私と彼女の不思議な関係
安里 新奈
第1話
「シロー!今日、駅前行かない?」
「あーごめん!今日は用事あるんだ」
すると彼女はさらに興味を引かれたように近づいてきた。
「なになに!もしかして・・・彼氏!?」
「違うってば!」
「ええーじゃあ何なのよ」
「えっと・・・知り合いのお姉さん?」
すると彼女は何かを察したように、耳元で呟いた。
「頑張りなさいよ」
「何を!?」
注目を浴びなんだか居心地が悪くなり、私は急いで帰路についた。
「おじゃましまーす」
私は自分のアパートに着くと、自分の部屋には行かず一つ上の階の部屋に入った。
「シロちゃん帰ってたのね」
「レイラさん、お邪魔してます」
するとレイラさんは不満げな様子で、私に向き合った。
「お邪魔します。じゃないでしょ?」
「えっと・・・ただいま」
彼女はいつもの笑顔に戻ると、私の頭を撫でた。
「うん!おかえり!」
これが毎日の習慣だ。
私は慣れ親しんだようにブレザーをハンガーに掛けると、キッチンに向かった。
「レイラさん、今日は何にしますか?」
私はエプロンを着ながら、ゴロゴロしてるレイラさんに聞いた。
「シロちゃんで!」
「そういうのいいんで」
「(´・ω・`)ヒドイヨー」
「なるほど、野菜炒めでいいですね」
「すみませんでした。今後2度とこういった事を起こさないように致しますので、何卒野菜炒めだけは許して頂けませんか?」
レイラさんが熟年サラリーマン並の謝罪に飽きれながら、私は「冗談ですよ」と伝えた。
「それなら私、ハンバーグがいい」
「分かりました。すぐに作るのでテレビでも見ててください」
そう言ってレイラさんがキッチンを離れたのを見計らい、私は冷蔵庫から挽肉と野菜を取り出した。
(こうでもしないとあの人食べてくれないから)
彼女に出会ってから野菜を上手く使った料理が増えたことに何だかなぁと思いながら手早くハンバーグをこねる。
(思い返すと、レイラさんと出会ってから生活が変わったな)
ほんの数ヶ月前は、1人の味気ない食事が普通だったのに、今はこうしてレイラさんと食事している。
そうして私と仲良くしてくれるレイラさんだが、私自身彼女の事は名前以外一切分からない。
「ご飯できましたよ」
「本当に!?」
「嘘言ってどうするんですか」
「ハンバーグ♪ハンバーグ♪」
・・・年上かどうかすら分からない。
「「いただきます」」
彼女は、楽しそうにハンバーグを頬張っている。
「美味しいですか」
「すっほふほひひいお(すっごく美味しいよ!)」
何を言っているかは分からなかったが、突き立てられた親指につい私も返してしまった。
「そうだレイラさん。いい加減レイラさんのこと色々教えてくださいよ!」
「私の事?いいよ、上から92、」
「違いますから!」
やっぱり大きいんだ、と思いながらも私は突っ込んだ。
「お仕事とか、私がいない時とか・・・」
「シロちゃん、昔はね職業と、年収と、貯金は絶対に聞いてはいけなかったらしいわよ」
「へー、やっぱりいつの時代もそういうのが・・・って!脱線してますから!」
「にゃははは!ご馳走様」
いつもこうやって自分の事になると話を逸らされてしまう。
「洗い物は私がやるよ」
「ありがとうございます」
私はお言葉に甘え、学校の課題を済ませることにした。
「それって学校の課題?」
洗い物が終わったレイラさんが横に座りながら聞いてきた。
「そうです。数学の予習も兼ねて」
私が黙々と進めているのをレイラさんは横から眺めていた。
「そこはね、xに3を当てはめてみな」
私は言われるがまま、xに3を当てはめると見事解けた。
「数学得意なんですか?」
「いいや、苦手な方だよ」
どうやらこの人は、かなりの天才なのだろう。
(終わったー!)
私は課題と予習を終わらせぐったりしているとレイラさんが、私の肩を揉んでくれた。
「どう?気持ちいでしょ」
「まあ、気持ちいですけど・・・」
胸が頭に当たっている、なんて言ったらからかわれるに決まっている。
「わざとですか?」
私は表現をうまく避け質問した。
「発情するかなー、と思って」
「おっさんみたいなこと言わないでくださいよ・・・」
「冗談だから!でも、それでシロちゃんが気持ちよくなるなら私は嬉しいけどね」
・・・こういう所がずるい
「ああー!!私もち〇こ欲しいー!」
「シロちゃん!?」
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