第2話

「・・・ロ・・・シロ!」

「んっ・・・ごめん、寝てた」

「シロが居眠りなんて珍し・・・シロ?」

私は体を起こすと、頬を伝う涙に気づいた。

「いや、ごめん。たまに出るんだよね。涙」

「大丈夫なの?」

「大丈夫大丈夫!病気とかじゃないと思うし、悩み事ってわけでもないから!」

そうだ。理由は分かっている。

(治ったと思ったんだけどな・・・)

「そっか・・・それなら、今日こそは駅前行って気分転換でもしよ!」

今日は週に1度のレイラさんの料理当番だ。遅くならない程度だったらいいだろう。

「分かったよ」

「本当に!?いつもは断るのに。彼氏は?」

ガタッ!

「彼氏ではないから・・・それに今日はあの人がご飯作ってくれるからであって」

「半分同居じゃない・・・」

ガタガタッ!

何だか男子が落ち着いていない様子だったが、構わず私は学校を出た。


「ねえねぇ、いい加減半同居している女の人ってどんな人か教えてよー」

「しつこいよアカリ」

今日は1番の仲良しと言えるクラスメイトのアカリと2人で街へと繰り出した。

唯一私がレイラさんの事を知っている友人だ。

「だって学校一の美少女と半同居してるんだよ!誰だって気になるよ」

「学校一の美少女になったつもりはないんだけど・・・それに、あんまりあの人の事は」

するとアカリはニヤッとした。

「俺の女は誰にも盗られたくないってか!さっすがクールビューティシロ様!」

「そんな事は・・・」

(でも私だけのレイラさんでいて欲しいのはあるのかも)

「さっさと行きましょアカリ」

「シロ様分かりました!」

「さっきからその二つ名みたいなの何なのよ」

たまに校内で聞いてはいたが、そこまでカッコいいのは初めて聞いた。

「ダメかな?次に広めようと思ったあだ名なんだけど」

「お前が黒幕か!」

レイラさんの事はしばらく秘密になりそうだ。


「おじゃまし、たっ・・・ただいまー!」

「おかえりシロちゃん、今日こそはしっかり出来たと思うわよ!」

レイラさんの部屋に着くなり、席に座らされたので早速頂くことにした。

「「いただきます」」

今日の夕食はポトフだ。

見た目も湯気が立ち上り、美味しそうに見える。

「ど、どうぞ召し上がれ」

急かされるように、私は口にポトフを運んだ。

「どう?美味しい?」

「・・・まあ美味しいんじゃないですか?」

「シロちゃん・・・覚悟は出来てるわ」

私はその言葉を聞き、はっきりと言った。

「正直に言いますと・・・めっちゃ微妙です」

スープも特別不味くは無いが塩分が少なく、具材も中途半端に固い。

「またダメだったかー!」

「でも会った頃よりかは・・・ごめんなさい忘れてください」

「どうして追い討ちかけるの!」

「いや、本当にごめんなさい」

「やめてえええ!!!」

これ以上続けてもお互いのためにならないと理解し、食事を続けた。

(別に食べれないわけではないんだよね)

「「ご馳走様でした」」

「片付けは私がしますよ」

いつの間にか出来た、料理をしなかった方が片付けをする暗黙のルールに則り片付けを始めた。

「そうだシロちゃん!午後に駅前に居たよね?」

「ええ、いましたけど」

「女の子と一緒だったね・・・彼女?」

「友達っていう発想はないんですか!」

「え?違うんだ・・・」

どうやら本気でそう思っていたらしい。

「クールビューティのシロちゃんの事だから、いつも女の子が近くにいる生活してるのかと思ったよ」

「どこのハーレムですか・・・」

「シロ様!シロ様!みたいに」

「あんたら根本がそっくりだな」

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