第4話
シロ
「今日もいい天気ね」
私は誰に言うでもなく、カーテンを開けるとすぐに部屋を出て朝食の支度をした。
「よし!今日も学校頑張ろう!」
こうしてシロの1日は始まる。
「おはよう」
「おはようシロちゃん!」
「おはよう!今日は遅かったな」
「今日はいつもより人助け多かったから」
「「いつもより?」」
そして私は隣の席の片桐くんにも挨拶をした。
「片桐くんもおはよう」
「あっ、おはよう」
「・・・?私の顔になにか付いてる?」
「ごめん!何でもないから。ホームルーム始まっちゃうよ!」
(何だか不思議な片桐くん)
何だかいつもより素っ気ない片桐くんを不審がりながらも、私は自分の席に座った。
「1時間目から体育かぁ」
「朝イチは辛いよね」
「まだシロは運動できるからいいけど、私なんか・・・」
アカリはそう言うが彼女も特別運動音痴な訳ではない。
「今日の体育って何だっけ」
「バスケよ。男子たちと合同らしいけど」
「私の運動できない姿を男子に見られるなんて」
「いつまでもウジウジ言わないの」
「よしっ!頑張る」
アカリが気合いを入れたところで、練習試合が始まった。
「シロちゃんパス!」
「はい!」
私はパスを受け取ると、ゴールへとボールを放ち得点を入れた。
「痛たたっ・・・」
「大丈夫?」
「心配かけてごめんね。さっき1人で転んじゃっただけだから」
「心配だし一応保健室行こ?歩ける?」
「ちょっと痛いかも・・・うえ!?シ、シロちゃん!?」
私は無理に歩かせるのは良くないと思い、怪我をした子が楽であろうお姫様抱っこで保健室に行った。
「・・・?どうして鼻血出てるの?」
「何でもないです・・・」
体育館からほど近い保健室にその子を運び、私は体育館に戻ることにした。
「あれ?片桐くんも怪我?」
「あぁシロか、大丈夫だよちょっと捻ったくらいで大げさなんだよな」
「そんな適当じゃダメだよ。心配してくれる人がいる時には甘えておきなよ」
「そ、そうか・・・ありがと」
何を偉そうなことを、と思ったが好意的に受け取って貰えてよかった。
「じゃあそろそろ私行くね」
「シロ!・・・放課後待っててくれないか」
「いいけど」
相談か何かと思い、受け流した。
「シロー!一緒に帰ろ」
いつものようにアカリが誘ってきたが今日は用事がある。
「ごめんアカリ。人に呼び出されてるんだ」
「また告白?モテますね~」
「どうだろう最近は三回連続女の子だったし」
「まあいいや、また明日」
「うん、また明日」
私はあかりそう言うと、しばらくぼーっと空を眺めていた。
「ごめんシロ、待った?」
「そんなには。それで話って?」
しばらく片桐くんは黙っていた。
「その・・・俺・・・」
「・・・?」
「シ・・・・・・シロに相談乗って欲しくて」
やっぱり片桐くんの話は相談だった。
「いいよ、私でよければいくらでも」
そう言うと片桐くんはしばらく落ち込んでいたが、話を始めてくれた。
「実は俺、好きな人がいるんだけど。あんまりそういう経験なかったからどうしたらいいか・・・」
「片桐くんもそういうのあるんだね。その子のどういう所が好きなの?」
「え!?・・・えっと誰にでも優しくて、表裏が無いところかな」
どうせだったら当ててみようかと思ったが、どうやら難しそうだ。
「そうだね・・・そういう子には思いきって告白したらいいと思うんだけど」
「そうだよな・・・でもやっぱり自信なくて」
「そっか、そうよね。なら少しずつでも距離を詰めていった方がいいね」
「ありがとシロ。あんまりそういう話しないと思ってたよ」
(それならどうして私に相談したんだろ?)
「俺、部活だから行くな」
「うん、頑張ってね」
私は教室を出る片桐くんの背中を見ながら、思った。
(正直に何かを好きになれる人ってカッコイイなぁ・・・)
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