KWチャンネル
渡辺宇太郎
第1話 レストア企画 #1 出会い
視聴回数462回・3カ月前 チャンネル登録92
どーもー、KWチャンネルのカワグチです! 皆さん、お元気でしたか? 私は見ての通り元気ですよー!
という訳で今回からまた新たな企画が立ち上がります。で、その企画なんですが、ん~~ジャカジャカジャカジャカジャン! はい! レストアです! パチパチパチー。で、何をレストアするかというと、こちら!
今、画面が切り替わって映っていると思いますが、そう、これです、これ!
今回からこいつをレストアしていきまっす!
あれは七月に入ってまだ間もないころでした。午後の講義が思いもよらず休講になった私は家にはまっすぐ帰らず、いつもとは違う道を散策しようとちょっとした気まぐれを起こしてしまったのです。外はシトシトと雨が降り続く梅雨真っ盛り。肌に纏わりつく湿気に不快感を覚えながらも国道沿いを当てもなく歩いていますと突然横の方から物音が聞こえてきました。そこは廃材屋の敷地で山のようにスクラップが積まれており、その中で黒猫が一匹、何やら必死に咬みついているのが見えました。先日、長年飼っていた猫を亡くしたばかりの私はその生き写しの姿を見て、ついつい近づいてしまったのです。しかし警戒心が強いのか猫は私の気配を察知するなり一目散に逃げて行ってしまいます。そして後には丸い金属の塊が残されていました。見ると下の方にまだ何やら続いている様子。そこで周りの鉄くずを慎重に取り払っていったところ徐々に全容が明らかになっていきました。それは両腕のない頭部から胸部までのアンドロイドの骨格でした。私、かねてから個人でアンドロイドを所有したいと思っておった次第でありますが、いかんせん高価ですからね。貧乏学生には高嶺の花でございまして…。ですが内部構造にも興味がありましたから、よくネットで公開されている図面なんかを眺めておりまして、せっかく実物が目の前にあるのだからこれはチャンスとばかり矯めつ眇めつ眺めているといきなり声を掛けられたのでございます。
「あんた、何やってるんだ?」
夢中になっていて廃材屋のお兄さんが近づいてきたのに全く気付いていなかった私はしどろもどろになりながら敷地内に無断で立ち入ったことをお詫びすると……。
「あんた、それ欲しいなら売ってやってもいいぞ」
お兄さんの提案はありがたいですが、アンドロイドなんて新品で一体三百万、中古でも二百万が相場。パーツが欠損しているとはいえそれでもこれは百万は下らないと思います。彼は私の何を見て金持ちだと思ったのでしょうか。きっと冷やかしだろう、そう思いつつも一応値段を訊いてみることにしました。
「一万でいいよ」
ありえない金額です。それはつまりこのアンドロイドの電脳が完全に壊れているという事に違いありません。それではアンドロイドではなく鉄でできたただのマネキンと同じです。がっかりした私はお兄さんの提案を丁重にお断りしようと口を開きかけたその時、またしても信じられない言葉が返ってきました。
「電源を入れたら瞳孔反射はあったぞ」
それはつまり電脳が生きているという証です。気づけば私は「買います!」と声を張り上げていました。
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