departures

どこに旅立つのでしょうね?

5年前、仙台育英で脳出血で倒れました。

生死をさまよいましたが、父がまだ早いと此岸に帰してくれました。

春がやってきていた婆ちゃんも強く背中を押してくれました。

此岸では認知症と言われるものです。

「婆ちゃん、まともじゃん」

「本当の私はこっちにいるのよ」

「あっちは?」

「さぁね。抜け殻」

「蝉?」

そして今、湘南台の病院にいます。

今度は胃潰瘍です。胃に大きな穴があきました。

またもやヘモグロビンが2まで下がり輸血3パック。

危なかったです。腕だけでなく脚にもチューブがつながっていました。

脚の火傷が治らず、主治医の先生が病院で完治するまで過ごせと言ってくれていなかったら、今頃彼岸だったでしょう。

はっきりしない意識の中で、また婆ちゃんと父が追い返してくれました。

今度は婆ちゃんの身も心も彼岸です。

何で死なないんだろ?

彼岸に行きかけてもすんでのところで引き帰させられる。

看護婦さんが教えてくれました。

「あなたじゃないんじゃない?面倒を見てほしい人がいるのよ」

「わしじゃなく、この世で生きていてほしい人が?俺が見る?」

あ、婆ちゃんの娘で、父の妻で、わしの…

そういうことか。肝に銘じます。

母さんとわたしはともに


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