5・告白の理由


母親を殺した少年が居ました。

彼は三日間、母親の死体と共に家で過ごした後、警察に出頭しました。


世間は、「良心の呵責に耐えかねて罪を告白したのだろう」と噂しました。


けれど、少年は何故出頭したのかと問われ、こう答えました。



「だってさぁ、三日もしたら、死体、腐ってきちゃったんだぜ?

 臭くて臭くてさぁ…。

 燃やすにも、うち庭無いし、埋めようとしても、お袋、重いしよ。

 死体片付けんの面倒で、警察来たんだ。


 なぁ、警察のおっさん。

 あの死体、片付けてくれんだよな?

 あんなクサイ死体、俺、もう見たくないんだけど」



 少年は現在、その歳に相応しい場所で罪を償っています。


 本人は、罪など感じていないかもしれませんが。


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