第10話

「さあ文化祭も2日目。今日はシロちゃんと、ついでに片桐くんがいないけど頑張ろー!」

「「おー」」

明らかに一日目よりやる気が無くなっている。

「みんな頑張ってね。シロ、一緒に回ろう?」

今日は、私と同じく仕事のないアカリが誘ってきた。

「いいけど、多分レイラさん来ると思うよ?」

「もちろん!昨日来た時は私、会えなかったし」

「そうだね。レイラさん来るまで回ってよっか」


「ごめんね~!待った?」

開場してから10分ほどたち、レイラさんが走って来た。

「何だか彼女見たいですね」

アカリは冗談でそんなことを言ったが、私には笑えなかった。

(昨日、アカリのこと振ったんだけどな・・・)

「えっと、君がアカリちゃんかな?」

「そうです。シロがいつもお世話になってます」

「いえいえ、こちらこそ」

(どちらかといえば、私がどっちもお世話してると思うんだけど・・・)

「シロの事だったら何でも聞いてください」

「ちょっ、」

「クラスでも人気者で、凄くモテます。スリーサイズは上から、7・・」

「待ってよ!どうして私のサイズ知ってるのよ!」

「アカリちゃんはシロちゃんの事何でも知ってるんだね。・・・後でサイズ教えて」

もう何も突っ込むまいと思ったが、一体何に使うのだろう。

「レイラさんとシロちゃんの関係って何ですか?」

するとレイラさんは私の方を向いた。

「何なんですか?」

(何なんでしょうね)

「隣人ですよ」

「もっと深い関係になってもいいのよ?」

(もうやだこの人たち・・・)

「まあそこら辺の話はまた今度。今は文化祭回りましょうか」


「次はどこ行きますか?」

「だいぶ回ったからね」

私たちは、いつの間にか午後になるまで遊んでいた。

「あっ!いた、おーいシロ!」

「あれは・・片桐くんかな」

正面から片桐くんが走ってきた。

「どうしたの?そんなに走って」

「アカリもいたのか、それに昨日の・・」

いつの間にか私の知らない関係がレイラさんに出来ていたようだ。

「それで3時からコスプレコンテストってのがあってな」

「嫌ですから」

「シロちゃん即答だね」

「最後まで話を聞けって。それで優勝賞品が、学校の予算と相談だが、好きなものを一つらしいんだ」

「ここに私の名前を書けばいいのね?」

「手のひらぐるぐるね・・シロ、そんなに欲しい物でもあるの?」

「ホームベーカリー!あれがぜひ欲しいの!」

私の家はもちろん、レイラさんの家にはホームベーカリーが無かった、だからこそこのチャンスを逃す手はなかった。

「でもクラス代表だから、賞品もクラスで決めるからな」

「嫌よそんなの!」

「それなら、この飛び入り参加ってのにすればいいんじゃないの?」

確かにその飛び入り参加というのにすれば、賞品は一人で決められる。

「でもこのコンテスト二人一組が参加の条件だよ」

「今から相方を見つけるのは難しいだろ。クラス代表だったら俺が相方やるし・・。ホームベーカリーは難しいかもだけど」

「だったら私がシロちゃんの相方になるよ」

そう言って声を上げたのはレイラさんだった。

「レイラさんが?確かにこの学校の生徒じゃなくても大丈夫ですけど」

「だったら決まりね!シロちゃん、さっそく受け付け行ってこよ」

「えっ、はい」

「ちょっと!クラス代表はどうするんだよ!」

「諦めなさい。私でよければ代わりに出ましょうか?」

「すまん。お願いしてもいいか」

こうして私の、クラスまで敵に回したコスプレコンテストが幕を開けるのだった。



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