第21話 付与 - 点ちゃんの魔術属性 -


 俺は、スキル確認のため、点魔法でパレットを作った。


 みょんみょんピーン

 

 パレットに、スキルという文字が出てくる。

 スキルをチョンと。


 レベル10 連結

 レベル11 付与ふよ


 点ちゃん、今使ったのどっち?


『(・ω・)ノ 付与ですよー』


 付与って、どういう意味?


『(・ω・)つll ぺたっとくっつける、っていう意味です』


 何をくっつけるの?


『(・ω・)ノ+~* 今回は、点に治癒魔術を付与しました』


 なるほど、だからコウモリ男の体が良くなったのか。

 でも、なんで治癒魔術が付与できたの? 俺、治癒魔術なんて使えないよ。


『(・ω・) 今のレベルでは、基本的な魔術属性が付与できるようです』


 基本的な魔術属性?


『(・ω・)つ 火、水、風、土、雷、聖、闇です』


 治癒魔術が無いけど?


『(・ω・) 治癒魔術は、聖魔術に含まれます』


 聖という属性に含まれる魔術を、付与できるということか。


『(^ω^) そうみたいです』


 こりゃ、膨大な検証が必要になりそうだな。

 じゃ、この人には、このまま点をくっつけておいて、ときどき治療魔術かけてやってくれる?


『(^▽^)/ 分かりましたー』


 点ちゃん、帰ってきてくれてありがとう。

 すごく、嬉しいよ。


『(*´ω`*)ゞ えへへ』


 じゃ、後で、点ちゃんがいない間に起こったことを伝えるからね。


『(^▽^)/~ はーい、待ってますよー』


 ◇


 ギルドメンバーは、手分けして様々な仕事をこなしていった。


 アンデは、獣人会議のちょう、狐人族のコルナに魔道具で連絡を取っている。

 森へ避難させた村の衆を呼びに行く者、聖女の追跡を行う者と、いくら人手があっても足りない。

 俺も舞子の捜索隊に加わりたかったが、至急すべき仕事が出来たので、そちらに回された。


 それは、まだくすぶっている火の鎮火だ。

 煙が出ている屋根に点を飛ばし、そこで水を発生させる。もちろん、これは、水魔術の属性付与によるものだ。

 三十分もたたないうちに、煙が出ている屋根が無くなった。

 焼けてしまった家は、どうしようもないから、まだ手をつけていない。


 俺は、点ちゃんと相談した上、土魔術で家を作ることにした。

 まず、木の棒で地面に屋根部分の設計を書き、その形に土地を持ちあげていく。最初は上手くいかず、ばらばらになってしまったが、固めながら持ちあげることで、壊れることが無くなった。


 屋根部分を造りあげると、次は壁と柱だ。これも、位置を確認しながら地面から立ちあげる。タケノコのように家が伸びあがっていく様は壮観だった。

 家が燃えてしまい、意気消沈していた村人が、ものすごく喜んでいる。


 里長さとおさは、渋い顔をしている。

 まあね。魔道具や魔法が無い生活を目指しているわけだから、いい気持ちはしないかもね。

 だけど、今日住むところが無ければ、どうしようもないでしょ。なんなら、木で家を立てた後、こちらの「土の家」は壊してもいいわけだから。


 二軒目以降は、要領が分かっているから早い。一軒が三十分ほどで完成する。

 暗くなる前に、焼けてしまった家の数だけ「土の家」ができた。


 子供たちが、できた家の中をぐるぐる駆けまわっている。家が焼けおちなかった村人たちが、なぜか残念そうな顔をしている。


 ついでだからということで、俺たちがテントを立てていた場所に、ギルドメンバー用「土の家」を作ることにした。

 こちらは、大人数が宿泊するので、二階建てにしてみた。

 アンデは、その中に入ると呆れた顔をして各部屋を歩きまわっていた。


「今回の事で、お前が金ランクだって理由がよく分かったぜ」


 いや、土魔術使えるようになったの、ついさっきですからね。


「ところで、なぜ聖女を襲ったか、奴らは理由を話したの?」


「ああ、虎人のやつらは、大体な。

 人族に命令されてやったらしい」


「虎人は、人族の手先だったってことですかね」


「ああ、十分あり得るな。

 それなら、今まで南部への調査隊が帰ってこなかったことも説明がつく」


 俺は、舞子をさらった虎人の一味にキャンピーがいたことを報告した。


「なにっ!! 

 あの野郎も、奴らとグルだったのか」


 アンデは、ものすごく悔しそうな顔をしている。犬人族からも裏切り者が出たとなると、虎人族を責める矛先が鈍るだろう。


「あとな、あの捕まえた人族の奴だけは、どうしても口を割らん。

 あいつさえしゃべれば、虎人族の本当の目的も分かるんだが」


「ギルマス、あいつは俺に任せてくれませんか」


 アンデは、じっと俺の目を見てこう言った。


「よし、分かった。

 やってみろ。

 だが、殺すんじゃないぞ」

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