・・。子供の無邪気な笑顔には弱いらしい。


「山にはどんな魔物がいんの?」

「モブゴブリンとモブクモらしいわ。山の上の山道を行くとまた違った魔物がいるみたい。」


もっといい名前なかったのかな・・・。

「それと山の頂上と山中のの一番奥にエリアボスがいるからきおつけてね?まぁ途中までしか行かないつもりだから大丈夫だと思うけど。」

「えーー!戦おうよ!!」

「・・・・やめておけ。LV30前後が攻略目安らしい。」

「ぶーーー。なら仕方ないかぁ」

「Lvをあげてそのうち挑戦しましょ?」

「ん。頑張ろうね?」


久しぶりに口を開くMr.にアイリスはしぶしぶ納得したようだ。

しかしなんだかゲームの中だと4人は仲良く感じる。いい傾向だな。


「ん。誰かいる」


確かに誰かが何か大きなものを振り回していた。

しかしウルフ2匹はそれを鮮やかにかわしていた。


「あっ、大鎌の子だ。」


近づくと銀髪の龍人のプレイヤーが大きま鎌を振り回していた。

・・・いや、振り回されていた、という感じだ。

「身体強化使ってないわね。ギルド講習受けてないのかしら。」

「あっ。やっとあたった。」


攻撃が当たりウルフは二匹とも消えた。

疲れて座ろうとしていたがこちらに気づき武器を構える。


「まって!こっちは戦う気はないわ!」

エリザベスの言葉に少し長考した様子を見せたが、武器を下す。


「珍しい武器ね。それで戦えるの?」

「・・・・・・まぁね。少しコツがいるけど。」

嘘つけ。振り回されてたやん。

というが声が小さくて聞き取りずらい。


「こっちは人が少ないし魔物のLvも高くなるから危ないんじゃない?」

「・・・・・・・目立ちたくないから。」

「??目立ちたくない?」

僕が聞いたのに女性陣から目を離さない。


「・・・あっちの山は強い魔物が出るから引き返したほうがいいよ。」

ぼそぼそっと話すと彼は走って山のほうに行ってしまった。

「・・・変な子だったわね。」

「そうね。まぁああいうタイプは考えてもよくわからないから先へ進みましょ?」

エリザベスの心無い一言にレヴィは笑い先へ進むことにした。

あっ。名前聞くの忘れてた。




山のの麓に到着する。

「長ーい山だねぇ。」

「そうね日本じゃあまり見ない光景ね。」

「お兄ちゃんおにぎり食べたい。」

「ん。ピクニック日和」

「確かに天気いいからなー。昼寝したくなて来た」


「あんたたち余裕ね。これからが本番よ。」

レヴィはあきれ顔で注意する。

しかしこの天気と見渡す限りの山と草原。そう感じるのは仕方ないと思う。

「お兄ちゃん料理スキル覚えてよ。」

「ゲームの中でまでする気にはならないなぁ。二人こそゲーム内くらいは作ってみたら?」


「さぁお姉ちゃん!!れっつごーだよ!!」

「そうね!山が私たちを読んでいるわ!」


おい。ベタな流し方すんなよ。


「ん。私も久々にウィルのご飯食べたいな。」

「そういえば最近食べてないわね。」

「そういえばそうかな。今度リアルで作るよ。」


「あら?それじゃ私たちが食べられないじゃない。」

「・・・ウィル。俺はハンバーグが好きだ。」


のっかるかなぁ。そこ。

というかMr.ハンバーグってかわいいな。


「・・・まぁMr.まで言うなら今度何か作ってみるよ。」

Mr.に頼まれるとなんか断りずらいなぁ。

「・・・頼む。オムライスでもいいぞ。」

子供か。いかの塩辛好きそうな顔してるのに・・・。

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