第52話コータの帰還
「おお!よく皆無事で戻った。大体のあらましは護衛に付けておった騎士から先触れで聞いておったが……そなた等からも直接聞きたい」
俺達は、到着から監禁され大暴れして城まで乗り込みその後、多額の賠償金を分捕ってきた話を詳しく話した。
「うぁはぁっは!これは剛毅じゃのぉ。それだけの土産を持ち帰るとは……この4年の苦労も報われたわい!」
王は、これまで見た事が無い位に豪快に笑い、俺たちの帰還と功績を讃えてくれた。
「それにしても金、銀、鉄鋼、胡椒に砂糖をそんなにも――それだけでも十分なものを、新造船も5隻とは」
思い出すだけで愉快で仕方が無いわい。と何度も、何度も礼を賜った。
そんな事は、どうでもいいから早く迎賓館に帰りたいな。
そう思っていると――。
「お父様、コータ様が困ってらっしゃいますの!そろそろ開放してくださらないと!」
俺の、未来の嫁が王にちょっと怒気を含めながら、言い払った。
「おお、そうであったな。お疲れの所、足止めさせてすまぬな。今日はゆっくり休むがよい。ではまたな」
やっと開放されたぁ~。
王様、何度も何度も老人かっつーの!
まぁ、それだけ嬉しかったのは分るけどね。
長年国民からも、愚策王と罵られてずっと病床に倒れていたんだから。
しかもその原因が、他国の陰謀だったからな……悔しかっただろうに。
だが、これで憂いは晴れた筈。
俺は、真っ直ぐに迎賓館で待つ娘達の元へ帰った。
ぶっちゃけ、待っているのはアルテッザだけだと思うけどね!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「で、アレフよ、どうだった?やはりコータ殿は」
「はい、敵兵を一人も殺しませんでした」
「やはり戦で身内を亡くした可能性が濃くなったか?」
「はい、かなり」
「それと気になる事が……」
「よい、申してみよ」
「はっ、実は帰りの航海中に海竜とオクトパスが出現しまして」
「なんと!先程の話にはそんな話は出ておらなかったではないか!」
「特に、利権に絡む話では無かったので……」
「それで?どうしたのじゃ、よくぞ無事で――」
「それですが、海竜はクロ様と妹君のヘメラ様と昵懇の間柄の様でして……」
「それは真か!」
「はい。今回は丁度私も一緒の船に乗り込んでいた為に、両者の会話が聞き取れました」
「両者というと?やはり海竜も?」
「はい、クロ様と同じく人語を話しておられました」
「うむ。やはりクロ様はただの古竜では無かったと言う事か?」
「はい、海竜を神とクロ様がおっしゃっていらした事を、父上は覚えていますか?」
「ああ。あれほど衝撃的な話は無かったからな。それはイザベラも同様であろう」
「その海竜が神ならば……」
「クロ様、ヘメラ様も……また……神」
「何とも恐ろしい者を取り込んだのぉ」
「コータ殿は、こちらが害をなさない限りは問題無いかと……」
「その根拠はなんだ!」
「コータ殿は、身内には甘い部分がかなり見受けられるからです」
「それで最初の話になる訳じゃな」
「家族愛に飢えているのかも?」
「それではメテオラを嫁がせるのは……」
「はい。これ以上無い程の巧手でした」
「それは良い報告を受けた。これで安心してクロ様達を辺境伯領に迎えられるな!」
「はい!父さん」
がはははは……と二人の高笑いが深夜の王城に響き渡っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ただいま!と帰ってみれば、皆は風呂に入っている最中だとか。
俺も、取り敢えず着替えを済ませようと寝室に入ると、
そこには――。
「メテオラ王女!」
「今晩から、こちらでコータ様のお傍で尽くせと陛下に言われまして参りました」
メテオラ王女が、ポッと顔を真っ赤にしながらそんな事を言う。
「だって、結婚はもっと先で俺が成人してからって」
「はい、結婚はそうですが――だからといって一緒の家で暮らして駄目なんて言う仕来りもありませんの」
「これから末永く、お願いしますね。コータ様!」
「あの、この事は皆は?」
「勿論ご存知ですの。それで気を利かせてくれたのですわ」
成る程、それで皆、居なかった?
風呂に入っている間に何とかしろって事ね。
俺、初めてで何をしたらいいのかさっぱり分らないんだが?
メテオラ王女ってそもそも何歳なんだ?
あ、キャラノートに17歳って書いてあったわ!
物語上では書いてないかも……。
「メテオラ王女」
「もう降嫁は決っているのですから、ここはメテオラと呼び捨てて欲しいですの」
うん、分った。
何しよう、どうすれば――。
かなりパニくっています。
「あの、何をすればいいんでしょうか?」
「はい?他のお嬢様方と何も変わりませんの」
え?それってあんな事とかこんな事とか出来ないの?
あ、ここ18禁も15禁も付けてないわ!
ちょっと残念だけど仕方ない。
「それで、メテオラはこれからどうしたい?」
「それってどういう?跡継ぎの話ですの?」
「すみません。そっち方面から離れる事にしましたんで」
「そうですの?残念ですね」
えっ、もしかしてメテオラもやる気満々?
おれ、もしかしてあれ使っちゃう日が来ちゃうの?
コータはその晩――――――めちゃめちゃ●●ぴーした。とか!
そんな展開はそう無いよな。
その時、寝室の扉が開き中に入ってきたのは……。
「あ、コータさん。もうお話は済んだんですか?」
アルテッザだった。
「うん、大体ね。アルテッザもメテオラとは、話とかしたの?」
「しましたよ!なんか気が合いそうなんでこれから楽しみです!」
これって俗にいう、3●ですか!
あ、話しているだけなら違うか。
何か第一婦人、第二夫人と揃って寝室にいるってドキドキするね!
「皆は、もうご飯食べたの?」
「コータさんのお帰りを、皆で待っていたのに食べる訳ないじゃないですか!」
あ゛~なんて甘い響きなんだろう。
お母さん!僕大人の階段登ります!
母さんは天国の階段を――きっと父さんと上ったよね!
そんな物が、あるかは分ら無いけど、神が居る位だからあるでしょ!
久しぶりに皆で揃って夕食を食べている時に、イアンから発表があった。
「皆さん、すみません。私、今日でこのパーティー抜けますね!」
えぇぇぇ~早いって!せっかく育てた火力キャラなのに!
娘達の中で、一番レベル高いんだよ?
それが抜けるのは、読者もきっと認めないかも?
え……キャラ立って無いから大丈夫?
だと、いいんだけどね!
あ、これでアニメ声キャラが居なくなったのか……。
あれ?一人いるじゃん!
娘というか幼女?
「お前、何をブツブツ言ってんだ!食事中は静かに食べるものなんだぞ!」
はい!幼女きましたわぁ~。
「コータさんはいつもこんなかんじにゃ!」
こんな幼女、2キャラも居たら最強じゃねぇ?おれん家。
「コータがおかしいのは、いつもの事だぞ?お主等が知らぬだけだ!」
相変わらず――心覗けるってずるいよね!
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