二部一章七話
「やはり、
「アンタが倒すのに苦労するのなんて、そういうのしかいないでしょ。でも、そうだとすると形がおかしいわね」
例の針鼠の3D画像データを動かしたりズームさせたりしながら、香弥はさらに続ける。
「毒々しい感じにしてもなんかちょうど真ん中って感じだし、神々しさで考えてもやっぱり真ん中らへんだし、全部が全部半端でかえってわざとらしさがなくなっちゃってて」
紘知の資料の中に、針鼠の針を全て取り除いた場合の想像図もついていた。それも見ながら考えたのだが、宇宙怪獣っぽさが増しただけで、弱点はわからない。
「そうなんだ。彼ららしさが半端すぎる。彼らの傲慢さの表れにしても、それを隠しているとしても、違うものだという結論が出る。偽装だとすれば、文句なしの出来だろう。……香弥?どうかしたかい?」
天を仰いで固まってしまった香弥。紘知の心配そうな声を無視して数分そうした後に、口を開いた。
「私の目にかかってる呪いのデータって、今表示できる?」
針のねじれ具合が何かに似ていれば手掛かりになるかも。そういう思いがあった。だから、気づいてしまった。
「……今確認している。すぐ結果が出るよ。でも、本当にこの針の形と呪いの術式が同じだって言うのかい?それなら、対処はどうすればいい?」
紘知のPCが音を出す。確認が済んだのだろう。紘知が画面を見て、感嘆の声を出した。
「すごい。8割以上一致している。コイツに『死そのもの』は効きそうにないな。有益な情報だ。……いっそのこと、対話でも狙ってみるか……?」
後半は小さな声だったが、香弥も紘知を同じ思いだった。気が付けてよかった。振り出しに戻るのが早くなったのだから。
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