第7話
「レイラさん、うちの文化祭って興味ありませんか?」
食後の団らん中、私はレイラさんに聞いてみた。
「そりゃもちろん興味はあるけど・・珍しいね、シロちゃんから誘うなんて」
「それなんですけどね・・・」
「文化祭の出し物決めまーす!」
このクラスの文化祭クラス委員のアカリが指揮を執り、クラスの出し物を決めることに。
「俺はやっぱり定番のメイド喫茶かな」
こういった行事はクラスのムードメーカーたちが勝手に決めてくれるので、私は机に伏して聞いていることにした。
「えー男子の考えダダ漏れだよ」
「だったらお化け屋敷とかは?」
「うーん商業的なことの方が予算が降りやすいんだよね」
「だったら喫茶店とか?」
「せっかくだったらシロを・・・はっ!男装女装喫茶はどうだ!」
「「「それだ!」」」
「何が!?」
私は決まった出し物と、クラスの結束力に思わず立って突っ込んでしまった。
「せっかくうちのクラスには片桐くんとシロちゃんがいるんだし・・・ね?」
「「何が、ね?だよ!」」
今度は片桐くんも立ち上がりツッコミを入れた。
「多数決とりまーす。賛成の人ー」
「「「はーい」」」
「反対の人ー」
「はい!はい!」
「賛成多数で、片桐ちゃんとシロ様の喫茶店に決定です」
「「名前まで決まってる!?」」
そうして決まった喫茶店の準備中。
「そうだシロ!文化祭の日レイラさんに来てもらえば?」
「嫌だよ。こんな格好で・・・」
私は試着していた執事服の裾を掴みながら言った。
「仕方ないなぁ。それならさっきついでに着せたコスプレ写真の流出は免れられないかな・・・」
「ちょっ!いつの間に写真を!」
私はさっきまで半ば強引にクラスの女子たちからあらゆる格好をさせられ着せ替え人形となっていたのだ。
「私だっていい加減レイラさん見たいの!」
「分かったよ、聞いてみる」
「・・・シロのそういうちょろいところ好き」
「おい」
「・・・ということがあったんですよ」
私は最後までシロちゃんの話を聞くと、心の中でアカリちゃんという子に感謝した。
「もちろん行くよ!シロちゃんの学校とかも気になるし」
「べっ、別に来なくてもいいんですよ!」
(最近シロちゃんのツンデレ強くなってきたような)
「ということでしばらくは支度で忙しいので、ご飯は1人で・・・」
「ご飯作って待ってるから」
「・・・そうですね。待っててください!」
「そっちの取り付け出来た?」
「あとちょっとだよ!」
私たちは文化祭当日を明日に控え最後の追い込みに入っていた。
(さすがにかなり遅くなりそうだし、レイラさんにご飯いいってメールしとこ)
私はレイラさんにメールを入れると手伝いに戻った_
(・・・んっ、あれ寝ちゃってた)
かなり重たい瞼を開けた。
「・・・アカリ?」
まぶたを開けると、少しだけ目を潤ませながらアカリが私をのぞき込んでいた。
「っ、ごめんね・・・」
アカリはそう一言言い残し、教室を出ていってしまった。
(どうしたんだろ・・・)
私は誰もいなくなっていた教室を後にした。
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