DDD

ももじじゅ

宇宙船アンティキティラ

おとなしい新人・うるさい新人

 超銀河座標のその先へ向かって……生息域を広げ続ける種族がいた。


「係長……動作不良ありませんでした」


 傍らには人々の宇宙の暮らしを支える金属の巨人。


「デカすぎる……、おかげで大変だ」


 巨人はこう呼ばれる。


「全くですよ……」


 宇宙巨人カタンナーバ


 そして、作業員の前へそびえるマーブル色の巨人は省みぬ者DDD = デアデビルデストロイヤー。気味の悪い飴菓子、そうでなければ変身中の化け物の繭みたいだ。新米はそう思った。


「本当に気味が悪い兵器ですね」


「操ってる奴はもっと気味悪いって話だぞ?」


 全身管だらけ、死んだような肌をした体毛一本ない怪人が脳裏によぎる。


「そっちは検査したくないですね……」


 すみませーん、おーい。談笑するふたりへ女が声をかけた。え・何でしょう? そう振り返ると少しばかり身なりが淫らな美女がいた。


 あの、なにか? 係長が女と話す。こんなの動かすんだ――そうそう、もー広くて×2――何所へ行けば良いのやら――ありがとうー、助かったよ――。 大きい声で喋る女、態度も軽い。自分もああなれたらもっと楽だった? でも、あんな態度だった同期たちもキツイ・タイクツとか言ってサッサと辞めていったな。


「今のひとは新人ですか?」


「新人は新人みたいだけどね」


 、と係長がDDDへ目をやった。


「例の気味悪い奴の世話係で明日から副所長だよ」


 彼女今のひとはダムキナ・グラという名前らしい。

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